委員会非設置会社の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 03:38 UTC 版)
取締役の報酬は、定款または株主総会の決議によってその額や算定方法が決定される(361条、旧商法269条)。本来、報酬の決定は業務執行に属する性質の行為であるから取締役会にその権限があってもよい。しかし自分の報酬を自分で決定させると過大な報酬を受け取る危険があるため、このようにしたのだとされる(「お手盛りの防止」といわれる)。また、取締役の選任権は株主総会にある以上、報酬の最終的な決定権も株主総会が関与できる形式であることが自然である。 また、会社法では「報酬、賞与その他の職務執行の対価」として明文で賞与が報酬等に含まれる旨規定された。旧法では、実務上賞与は利益処分案として処理されてきていたが、利益処分案が廃止されたことにともない、報酬等に含まれることとなった。これにより、会計上・税務上の処理が大きく異なるため実務的には重要な改正点の一つであると言える。なお、この旧法での取扱いは、明文で認められていたわけではないが、明治時代から慣習的に行われてきており「公正ナル会計慣行」(旧商法32条2項)となっているとして、これを条文上の根拠としていたようである。 数人の取締役がいる場合、お手盛りの防止という趣旨を満たせばよいとの観点から、個別の報酬額は開示せず報酬の総額が開示されればよいとされる(判例)。しかし取締役の個人的な心情よりも会社経営の透明化(ディスクロージャー)を推進するために個別の金額を開示すべきとの異論もある。
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