外葉の起源と進化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 04:01 UTC 版)
基盤的な節足動物オパビニア類の体の断面復元。鰭に張り付いた鰓(lanceolate blade、暗青色)は外葉に相同だと考えられる。 基盤的な節足動物と真節足動物の中間的な胴肢をもつエーラトゥス 外葉はかつて甲殻類のみ顕著に見られるため、甲殻類に特有の派生形質とも考えられてきた。しかし21世紀以降では、古生物学(明らかに甲殻類でない絶滅群から外葉が発見される)と遺伝子発現(甲殻類以外の現生群も外葉と同じ遺伝子に抑制される部分をもつ)の両方面の進展により、外葉の起源はそれ以上に古く、節足動物の起源まで遡る祖先形質という説の方が有力視されつつある。 最初の外葉は、ラディオドンタ類やオパビニア類などの基盤的な節足動物に見られるような、背面の櫛状の鰓(setal blade)の構成単位(lanceolate blade)から腹面の原節まで遊離したものだと考えられる。この見解を踏まえると、基盤的な節足動物に似た鰭と単調な内肢を兼ね備えたエーラトゥスの胴肢は、その中間形態を表したかもしれない。 甲殻類以外の現生節足動物(鋏角類・多足類・六脚類)は一見して外葉をもたないが、形態学と遺伝子発現の類似を基に、昆虫の翅・鋏角類の書鰓と書肺・カブトガニ類の櫂状器などが外葉から特化した部分とも解釈される。しかしこれらの構造と外葉の相同性については未だに賛否両論である。
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