地獄のかま焚き(Apokolkályhafűtője)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/05/31 01:28 UTC 版)
「ハンガリーの民話」の記事における「地獄のかま焚き(Apokolkályhafűtője)」の解説
1951年にデーグ・リンダが採集。 あらすじ:兵役を終えて帰郷する途中の軽騎兵が、道端の切り株に腰掛けて昼寝をし、目覚めると、どこかも分からない大きな森に移動していた。軽騎兵は、森で出会った森番の家に連れて行かれ、食料と宿の代償にかまどで火を焚き続ける仕事を与えられた。森で薪を集め、馬車で家に運ぶため馬を急かすと、馬は「叩かないで」と、さらに馬車の部品も「重い薪を載せないで」と訴えた。馬は「自分達にも魂がある」と前置きし、森が実は地獄で森番もルシフェルであること、軽騎兵の仕事がかまどで魂を焼くことだったと教えた。馬の助言に従い、軽騎兵はルシフェルの元を去る際にたくさんの魂を持ち出すと、元の世界に戻ってからそれらを解放した。すると神の使いが老人の姿で現れ、「3つの願いを神が叶える」と話した。そこで軽騎兵は、死後の魂への祝福、お金が尽きない財布、そして地上のあらゆる生物や無機物とも話ができる能力を望んだ。その後軽騎兵が宿に泊まると、主人から3人の娘のいずれかとの結婚を勧められた。軽騎兵は3晩にわたって娘の1人1人と寝床を共にしたが、行為はせず、娘が眠った後に女性器に話しかけると男がいるような返事がある。軽騎兵は結婚を断って宿を去り、故郷に戻って結婚したという。 日本の哲学者内山節は、雑誌『週刊エコノミスト』のコラムでこの民話を紹介し、軽騎兵が願ったという全ての物と話ができる能力について、「東西の文化が共存するハンガリーでは、生物だけでなく無機物にも心があると考えられていたのか」といった事を述べている。
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