国際法上の緊急避難
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 03:35 UTC 版)
国際法における緊急避難 (necessity) とは、国家が重大かつ急迫の危険から自国にとって本質的な利益 (essential interest) を保護するために国際法違反の措置が講じられたとしても、他に手段が無く相手国に本質的な利益に対する重大な侵害が発生しないならば例外的に適法とされる行為のことをいう。これは国際慣習法上認められた違法性阻却事由である。緊急避難が必要となる状態のことを緊急状態 (state of necessity) という。 このことは、国際司法裁判所 (ICJ) の「ガブチコヴォ・ナジュマロシュ計画事件」判決(1997年、ガブチコヴォ(ハンガリー)とナジュマロシュ(チェコスロヴァキア)に跨る水門を建設するため締結された条約に関しての紛争)において確認されている。 また、国際連合の国際法委員会 (ILC: International Law Commission) が国家責任に関する国際慣習法の法典化を推進しており、そこで2001年に採択された「国際違法行為に対する国家責任 (Responsibility of States for internationally wrongful acts)」条約案の25条にも緊急避難に関する規定があり、上記判決もこの条文の草案(当時33条)を緊急避難が可能となる要件について述べる際に引用している。
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