命を他の便益と引き換えない
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/06 01:39 UTC 版)
「ビジョン・ゼロ」の記事における「命を他の便益と引き換えない」の解説
ビジョン・ゼロの根底には、「人が道路交通システムで移動する際に死亡したり重傷を負ったりすることは倫理的に決して許容できない」という哲学がある。 交通安全の分野で従来使われてきた費用便益分析では、命に値段を付け、その価値の大小に基づき、交通事故のリスクを減らすための投資額を決定していたが、計算に一貫性がないことや、前提条件が成り立つ状況が極めて少ないことなどの問題から、安全への投資を妨げる判断を招きがちであると指摘されていた。 スウェーデンの交通行政で1990年代から安全施策を担当してきたMatts-Åke Belin氏は、そうした従来の経済モデルには、交通を成り立たせるために払うべき対価として「最適な死者数」という概念が暗黙のうちに含まれていると批判している。 そのような功利主義に染まった交通分野に対してビジョン・ゼロが訴えているのが、交通事故による死亡・重傷は受け入れられないという考え方である。
※この「命を他の便益と引き換えない」の解説は、「ビジョン・ゼロ」の解説の一部です。
「命を他の便益と引き換えない」を含む「ビジョン・ゼロ」の記事については、「ビジョン・ゼロ」の概要を参照ください。
- 命を他の便益と引き換えないのページへのリンク