吹奏楽の歴史とは? わかりやすく解説

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吹奏楽の歴史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/26 13:09 UTC 版)

本項「吹奏楽の歴史」では、世界における吹奏楽歴史について説明する。


注釈

  1. ^ 三線以前の琉球王国の伝統音楽や中国の「鼓吹」も一種の吹奏楽である。長生(1999)p.10
  2. ^ 管楽器の祖型は、オーストラリア大陸の先住民アボリジニが用いるディジュルドゥという楽器ではないかといわれる。これは、木をくりぬいて中を空洞にしたもので、叩けば打楽器、息やリードで鳴らせば木管楽器、唇を振るわせれば金管楽器的な演奏が可能になる汎用的な楽器である。『管楽器おもしろ雑学事典』(2007)p.25,p.34
  3. ^ 長野県長峰遺跡から出土した縄文時代中期の有孔鍔付土器は、太鼓を造形したものとみなす説があり、その説が正しいならば、シュメールの浮彫より古い、世界最古の太鼓の存在を示す考古遺物ということになる。小山(1996)pp.69-70
  4. ^ 近畿地方を中心とする弥生時代の遺跡からしばしば出土する銅鐸は、「祭りのベル」であったと考えられている。銅鐸は、当初は打楽器として鳴り物としての役割が重視されたが、のちに装飾性が強まり、「見る銅鐸」へと変質していった。佐原(1987)pp.273-274
  5. ^ 1922年に発見されたもので、金属加工の施された管楽器の実物としては世界最古の遺物である。Web楽器事典Vol.1 「ツタンカーメンのトランペット」
  6. ^ 今日でも、トルコの伝統芸能としてオスマン帝国の軍楽が伝わっている。上尾(2000)p.154
  7. ^ 当時はショームから新式のオーボエへの移行期だったが、「オーボエ」Hautbois という言葉はダブルリード族の楽器を広く指しており、どの時期に二つが入れ替わったかは明確ではない。シャルマイ(ショーム)を用いていたドイツでも18世紀初頭にはフランス発祥のオーボエが受容された。Janet K. Page "Military Music" (2001) pp.623-624
  8. ^ 19世紀中葉に世界初の市民階級による自主経営オーケストラとして発足したのが、ライプツィヒのゲヴァントハウス管弦楽団である。
  9. ^ "Waits"という呼び名は、当初課せられていた見張りの職務に由来すると考えられる。Keith Polk "Before 1600" (2001) pp.622-623
  10. ^ この「マサチューセッツ・バンド」はジョン・クレイン英語版大佐率いる第3大陸砲兵連隊 3rd Continental Artillery Regiment のバンドだった。第3・第4大陸砲兵連隊は独立宣言直後の1777年にはすでに軍楽隊を持っていた。アメリカにおける「楽隊」Band of Musickの記録は1714年のジョージ1世戴冠時にさかのぼる。Raoul F. Camus "American Wind Bands" (2001) p.635
  11. ^ 当時の編成はハルモニームジークに近いオーボエ2、クラリネット2、ホルン2、バスーン1、太鼓というものだった。Rumberow (1996) p.39
  12. ^ ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団は現在、フランス陸軍参謀本部付の共和国親衛隊軍楽隊となっている。美山(2004)
  13. ^ イギリスの軍楽隊のなかには、スコットランドの伝統的な楽器であるバグパイプ隊を併置するスコッツ・ガードなど、特殊な編成の楽団もある。美山(2004)
  14. ^ イギリスでは、このように労働者階級に広がった金管バンド(英国式ブラスバンド)と区別する意味で、軍隊に属さない民間の吹奏楽団のこともミリタリー・バンドmilitary band の語で呼称することがある。
  15. ^ スーザ自身、自著でポピュラー音楽が決して価値の低い音楽ではないことに言及している。阿部(2001)pp.41-42
  16. ^ ただし、フランス革命期の軍楽隊はすでに十数本のクラリネットを含む編成だった。秋山 (2013) pp.25-26. 1892年時点のギルモアのバンドは32本、1924年のスーザのバンドは24本のB♭クラリネットを持っていた。Rumberow (1996) pp.52-53, 65-66
  17. ^ クラリネットは、ニュルンベルクの楽器製作家J.C.デンナーが1700年ころに考案し、以後、改良が加えられて現在のかたちになったものである。『世界の楽器絵事典』(2007)pp.36-37
  18. ^ ブルガリアの共産主義政権は単一民族主義の傾向が強かったため結婚式バンドは冷遇されてきたが、自由化の進んだ今日では、貧富の格差が生じて、結婚式のバンド需要は不遇だった時代よりむしろ減っている。また、パパゾフ・スタイルの流行については、これによってブラスバンド文化が均質化、定形化しているという批判もある。細川(2001)pp.68-73
  19. ^ 絵画は、出島から長崎奉行所までを往復したオランダ商館長の公式行事で行進したオランダの軍楽隊と思われる。
  20. ^ 蘭式の太鼓信号は伝習生を通じて各地に伝えられ、少年時代の伊沢修二も高遠藩信濃国伊那郡)の鼓手を務めた。塚原(2001)p.87
  21. ^ 現在も幕末維新期の鼓笛隊の面影をとどめる楽隊が各地の祭礼などに組み込まれるかたちで残っている。京都府京北町山国隊京都市壬生の維新勤王隊、山形県上山市上山軍楽千葉県佐原市のオランダ楽隊などがそれである。塚原(2001)pp.87-88
  22. ^ L. Guttig. 「ブリュネの人と生涯」『函館の幕末、維新』(中央公論社、1988年)でクリスチャン・ポラックはギュティッグの名をルイとしているが典拠不明 (中村 1993, p. 46)。
  23. ^ そのような意味で、吹奏楽の導入は日本を含めたアジア・アフリカ諸国にとってきわめて植民地主義的な意味を有していた。なお、細川周平は、日本でフェントンの事績が詳細に伝わっているのは、日本が後世オーケストラをもつようになったことと強い関係があると指摘している。細川(2001)pp.57-58
  24. ^ フェントン作曲の初代「君が代」は不評で、しかも、それを最も批判したのが中村祐庸であった。中村は曲の改訂を提案し、海軍省はその提案を受けて1876年(明治9年)11月3日天長節での演奏を最後に、フェントン作曲の「君が代」を廃止した。團(2001)pp.163-166
  25. ^ Gustave Charles Dagron (1845-1898?). (中村 1993, pp. 184–185)。
  26. ^ シンセサイザーなどの新たな楽器の登場やそれによる楽曲自体の変化、カラオケの登場、編曲者不足、音楽番組の制作上の変化などにより、かつて一般的だった吹奏楽による「歌伴」をともなう歌謡曲は必ずしも一般的ではなくなってきているが、楽曲によっては金管楽器を使用するバンドや、金管楽器のパートを担当するメンバーのいるロック・バンドやアイドル・バンドは少なからず登場している。こうした状況に対し、大変革をもたらしたのはヒップホップ・ミュージックの登場である。東谷(2001)p.145
  27. ^ 團伊玖磨は、戦後の音楽について、昭和40年代までを「求心期」(音楽が広範な人々を対象に生み出され、それが共通の体験として享受された時期)、それ以降を「拡散期」(音楽が共通の体験でなくなり、さまざまに分化した音楽がさまざまに分化した聞き手に享受される時期)という時期区分を設けて考察を加えている。團(1999)pp.357-364

出典

  1. ^ 『新版吹奏楽講座1』(1983)
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 大崎(2004)
  3. ^ a b c d e 『JBCバンドスタディ』(2005)p.89
  4. ^ Schwäbische Alb:Älteste Flöte vom Hohle Fels(24.06.2009)(ドイツ語)
  5. ^ 世界最古の楽器か、石器時代の「フルート」を発掘 ドイツ”. AFP通信 (2009年6月25日). 2012年5月25日閲覧。
  6. ^ 藤田(2004)
  7. ^ a b c d e f g h i j 吹奏楽史年表 (PDF)
  8. ^ a b 吉村(2001)pp.156-157
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 『JBCバンドスタディ』(2005)p.88
  10. ^ Web楽器事典Vol.1 「コルヌ」
  11. ^ a b c d e f g 阿部(2001)pp.38-43
  12. ^ a b c d e f g h 上尾(2000)pp.152-183
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 細川(2001)pp.59-63
  14. ^ Web楽器事典Vol.1 「ツィンク」
  15. ^ a b c d e f g h 長生(1999)pp.20-22
  16. ^ Janet K. Page "Military Music" (2001) pp.623-624
  17. ^ a b c d e f g h i j 美山(2004)
  18. ^ Compton, Benjamin Richard (1979), Amateur Instrumental Music in America, 1765 to 1810, Louisiana State University, p. 44, https://digitalcommons.lsu.edu/gradschool_disstheses/3329/ 
  19. ^ a b c d e f g 上尾(2000)pp.186-225
  20. ^ a b 『世界の楽器絵事典』(2007)pp.42-43
  21. ^ a b 細川(2001)pp.63-67
  22. ^ a b c 細川(2001)pp.67-74
  23. ^ a b c d e 『管楽器おもしろ雑学事典』(2007)pp.58-59
  24. ^ 磯田(1999)pp.16-17
  25. ^ a b c d 團(1999)pp.128-149
  26. ^ a b c d e 塚原(2001)pp.85-91
  27. ^ Clodomir 1865, pp. 25–31, L'ordonnance.
  28. ^ 中村 1993, pp. 57–60.
  29. ^ a b c d e 團(1999)pp.150-182
  30. ^ a b c d e f g h i j k l m 阿部(2001)pp.32-38
  31. ^ a b 細川(2001)pp.56-59
  32. ^ a b c d e f g h 團(1999)pp.234-262
  33. ^ a b c d e f g h i j k l 塚原(2001)pp.92-101
  34. ^ a b c d e f g h i j 塚原(2001)pp.108-113
  35. ^ a b c d e f g h i j k l m n 塚原(2001)pp.113-120
  36. ^ Osaka Shion Wind Orchestra ホームページ
  37. ^ 山口(1973)
  38. ^ 楽水会(1984)
  39. ^ a b c d e f g 東谷(2001)pp.126-149
  40. ^ a b 『吹奏楽ハンドブック』(2011)pp.16-17


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