名科白
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 05:15 UTC 版)
三幕目、源氏店妾宅の場より与三郎の名科白。 与三郎:え、御新造(ごしんぞ)さんぇ、おかみさんぇ、お富さんぇ、いやさ、これ、お富、久しぶりだなぁ。 お富:そういうお前は。 与三郎:与三郎だ。 お富:えぇっ。 与三郎:お主(ぬし)ゃぁ、おれを見忘れたか。 お富:えええ。 与三郎:しがねぇ恋の情けが仇(あだ)命の綱の切れたのを どう取り留めてか 木更津から めぐる月日も三年(みとせ)越し 江戸の親にやぁ勘当うけ 拠所(よんどころ)なく鎌倉の 谷七郷(やつしちごう)は喰い詰めても 面(つら)に受けたる看板の 疵(きず)が勿怪(もっけ)の幸いに 切られ与三(よそう)と異名を取り 押借(おしが)り強請(ゆす)りも習おうより 慣れた時代(じでえ)の源氏店(げんやだな) その白化(しらば)けか黒塀(くろべぇ)に 格子造りの囲いもの 死んだと思ったお富たぁ お釈迦さまでも気がつくめぇ よくまぁお主(ぬし)ゃぁ 達者でいたなぁ 安やいこれじゃぁ一分(いちぶ)じゃぁ 帰(けぇ)られめぇじゃねぇか。
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