単純ヘルペス脳炎
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単純ヘルペス脳炎(たんじゅんヘルペスのうえん、英語: Herpes simplex encephalitis)とは単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)によって引き起こされる脳炎である。
- 1 単純ヘルペス脳炎とは
- 2 単純ヘルペス脳炎の概要
- 3 概念
- 4 検査所見
- 5 日本の法律
単純ヘルペス脳炎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 17:23 UTC 版)
日本神経感染症学会より診療ガイドラインが示されている。急性(時に亜急性)脳炎を示唆する症状・症候、神経学的検査所見を満たしたものが単純ヘルペス脳炎疑いであり、ウイルス学的検査所見によって確定例になる。単純ヘルペス脳炎は脳炎全体の10~20%を占め、起炎ウイルスの判明した散発性脳炎の中では最も多い疾患である。地域差はなく100万人あたり年間2~4人の頻度で起こり日本では年間400例前後の発症があると推測されている。全年代に起こりえるが50~60歳代に発症のピークがある。単純ヘルペスウイルス脳炎の95%がHSV-1によって生じ、約70~80%はHSVの再活性化(または再感染)でおこると推定されている。全単純ヘルペス脳炎の約80%にあたる典型例では側頭葉、前頭葉眼窩回などを選択的に障害する左右非対称急性壊死性脳炎の病理像をとるため精神症状をおこすことが多い。逆に全単純ヘルペスウイルスの20%が非典型例であり、軽症、慢性脳炎、脳幹脳炎などの形をとることがある。約10%程度に再発、再燃が認められ治療上注意が必要である。全年齢における検討では単純ヘルペス脳炎の未治療での死亡率は60~70%であった。抗ウイルス薬、特にアシクロビルの治療によって死亡率は19~28%に減少した。しかし適切な治療にもかかわらず死亡と高度後遺症を含めた転帰不良率は約30~50%と未だに高く、社会復帰率も約半数にとどまる。後遺症としては記憶障害、行動異常、症候性てんかんなどが多い。
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