包括一罪
包括一罪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/19 22:33 UTC 版)
法条競合に該当しないが、一罪と評価されるもの。以下のような類型が挙げられる。 1つの行為で同一構成要件内の数個の結果が発生したが、それが実質的に1つの法益侵害であると評価される場合例としては、1つの放火とその延焼の関係が挙げられる(放火罪一罪のみが成立)。 1つの行為で複数の構成要件にまたがる数個の結果が発生したが、1つの構成要件のみを成立させることで他の構成要件についても評価されつくしていると評価しうる場合(附随犯)例としては、ピストルによる殺人と衣服の損壊の関係が挙げられる(器物損壊罪は成立せず、殺人罪一罪のみが成立)。 同一構成要件内の数個の結果を発生させるために複数の行為が行われたが、それが実質的に1つの法益侵害であると評価される場合(狭義の包括一罪、接続犯)例としては、2発の銃弾を続けて発射し、1発目は逸れて、2発目が命中して被害者が死亡した場合が挙げられる(細かく見れば1発目で殺人未遂罪、2発目で殺人罪だが、全体として一つの殺人既遂行為と評価し、殺人罪一罪のみが成立)。 同一の法益・客体に向けられた複数の行為が、目的・手段あるいは原因・結果の関係に立つ場合であり、一方が他方を吸収する場合。手段である犯罪が目的である犯罪に吸収される場合を共罰的事前行為(不可罰的事前行為)といい、結果である犯罪が原因である犯罪に吸収される場合を共罰的事後行為(不可罰的事後行為)という。例としては、1つの窃盗と盗品運搬の関係が挙げられる(盗品運搬罪は成立せず、窃盗罪一罪のみが成立)。
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