内閣府ブリーフィングルームとは? わかりやすく解説

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内閣府ブリーフィングルーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/22 02:28 UTC 版)

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en:Image:Cabinet Office Briefing Room.jpg
? 2000年情報自由法英語版に基づき2010年に公開された内部写真。イギリスの国家機密英語版であるCOBRの設備として、唯一閲覧できるもの

内閣府ブリーフィングルーム[1](ないかくふブリーフィングルーム、: Cabinet Office Briefing Rooms)は、国内・ヨーロッパで発生した重大事件ならびに、海外で発生しイギリスに大きな影響を与えると考えられる事件に対し、イギリス政府内の関係省庁がとる対応の調整機関として働く危機管理委員会が設置される部屋のことである。略称はCOBRないしCOBRA(コブラ)だが、後者は本来「内閣府ブリーフィングルームA」を指すものである[2][3][4]

COBR会議の構成員は事件の状況によってまちまちだが[1]、議長はイギリス首相ないし上級大臣が務めることが常であり、これに加え、関連する閣外大臣や、警察の上級職員で構成されるACPO (Association of Chief Police Officers[5]や地方自治体の連絡会議であるLGA (Local Government Associationなどの代表者が参加する[3][4]。この部屋で開かれる会議に対しては、「緊急治安閣僚会議」[6]、「国家緊急事態対策委員会」[7]などの訳語が当てられることがあるが、国立国会図書館では「コブラ委員会」という名称を用いている[8]

COBR会議は主に、ロンドンホワイトホールにある内閣府の建物で開かれる。会議が行われるのはセキュアルームで、ビデオ・オーディオが完備され、話し合いに必要な情報を自由に閲覧することができる。2010年には、2000年情報自由法英語版に基づき、会議室の内部写真が1枚公開された[9]

内閣府ブリーフィングルームA」(英: Cabinet Office Briefing Room A)の頭字語である COBRA(ないし Cobra)がメディアで頻用されるが[6][10][11]、これはCOBR会議が主に、ホワイトホール70番地にある内閣府の建物内の「会議室A」(英: Conference Room A)で行われていることに由来する[12][13]。2005年のロンドン同時爆破事件をはじめ、同年から2007年にかけてこの会議に何度か参加したアンディ・ヘイマン (Andy Haymanは、2009年に著書 "The Terrorist Hunters" (enでCOBR会議の内情について事細かに発表した[14]

最初のCOBR会議は1970年代に開かれたが、これは1972年の炭坑労働者ストライキに対するものだった[15]。この会議が開かれた主な事件としては、1980年の駐英イラン大使館占拠事件、2000年の燃料価格高騰に対する抗議運動 (enならびに2001年の口蹄疫流行英語版アメリカ同時多発テロ事件[15][8]、2005年のロンドン同時爆破事件、2013年のリー・リグビー殺人事件英語版[16]2015年スーサ攻撃、フランス・カレーの難民問題[17]、2015年のパリ同時多発テロ事件2016年ブリュッセル爆発などが挙げられる。2017年3月22日にウェストミンスター橋で発生したテロ事件[6][10][11][18]、および同年5月22日にマンチェスターで発生したテロ事件[19]でもCOBR会議が招集されている。

小説や映画での登場

COBRAは『アレックス・ライダー英語版』シリーズの5作目『スコルピア 女王陛下の少年スパイ!アレックス英語版』に登場する。アレックスはMI6長官のアラン・ブラントに連れられてCOBRA会議に向かい、大規模テロ計画の阻止に働く。

フレデリック・フォーサイスの小説『第四の核英語版』にもCOBRAが登場し、英国政府高官たちが、国防省職員からソビエトへ流出した機密情報について話し合う。また、COBRAはアンディ・マクナブの小説 "Fortress" にも登場する。

2007年の災害パニック映画デイ・アフター 首都水没』では、「ニュー・スコットランドヤード - COBRA部門」(英: "New Scotland Yard - COBRA Division")として登場し、ホワイトホールが危機に陥った後は、別の場所に移転して「COBRA 2」として危機管理に当たる様子が描かれる。

2015年制作の映画『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』では、COBRAを司令本部に、テロリストが潜むケニアの隠れ家をドローン攻撃する計画が立てられ、その実施の是非が議論される展開となる[20][7]

関連項目

脚注

  1. ^ a b 政治議会調査室・課 (2013年3月). “英国の内閣執務提要” (PDF). 国立国会図書館 調査及び立法考査局. p. 67. 2017年3月23日閲覧。
  2. ^ Cabinet Office (2013年2月20日). “Emergency response and recovery”. Emergencies: preparation, response and recovery. GOV.UK. 2017年3月23日閲覧。
  3. ^ a b Emergencies: the legal and operational framework Archived 2011年7月16日, at the Wayback Machine. – cabinetoffice.gov.uk
  4. ^ a b Gardiner, Joey (2002年10月21日). “What is Cobra?”. ガーディアン. 2017年3月23日閲覧。
  5. ^ 岡久慶 (2005年8月). “2005 年重大組織犯罪及び警察法-「イギリスの FBI」設置へ”. 外国の立法 225(2005. 8). p. 188. 2017年3月23日閲覧。
  6. ^ a b c 英議事堂の外で襲撃、容疑者含め4人死亡 少なくとも20人負傷”. BBC (2017年3月23日). 2017年3月23日閲覧。(日本語)
  7. ^ a b アラン・リックマンさんの死から1年…ユーモアあふれる最後の演技が公開”. シネマトゥデイ (2017年1月14日). 2017年3月23日閲覧。
  8. ^ a b c 福井千衣 (2003年1月6日). “2 欧米主要国の危機管理機構” (PDF). III 危機管理機構と緊急事態における議会の関与. 国立国会図書館. pp. 52 - 54. 2017年3月23日閲覧。
  9. ^ COBR – a Freedom of Information request to Cabinet Office”. WhatDoTheyKnow. 2017年3月23日閲覧。
  10. ^ a b London attack: Two killed in Westminster 'terror' incident”. BBC (2017年3月22日). 2017年3月23日閲覧。(英語)
  11. ^ a b Vikram Dodd, Ewen MacAskill, Jamie Grierson and Heather Stewart (2017年3月22日). “Parliament attack: police officer among five dead in 'sick and depraved' incident”. ガーディアン. https://www.theguardian.com/uk-news/2017/mar/22/parliament-attack-police-officer-four-dead-westminster 2017年3月23日閲覧。 
  12. ^ Key facts about COBR(A)” (2007年9月7日). 2008年11月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年7月31日閲覧。
  13. ^ Brady, Brian (2007年3月25日). “Blair convenes Cobra team as crisis in Iran escalates”. スコットランド・オン・サンデー英語版. スコッツマン. 2009年4月28日閲覧。
  14. ^ O'Neil, Sean (2009年6月22日). “Cobra emergency committee 'slows everything down'”. London: The Times. http://www.thetimes.co.uk/article/cobra-emergency-committee-slows-everything-down-j7v866w8dl8 2017年3月23日閲覧。 (全文の閲覧には登録が必要)
  15. ^ a b Mason, Chris (2012年7月23日). “London 2012: What exactly is a Cobra meeting?”. BBCニュース. BBC. 2017年3月23日閲覧。
  16. ^ Cobra meeting hears 'strong indications' machete murder was a terrorist attack”. ITV News. ITV (2013年5月22日). 2017年3月23日閲覧。
  17. ^ “Britain calls emergency meeting on Calais migrants”. AFP. Berlin: Deutsche Welle. (2015年7月31日). http://www.dw.com/en/britain-calls-emergency-meeting-on-calais-migrants/a-18619447?maca=en-newsletter_en_bulletin-2097-html-newsletter 2015年7月31日閲覧。 (英語)
  18. ^ London attack - latest updates”. BBC News. BBC. 2017年3月22日閲覧。
  19. ^ Manchester attack: Election campaigning suspended”. BBC (2017年5月23日). 2017年5月23日閲覧。
  20. ^ 映画「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」オフィシャルサイト”. ファントム・フィルム. 2017年3月23日閲覧。



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