苞
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苞(ほう; 包、英: bract)[1][2]とは、1個の花または花の集まり(花序)の基部にある特殊化した葉のことであり、苞葉(ほうよう; 包葉、bract leaf)[1]ともよばれる(図1)。この葉が形態的にふつうの葉(普通葉)と変わらない場合は、苞とはよばれない。また狭義には、苞は葉腋に1個の花をつける特殊化した葉を意味する。一方、花序の基部にある特殊化した葉は総苞片、その集合は総苞(involucel)[1][2]ともよばれる。また、花柄などについている小さな葉的構造は小苞(bracteole, bractlet)[1][2]とよばれる。
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- ^ 黒沢高秀 (2016). “トウダイグサ属”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 3. 平凡社. p. 150. ISBN 9784582535334
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- ^ アーネスト・ギフォード & エイドリアンス・フォスター (著) 長谷部光泰, 鈴木武 & 植田邦彦 (監訳) (2002). “マオウ属の生殖環 胞子嚢穂”. 維管束植物の形態と進化. 文一総合出版. pp. 467–469. ISBN 978-4829921609
- ^ アーネスト・ギフォード & エイドリアンス・フォスター (著) 長谷部光泰, 鈴木武 & 植田邦彦 (監訳) (2002). “マオウ属、グネツム属、ウェルウィッチア属の形態比較”. 維管束植物の形態と進化. 文一総合出版. pp. 474–482. ISBN 978-4829921609
- ^ アーネスト・ギフォード & エイドリアンス・フォスター (著) 長谷部光泰, 鈴木武 & 植田邦彦 (監訳) (2002). “大胞子嚢穂(雌性球果)、ボルチア目と種鱗の起源”. 維管束植物の形態と進化. 文一総合出版. pp. 429–435. ISBN 978-4829921609
「仏炎苞」の例文・使い方・用例・文例
- 中東産の観賞用植物で、濃紫の仏炎苞が目的で栽培される
- 根元から出ている大きな葉とボート形の仏炎苞を持ち、赤みがかった実をつける、クワズイモ属の植物の総称
- その食用の球茎のために耕作されるあるいは、温室で、その大きな葉と目立つ深紅の肉穂花序を取り囲んでいる仏炎苞アジア南東部の悪臭のあるいくぶんか肥満した熱帯植物
- 悪臭のある熱帯性植物で、朝顔の花冠に似た、直径数フィートにもなる仏炎苞を持つ
- 明るい緋色の仏炎苞と肉穂花序を持つ、よく栽培されるアンスリウム
- 緋色のべりーを生産する全体が緑と紫色の仏炎苞のある保護された葉と直立したクラブの形をした肉穂花序を有する一般的なアメリカの春に花を付ける森林地帯のハーブ
- 関連したテンナンショウに似ているが、掌状の葉、長細く緑が飼った黄色の仏炎苞と長細い肉穂花序のあるアメリカ東部北の早春顕花植物
- 塊茎を持つ多年草で、頭巾形の栗色または紫黒色の仏炎苞を持つ
- 温帯地域の湿地や沼地に育つ植物で、小さな緑がかった花は部分的に白い仏炎苞と赤い実に囲まれている
- 北米西部産の湿地に群生する落葉性多年草で、ザゼンソウに似ているが仏炎苞は黄色
- 米国東部産の多年生草本で、矢尻形の葉と細長くとがった仏炎苞、緑の実を持つ
- 白または緑の仏炎苞と芳香性の花がつく肉穂花序を持ち、観賞用にしばしば栽培される、スパティフィルム属の各種の植物の総称
- まだらで緑色を帯びたあるいは紫色のカウル形の仏炎苞に包まれたきわめて小さな花を有する北アメリカ東部の落葉性の多年生である低成長する悪臭を放つ沼植物
- バラ色の仏炎苞を持つオランダカイウ
- 黄色の仏炎苞を持つ数種のオランダカイウ属のカイウの総称
- 下穂の肉厚な軸でしばし仏炎苞に囲まれる
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