三浦の乱とは? わかりやすく解説

さんぽ‐の‐らん【三浦の乱】


三浦の乱

読み方:サンポノラン(sanponoran)

朝鮮三浦起きた日本人暴動


三浦の乱

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/14 15:08 UTC 版)

三浦の乱(さんぽのらん、サムポのらん)とは、1510年中宗4年)に朝鮮国慶尚道で起きた、対馬守護宗氏と恒居倭人(朝鮮居留日本人)による反乱。朝鮮名庚午三浦倭乱경오 삼포 왜란)。


注釈

  1. ^ 朝鮮にとって交易品の輸送は特に負担となっていた様であり、朝鮮王朝実録にその様子は「沿路各官、人吏竝出、夜以繼晝、輸運之物、絡繹於道、至於妻子、徧受其苦、重載之牛、多斃路中。」(輸送品は道に連なり、倭人上京道路沿線住民は官吏・人民の区別なく、夜昼を問わず交易品の運搬に駆り出され、妻子に至るもその苦役を受け、荷物の重さに耐えかね牛は道に斃れる)と描写されている。(『中宗実録』巻九九、三七年八月壬午条)村井 (1993, p. ?)
  2. ^ 朝鮮王朝実録には、恒居倭同士の殺人事件に関し朝鮮が関与を放棄した事例(『世宗実録』巻四一、一〇年八月壬辰条)や、宗氏の派遣した代官が検断権を握っていたことなどが記録されており(『成宗実録』巻一、即位年一二月己未条)、朝鮮は恒居倭に対する検断権を放棄していたと考えられている。村井 (1993, p. ?)
  3. ^ a b 1429年当時、恒居倭の徴税権は宗氏ではなく早田氏が掌握していた。(『世宗実録』巻四三、一一年三月丙寅条) また、朝鮮は恒居倭に対し営業税の課税を検討したが、既に早田氏が課税しているため実行は困難と判断し中止している。(『世宗実録』巻四三、一一年三月戊辰条)これらは、朝鮮が徴税権を行使出来なかったこと、1429年の時点で恒居倭は宗氏ではなく早田氏が掌握していたことを示している。関 (2002, p. ?)
  4. ^ 1477年、朝鮮は恒居倭へ田租の課税を検討するが、倭寇の再発を憂慮し中止している。(『成宗実録』巻八七、八年一二月己亥条) またその際、恒居倭の免税特権を悪用した朝鮮人の納税回避の危険性が指摘されるが、後にその危惧は現実の物となる。(『成宗実録』巻八九、九年二月辛酉条村井 (1993, p. ?)
  5. ^ 宗氏と朝鮮の間では孤草島釣魚禁約をもって朝鮮沿岸における日本人の漁場が制限されていた。しかし恒居倭の中には定められた領域を超えて密漁を行い、あまつさえ漁場を占拠する者が出現する。
  6. ^ 密貿易が恒常化し恒居倭と朝鮮人との間に癒着が進行する。朝鮮側における密貿易の担い手は三浦周辺住民・地元商人・漢城大商であったが、中でも三浦周辺住民と恒居倭の癒着ぶりは「相親相愛, 不啻如兄弟, 言語飮食, 利害緩急, 無不共之。」(相親相愛、ただ兄弟の如くあるのみならず、言語飮食、利害緩急、之を共にせざるは無し)(『中宗実録』巻八、四年三月丙辰条)と記されている。朝鮮は倭寇に防備情報が漏れることを恐れており、密貿易のみならず癒着そのものも問題視していた。さらに三浦周辺の地方官吏や辺将(朝鮮の地方武官)に止まらず朝鮮中央高官の中にさえ、商人に便宜を図り密貿易に関与する者が出現している。村井 (1993, p. ?)
  7. ^ 三浦周辺住民の中には田畑を恒居倭に売却したことにし、名義人を日本人に書き換えることで田租の納税回避を行う者が出現した。
  8. ^ 倭寇の活動に触発され、倭人を装った朝鮮人水賊の活動が活発化する。彼等は倭服を着て倭語を話し、倭人を装って活動していた。(『成宗実録』巻一五、三年二月甲午条)(『成宗実録』巻二一四、一九年三月丙寅条関 (2002, p. ?)。朝鮮人水賊の活動は1470年代から活性化するものであったが、その活動はいずれが倭寇かいずれが朝鮮人水賊か識別を付けるのは困難であった。
  9. ^ もりのぶ、宗貞国の孫、のちの義盛。
  10. ^ この反乱には、伊集院氏名義の使船の乗組員が出港を遅延させ、乱の勃発を待ち受け参加している。この使船は実際は宗氏が運用していたものであり、こうした事などから三浦の乱は宗氏主導で計画的に起こされたと考えられている。長節子『中世国境海域の倭と朝鮮』吉川弘文館、2002年。ISBN 978-4642028028 

出典

  1. ^ a b c d e f 村井 (1993, p. ?)
  2. ^ a b c d 荒木和憲『中世対馬宗氏領国と朝鮮』山川出版社、2007年。ISBN 978-4634523449 
  3. ^ 『成宗実録』巻二四七、二一年一一月辛巳条
  4. ^ 『燕山君日記』巻四九、九年三月壬辰条 「譬猶癰疽結腹, 潰亂無日」
  5. ^ 長節子『中世国境海域の倭と朝鮮』吉川弘文館、2002年。ISBN 978-4642028028 


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