リンネ式階層分類体系とは? わかりやすく解説

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リンネ式階層分類体系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/23 07:07 UTC 版)

リンネ式階層分類体系(リンネしきかいそうぶんるいたいけい、: Linnaean hierachial classification system)は、カール・フォン・リンネCarl von Linné1707年1778年)により構築された分類体系をもとにした、今日広く用いられている分類体系を指す語である[1][2]。リンネが1753年に著したSpecies Plantarum植物種誌[3][4][注釈 1]今日の植物命名法の基準となり、4236種の動物を記した1758年Systema Naturae『自然の体系』の第10版英語版今日の動物命名法の基準となっている[1][5]リンネ式階層分類[6]リンネ体系 (Linnaean taxonomy) とも[1]。本項では、現在用いられている階層的な分類について触れ、リンネが実際に用いた分類体系を示す。


注釈

  1. ^ 『植物の種』とも訳される[1]
  2. ^ species は英語とラテン語で同型[14]。以下本項では階級名は英語を表示する。詳細は階級 (生物学)を参照。
  3. ^ a b c 動物学および細菌学では phylum、植物学では普通 division が用いられる[18]。なお、命名法上は1994年の国際植物命名規約 東京規約からは植物学でも phylum も用いてよいことになったため、現行の深圳規約(2018年)では divisionphylum は併記される[14]。また、国際動物命名規約では division は「区」という階級を指し、属を細分する階級として用いられた場合、亜属と同じ階級とみなされ、亜属に置き替えられる[19]
  4. ^ ラテン文字転写:Peri phyton historia、ラテン語訳: De Historia Plantarum
  5. ^ ラテン文字転写:Peri hulēs iatrikēs、ラテン語訳: De materia medica
  6. ^ 単に『ピナクス』とも[3]
  7. ^ 『植物学原論』とも呼ばれる[16]
  8. ^ 『植物の属』とも[29]
  9. ^ ラテン語 fructificatio (英語のfruit-body に当たる[2])の用語は研究者により「結実」 、「果実体」や「植物の果実を構成しているすべての部分」など様々に用いられるが[31]、リンネの用法では英語の 葉や茎のような「栄養器官」に対する語として用いられ、本項の本文中で示すように植物の「生殖器官」の様々な部位を意味する語として用いられている。
  10. ^ フランス語: systematique
  11. ^ フランス語: methodique
  12. ^ 原文(章タイトル)はラテン語、"III. PLANTAE. 78. VEGETABILIA comprehendunt Familias VII: Fungos, Algas, Muscos, Filices, Gramina, Palmas, Plantas"[35]. 日本語に訳すと「植物は、7つの科からなる:菌類、藻類、蘚苔類、シダ類、禾本類、ヤシ類、植物類」となる[34]VEGETABILIA はこの文の主語で、「成長する(英語の vegetative)」を意味する第三変化形容詞 vegetābilis, e, n中性主格複数 vegetābilia名詞(成長するもの=広義の「植物」;形容詞の名詞的用法)として扱っている。comprehendunt は「を含む(英語の comprehend)」を意味する第三活用動詞 comprehendō, ere の三人称複数現在・能動相直接法Familias は「家族(英語の family)」を意味する第一変化名詞 familia, ae, f の女性複数対格(「~を」を表す)で、今日の「科」であり、で「7つの科を」となる。コロン以降の Fungos, Algas, Muscos, Filices, Gramina, Palmas, Plantas はそれぞれ fungus, alga, muscus, filix, grāmen, palma, planta の対格複数で Familias と同じ格であり、科の具体的内容を示している。なお本文中では FUNGI, ALGAE, MUSCI, FILICES, GRAMINA, PALMAE, PLANTAE[35]、何れも学名と同じ主格複数(「~類」を表す)となっている。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j 馬渡 1996, pp. 14–15.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 大場 2009, p. 259.
  3. ^ a b c d e f g 大場 2009, pp. 262–263.
  4. ^ a b 大橋広好 (2007). “木村陽二郎先生(1912.7.31 − 2006.4.3)業績と思い出”. Bunrui 7 (2): 85–88. ISSN 1346-6852. 
  5. ^ 巌佐ほか 2013, p. 1476.
  6. ^ a b c d 巌佐ほか 2013, p. 179.
  7. ^ 巌佐ほか 2013, p. 231.
  8. ^ a b c d 大場 2009, p. 257.
  9. ^ 三中 1997, p. 13.
  10. ^ a b c d 伊藤・井鷺 2018, pp. 11–13.
  11. ^ a b ベイリー 1996, p. 47.
  12. ^ 大場 2009, p. 264.
  13. ^ a b 伊藤 2013, p. 71.
  14. ^ a b c ICN 日本語版 2019, pp. 4–5, 第3.1条.
  15. ^ ベイリー 1996, p. 26.
  16. ^ a b ベイリー 1996, p. 28.
  17. ^ a b c d e f g 大場 2009, p. 261.
  18. ^ 巌佐ほか 2013, p. 1401.
  19. ^ ICZN 日本語版追補 2005.
  20. ^ a b c 伊藤・井鷺 2018, pp. 14–15.
  21. ^ ICN 日本語版 2019, p. 5, 第4.1条.
  22. ^ ICN 日本語版 2019, p. 5, 第4.2条.
  23. ^ 伊藤・井鷺 2018, pp. 81–82.
  24. ^ 大場 2009, pp. 267–270.
  25. ^ a b 角井 2018, p. 54.
  26. ^ Core 1955, p. 53.
  27. ^ 矢﨑裕規・島野智之 (2020). “真核生物の高次分類体系の改訂 ―Adl et al. (2019)について―”. タクサ 48: 71–83. doi:10.19004/taxa.48.0_71. 
  28. ^ a b c d 大場 2009, pp. 265–267.
  29. ^ a b c ベイリー 1996, p. 32.
  30. ^ a b c d ベイリー 1996, p. 30.
  31. ^ Fructificatio, -onis”. A Grammatical Dictionary of Botanical Latin. Missouri Botanical Garden (1995–2021). 2021年8月27日閲覧。
  32. ^ a b 三中 1997, p. 14.
  33. ^ 大場 2009, p. 276.
  34. ^ a b c d e 大場 2009, p. 267-270.
  35. ^ a b c Mark Garland (2000年11月11日). “III. PLANTAE. (Linnaeus’s Philosophia Botanica)”. botanicallatin.org. 2021年8月27日閲覧。
  36. ^ 大場 2009, p. 262.
  37. ^ a b 大場 2009, p. 303.
  38. ^ a b Core 1955, p. 37.
  39. ^ a b c d e 松浦 2009, pp. 17–18.
  40. ^ 松浦 2009, pp. 19–20.


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