メランコリー型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 07:53 UTC 版)
1980年にアメリカ精神医学会(APA)が出版した『精神障害の診断と統計マニュアル』第3版(DSM-III)は、DSM-IIの内因性うつ病というカテゴリーを削除し、うつ病のサブタイプにメランコリー型という分類を追加した。このメランコリーの特徴は、もっとも重篤な抑うつでまったく何も楽しめず、感じないといった特徴を持ち、最低限の栄養補給を誘導しなくてはならない。そして、1987年のDSM-III-Rのメランコリー型の診断基準には、身体的な抗うつ療法によく反応したことという一文が加えられ、それを実証した研究がないため議論が起こった。そのため実験が行われ、メランコリー型はそうでないものに比べて、身体的な抗うつ療法に良好な反応をするという知見は得られず、DSM-IVではこの基準は削除された。当時は、反応の違いの原因は重症度であり、中等症のうつ病に抗うつ薬が奏功すると考えられた(現在の知見と異なる)。なおDSM-IVではメランコリー型、DSM-5メランコリーと邦訳されている。 諸外国においても、操作的診断によるうつ病概念の混乱が生じており、ハゴップ・アキスカルやジャーマン・ベリオス、ヒーリーをはじめとした英米圏を代表する学者13名は連名で、DSMを発行している『アメリカ精神医学会誌』において、大うつ病性障害からメランコリーを切り離し、1つの臨床単位として独立させる必要性を提言している。食欲と体重が減少し、SSRI系抗うつ薬よりも三環系抗うつ薬によく反応し、内因性うつ病や典型的なうつ病と呼ばれてきたものである。
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