メトロポリタン美術館版
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「パリスの審判 (クラナッハ)」の記事における「メトロポリタン美術館版」の解説
制作年:1528年 技法 :油彩・板 サイズ:101.9 x 71.1 cm 所蔵:メトロポリタン美術館所蔵 メトロポリタン美術館版ではパリスは金のウォーハンマーを持ち、女神たちを見上げている。パリスのロングコートとパフ、スラッシュスリーブは当時の宮廷ファッションを反映している。ダチョウの羽のポンポンが付いた巨大なベレー帽は、高位の軍司令官が着用したもので、おそらくこの絵画でクラナッハのパトロンたちに紹介された。これに対して、ヘルメスが被っている2羽の鳥が乗った奇妙な帽子は空想である。この作例ではアプロディテは比較的明確に判別できる。3人の女神のうち中央に立つ女神だけが羽飾りのある赤い帽子とヴェールで身を飾り、最も魅力的に描かれている。またエロスも中央の女神に狙いをつけている。おそらく背景に描かれた海岸の都市はトロイアであり、その真上に配置された葉のない枯れた木の枝は、都市に破壊が来ることを暗示している。 最初に記録された絵画の所有者は、19世紀末のポーランド南西部のシレジア、グラーツ郡ミッテルシュタイン(Mittelsteine)、リュトヴィッツホフ(Lüttwitzhof)のリュトヴィッツ男爵(Freiherr von Lüttwitz)である。その後ウォリスフルト(Wallisfurth)のコンラート・フォン・ファルケンハウゼン男爵(Freiherr Konrad von Falkenhausen)のウォリスフルト城(Schloss Wallisfurth)、ブレスラウのE・ハブリッヒ(E. Hubrich)嬢、ベルリンの美術史家ゲオルク・フォス(Georg Voss)を渡り歩き、ミュンヘンの美術収集家マルセル・フォン・ネメシュ(Marczell von Nemes)のコレクションに加わった。ネメシュは1922年から24年にかけて絵画をニュルンベルクのゲルマン国立博物館に貸与し、その後アムステルダムのFrederik Muller & Cieに売却。メトロポリタン美術館は1928年に絵画を取得した。
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