マツの種類と感受性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/03 05:38 UTC 版)
マツの種類により線虫への感受性に差がある。日本産種は何れも感受性が高く、特にクロマツ(Pinus thunbergii)やチョウセンゴヨウ(P. koraiensis)は弱い。線虫が天然分布する北米産種は特に東部に分布する種を中心に線虫に抵抗性を示すものが多い。興味深いことにアジア産種であっても抵抗性を示す種がいくつか知られる、逆に北米種であっても西部やメキシコに分布するものを中心に弱いものもある。以下、古野(1982)における野外での観察による結果を基に、二井・古野(1979)、や清原・徳重(1971)も加えて感受性についてのリストを示す。人工的な線虫接種試験とカミキリの嗜好が加わる野外観察では結果が変わることが予想される。また、線虫接種試験では接種時の樹齢や接種量などにより差があり、抵抗性種であっても苗木に接種したり、過剰に接種すると枯れる場合がある。ゆえに抵抗性の強弱は研究者によって多少の相違があるので参考程度にされたい。 種名の後はその種の主な分布地を示す、米東=アメリカ大陸東部、米西=アメリカ大陸西部・メキシコ、亜=アジア、欧=ヨーロッパ 強抵抗性 テーダマツ(Pinus taeda、米東)、リギダマツ(P. rigida、米東)、ダイオウマツ(P. palustris、米東)、スラッシュマツ(P. elliotti、米東)、ニイタカアカマツ(P. taiwanensis、亜) やや抵抗性 ストローブマツ(P. strobus、米東)、バンクスマツ(P. banksiana、米東)、コントルタマツ(P. contorta、米西)、バビショウ(タイワンアカマツ, P. massoniana、亜)、レジノーサマツ(P. resinosa、米東)、クロマツ×バビショウ雑種第一代(F1)、P. tabuliformis(亜) やや感受性 シロマツ(P. bungeana、亜)、モンチコラマツ(P. monticola、米西)、P. storobiformis(米西)、ゴヨウマツ(P. parviflora、亜)、アカマツ(P. densiflora、亜)、フランスカイガンショウ(P. pinaster、欧)、ヨーロッパアカマツ(P. sylvestris、欧亜)、ポンデローサマツ(P. ponderosa、米西)、ラジアータマツ(P. radiata、米西)、 強感受性 クロマツ(P. thunbergii、亜)、チョウセンゴヨウ(P. koraiensis、亜)、リュウキュウマツ(P. luchuensis、亜)、ヨーロッパクロマツ(P. nigra、欧)、モンタナマツ(P. mugo、欧)、P. muricata(米西)、P. leiophylla(米西) このリストには載せてないがハイマツ(P. pumila)や屋久島・種子島に分布する絶滅危惧種ヤクタネゴヨウ(アマミゴヨウ、P. amamiana)も感受性である。ただし、ハイマツなどは比較的寒冷地に分布するために実験室以外の野外で影響を受けることは今のところあまりないとされる。 また、マツ属以外のマツ科樹木のうちモミ属(Abies)、トウヒ属(Picea)、カラマツ属(Larix)、ヒマラヤスギ属(Cydrus)の一部樹木についてマツノザイセンチュウによる枯死例が報告されている。
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