融剤
フラックス法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 07:11 UTC 版)
ミョウバンを濃く水に溶かし、その中に結晶の粒を吊しておくと、大きな単結晶に育ってゆく。これと同様な方法でコランダム単結晶を育てるのだが、アルミナは常圧下の水には溶けないので、融解したフラックスに溶かす。フラックスにはフッ化鉛、酸化鉛などが用いられる。この方法によるコランダムは1960年代から製造されるようになった。 ルツボ中の原料を加熱してフラックスを融解し、1,000℃以上に保持してアルミナほかを溶かしたのち、1時間に数度の速度で冷却して過飽和状態にすると、約900℃でコランダムの単結晶が析出する。この方法は格子欠陥の少ないmm単位の単結晶の製造には適するが、実用的な宝石の大きさに育てるには時間がかかる。飽和状態を保って2か月程度電気炉で加熱すると、200グラムを超える単結晶の巨大なルビーが得られる。煙状の包有物から、天然物とは区別できる。 従来は長時間を必要としていたが数時間で天然ルビーと同じ構造の六方両錐結晶を、酸化モリブデンをフラックスとして用い約1,000℃でアルミナルツボ中で製造する方法を、信州大学の大石修治らの研究グループが2011年に開発した。
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