ナッシュの治療
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 04:17 UTC 版)
「トラビス (チンパンジー)」の記事における「ナッシュの治療」の解説
救急隊員はナッシュの傷を見て「身の毛がよだつ様だった」と形容している。ナッシュは事件直後の72時間以内に、顔面と手に対して4組の外科チームによって7時間以上の外科手術を受けた。病院側はナッシュの傷が想像を絶する壮絶さであったので、最初に彼女を治療した医療者達の心的外傷を考慮し、カウンセラーによるカウンセリングを受けることを勧めざるを得なかったほどである。救急医療隊員はナッシュが両手、鼻、両目、唇、顔の中心骨格を失っており、重要な脳組織が傷つけられていると記録に残している。医師団は顎を接着することに成功したが、2009年4月7日彼女に「生涯視力を回復することはない」と告げた。彼女に施された顔面移植術は実験的な術式であった。 スタンフォード大学で最初に受けた手術のあとに、ナッシュはオハイオ州クリーブランドにあるクリーブランド・クリニックに転院した。彼女の家族は、この先いくら掛かるか見当がつかない治療費のために、そして娘を支援するための資金を工面するために信託基金の積み上げを開始した。 ナッシュは2009年11月11日に、『オプラ・ウィンフリー・ショー』で初めて傷ついた自分の顔を公に晒した。そのとき彼女は、身体的な苦痛はなくなっており、彼女の家族によれば彼女はまもなくクリーブランド・クリニックから退院するとのことであった。インターネットのブログには惨劇の前後のナッシュの顔の画像が表示されている。 2011年6月、ナッシュはハーバード大学メディカル・スクール傘下の医療教育機関であるブリッグマン・アンド・ウーメンズ・ホスピタル(同病院からは移植用の顔面と手の提供を受けている)のボーダン・ポマハク博士の手術チームによる移植手術を受けた。ナッシュの手の手術は成功したが、彼女はその後肺炎に罹り、医師団は感染症と血行の不良のために移植された手を切り離さざるを得なかった。
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