スカラーポテンシャル
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スカラーポテンシャルは、ある位置から他の位置へと物体が移動するときのポテンシャルエネルギーの変化が位置のみに依存し移動経路に依存しないときのポテンシャルである。このときのポテンシャルは方向に依存しない値、すなわちスカラーである。よく知られた例は重力によるポテンシャルエネルギーである。物理領域では特に静電ポテンシャルを指す場合がある。
1つの例は地表近くの(ほぼ)一様な重力場である。これはポテンシャルエネルギー
を持つ。Uは重力ポテンシャルエネルギーでhは地表上の距離である。これは等値線図上の重力ポテンシャルエネルギーは高度に比例することを意味する。等値線図においては、高度の2次元負勾配は2次元ベクトル場であり、このベクトルは常に等値線に対して垂直であり重力の方向に対しても垂直である。しかし、等値線図において丘陵地帯となっているところではUの3次元負勾配は常に重力の方向F真下に向いている。しかし、丘を転がる球は丘の表面の垂直力により真下に直接移動することはできず、丘表面に垂直な重力の成分は相殺される。球を動かすために残る重力成分は表面に平行である。
θは傾きの角度。重力に垂直なFSの成分は
となる。地表に平行なこの力FPはθが45度のとき最大となる。
等値線図上の等値線間の高度の等間隔をΔhとし、2つの等値線間の距離をΔxとすると以下のようになる。
よって
しかし、等値線図上では勾配はΔxに反比例し、FPと同じようではない。等値線図上の高度は正確には2次元ポテンシャル場ではない。力の大きさは異なるが、力の方向は等値線図でも等値線図で表される地表の丘陵地帯でも同じである。
浮力ポテンシャルとしての圧力
流体力学において、平衡状態にあるが一様な重力場の存在下では一様な浮力が重力を相殺するように浸透する。つまり、流体はその平衡状態を維持する。この浮力は負の圧力勾配である。
浮力は重力と反対方向の上向きを向いているため、流体内の圧力は下向きに増加する。静的な水域内の圧力は水面下の深さに比例して増加する。一定圧力の面は表面に平行な平面であり、これはゼロ圧力の平面として特徴づけることができる。
液体が(その回転軸が表面に対して垂直である)垂直渦を有する場合、その渦は圧力場にうぼみを生じさせる。渦の内側の液体の表面は等圧力の表面同様下方向に引っ張られるが、液体表面と平行に保たれる。この効果は渦内部で最も強く、渦軸から離れるにつれて急速に減衰する。
流体に浸かり囲まれた固体物体上の流体による浮力は、物体の表面に沿って負の圧力勾配を積分することにより得ることができる。
動いている飛行機の翼は、翼の上の空気圧を下の空気圧に比べて減少させる。これにより重力に対抗するのに十分な浮力が生み出される。
ユークリッド空間におけるスカラーポテンシャル
3次元ユークリッド空間において、非回転ベクトル場Eのスカラーポテンシャルは次式で与えられる。
はr'に関する微小体積要素である。このとき
これはEが連続的であり無限大に向かい漸近的に0まで減少し、1/rより速く減衰し、Eの発散が無限大に向かうと減衰し1/r2よりも速く減衰する場合に成り立つ。
違う書き方をすると
はニュートンポテンシャルである。これはラプラス方程式の基本解であり、Γのラプラシアンがディラックのデルタ関数の負の値に等しいことを意味する。
このとき、スカラーポテンシャルはEとΓの畳み込みである。
実際、非回転ベクトル場と回転不変ポテンシャルの畳み込みも非回転である。非回転ベクトル場Gは次のように表される。
ゆえに
となる。
もっと一般的には、式
は、次式で与えられるニュートンポテンシャルを用いることでn次元ユークリッド空間 (n > 2) で成り立つ。
ωnは単位n次元球の体積である。証明は同じである。あるいは、部分(もしくはより厳密に言えば畳み込みの性質)による積分は以下の式を与える。
関連項目
脚注
- ^ Herbert Goldstein. Classical Mechanics (2 ed.). pp. 3–4. ISBN 978-0-201-02918-5
- ^ The second part of this equation is only valid for Cartesian coordinates, other coordinate systems such as cylindrical or spherical coordinates will have more complicated representations, derived from the fundamental theorem of the gradient.
- ^ See [1] for an example where the potential is defined without a negative. Other references such as Louis Leithold, The Calculus with Analytic Geometry (5 ed.), p. 1199 avoid using the term potential when solving for a function from its gradient.
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