ジェノサイドとしての認定に関する疑義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 01:07 UTC 版)
「スレブレニツァの虐殺」の記事における「ジェノサイドとしての認定に関する疑義」の解説
スレブレニツァの虐殺は、ICTYの裁判「検察官対クルスティッチ」の判決のなかでジェノサイドであると認定された。しかしながら、数千人におよぶボシュニャク人の民間人が、スルプスカ共和国軍によって殺害されたこの事件そのものの存在には疑いないとしつつも、この事件がジェノサイドと認定されたことについて、次のような疑問がもたれている。ジェノサイド条約によると、ジェノサイドとは、「国民的、人種的、民族的又は宗教的集団を全部又は一部破壊する意図をもつて」行われる行為であると定義している。1995年7月11日前後のスレブレニツァ陥落に続いて起こったこの事件では、この地域にいた全ての従軍可能年齢にある男性が殺害の対象とされた。他方で、女性や年少者、老人の多くはバスでボスニア政府側に引き渡されている。この点についてICTYの判決では、ムスリム人男性全ての殺害という「この行為が、スレブレニツァのムスリム人コミュニティを破壊するのに十分であることをスルプスカ共和国軍は理解していた」としている。しかしながら、成人男性のみを根絶の対象としていたこの事件は、明らかに「域内における特定集団の根絶を目的としていた」ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺や、ルワンダでのツチ人虐殺とは様相が異なっており、「人道に対する罪」であることは疑いないにせよ、「ジェノサイド」には相当しないとする主張もある。
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