コーハン式便所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 15:02 UTC 版)
コーハーン式便所の考案者はプラヤー・ナコーンプララーム(サワット・マハーガーイー、สวัสดิ์ มหากายี)で、モントン・ピサヌロークの元長官であり、1924年にはスワンカローク県とウッタラディット県の県知事の就任した。当時政府はロックフェラー財団と協力して、有鉤条虫症撲滅計画と国民に便所の使用を促すキャンペーンを行っていた。 穴式便所と便壺式便所は、悪臭や害虫の発生を防ぐには良い構造とはいえなかったため、プラヤー・ナコーンプララームは数多くの新型便所を考案した。その中からついにコーハーン式便所が試作された。この便所は排泄物を下方の槽に落とすようになっており、排せつ物を落とす円管は上に向かって婉曲しており、婉曲部に水を溜め、栓することができる。この便所では水を使って排泄物を流し、地面の下に埋設してある槽に流し込む。また害虫は導管の婉曲部の水で遮られて下の槽に達することはできない。下部の槽の中の排泄物と水は地面中に浸透していってしまうためにこの便所は「浸透式便所」(スワム・スム、ส้วมซึม)と呼ばれる。初期の頃の浸透式便所の構造は排泄物を直接地面に浸透させる方式を取ったために病気が伝染する可能性があるという欠点があった。そこで浸透槽の構造を改良し、まず槽をコンクリートで作り、さらに槽を2室もしくはそれ以上に分けて、その中に排泄物を通すことでバクテリアによる腐敗を促す腐敗槽(濾過槽、บ่อเกรอะ)を設置し、その腐敗槽を通った汚水を浸透槽に通し、浸透させる構造になった。この構造によって、完全ではないものの初期の浸透式便所よりも安全性が高まった。コーハーン(アヒルの首)型便器と腐敗・浸透槽式(スワム・スム)構造を持つ便所は、穴式便所や便壺式便所に取って代わるようになり、より清潔、快適、そして安価な便所として普及し、現在なお使用されている。
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