みづうみ
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『みづうみ』は、川端康成の長編小説。川端の日本的鎮魂歌路線とは異質で、発表当初、好悪の分れる衝撃的な作品として受け取られ[1]、〈魔界〉のテーマが本格的に盛り込まれ始めた小説である[2][3][4]。気に入った美しい女を見かけると、その後を追ってしまう奇行癖のある男が、ある聖少女の美しい黒い目の中のみずうみを裸で泳ぎたいと願う物語。様々な女性への秘めた情念を、回顧、現実、妄想、幻想などの微妙な連想を織り交ぜた「意識の流れ」で描写し、「永遠の憧れの姿」に象徴化させている[1]。現代仮名遣いでは『みずうみ』表記だが、原題のまま論じられることが多い[5]。
- ^ a b c d e f g h i 中村真一郎「解説」(みづうみ文庫 1991, pp. 148–153)
- ^ a b 「第八章 『みづうみ』への道――〈魔界〉の最深部 第六節 〈魔界〉の構造と〈美〉の由来」(森本・下 2014, pp. 194–207)
- ^ a b 「第八章 『みづうみ』への道――〈魔界〉の最深部 第七節 『みづうみ』と『住吉』連作」(森本・下 2014, pp. 208–218)
- ^ 「第7章 稲妻と蛍――『みづうみ』の彷徨」(富岡 2015, pp. 149–174)
- ^ a b 田村充正「みづうみ」(事典 1998, pp. 343–345)
- ^ a b c d e f g h 「解題――みづうみ」(小説18 1980, pp. 579–585)
- ^ a b c 志村三代子「川端康成原作映画事典――28『女のみづうみ』」(川端康成スタディーズ 2016, pp. 250–251)
- ^ 「作品年表――昭和29年(1954)」(雑纂2 1983, pp. 558–560)
- ^ 「著書目録 一 単行本――115」(雑纂2 1983, pp. 608–609)
- ^ 「翻訳書目録――みづうみ」(雑纂2 1983, p. 671)
- ^ a b 月村麗子「川端康成著『みづうみ』の主題と手法」(解釈 1977年1月号。のち寧楽書房、1977年)。事典 1998, p. 344、今村 1988, pp. 177–178、森本・下 2014, p. 210に抜粋掲載
- ^ a b c d e f g h i 田村 1997
- ^ a b c d 林武志「みづうみ」(『鑑賞日本現代文学15 川端康成』角川書店、1982年11月)。今村 1988, p. 166、山中 2004, p. 36、森本・下 2014, pp. 212–213に抜粋掲載
- ^ a b c d e f g 原善「川端康成『みづうみ』論」(文芸空間 第3号 1979年12月号)。「『みづうみ』論」として原善 1987, pp. 80–111に所収
- ^ 「まへがき」(『湖』有紀書房、1961年10月)。雑纂1 1982, pp. 167–168
- ^ 山中 2004
- ^ 大江健三郎「『みづうみ』について」(文藝 1963年8月号)。事典 1998, pp. 344に抜粋掲載
- ^ a b 三島由紀夫・大岡昇平・寺田透「創作合評」(群像 1955年6月号)。文芸読本 1984に所収。事典 1998, p. 344に抜粋掲載
- ^ a b 「川端康成著『みづうみ』」(朝日新聞 1955年4月16日号)。三島28巻 & 2003-03, p. 461
- ^ 「永遠の旅人――川端康成氏の人と作品」(別冊文藝春秋 1956年4月・51号)。『亀は兎に追ひつくか』(村山書店、1956年10月)、三島29巻 2003, pp. 204–217に所収
- ^ a b c 中村光夫「『みづうみ』と『眠れる美女』」(『川端康成全集第11巻 みづうみ・眠れる美女』月報12 新潮社、1962年8月)。小説18 1980月報2に再録
- ^ a b 「魔界の源流――川端文学における孤児・不妊・魔界」(都大論究 第21号 1984年3月号)。「魔界の源流」として原善 1987, pp. 2–23に所収
- ^ a b 「『千羽鶴』論」(原善 1987, pp. 44–79)
- ^ 辻邦生「川端康成諭――宿命について」(文藝 1963年8月号)。原善 1987, p. 73に抜粋掲載
- ^ a b 岩田光子『川端文学の諸相―近代の幽艶―』(桜楓社、1983年10月)。山中 2004, p. 37、今村 1988, p. 166に抜粋掲載
- ^ 恒川茂樹「川端康成〈転生〉作品年表【引用・オマージュ篇】」(転生 2022, pp. 261–267)
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