『おともだち』(1983年)
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「高野文子」の記事における「『おともだち』(1983年)」の解説
詳細は「おともだち (漫画)」を参照 翌1983年7月、第2単行本『おともだち』を刊行。1981年から83年までの作品5編を収録た短編集で、日本を舞台にした作品3篇からなる「日本のおともだち」と、アメリカを舞台にした2編からなる「アメリカのおともだち」の2部で構成されている。箱入りの上製本で、南伸坊による絵本のような装丁が当時話題となった。 「日本のおともだち」の中心となるのは100ページ超の作品「春ノ波止場デウマレタ鳥ハ」である。大正時代の女学校を舞台に、演劇を通じて心を通わせあう二人の少女を描いた作品で、『絶対安全剃刀』収録作品とはうって変わって古典的なストーリーを描いている。ここまでの高野の最長作品で、1ページあたりのコマ数も少なく余裕のあるコマ割りがなされており、作中の少女もこれまでになく丸みを帯びた可愛らしい造形で描かれている。またいしかわじゅんは、それまでロングショットだけで作中人物を描いてきた高野がこの作品からアップを使い始めたことを「劇的な変化」として指摘している。 「アメリカのおともだち」は、「春ノ波止場デウマレタ鳥ハ」の前後に描かれた「ボビー&ハーシー」と「デイビスの計画」の2編からなる。前者は60年代のアメリカ文化を背景にしたポップなラブストーリーであり、後者は少女の活躍するスパイ活劇風の作品で、後者の主題は後の『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』に引き継がれることになる。 『おともだち』は当初、高野の夫の秋山協一郎が発行人を務める綺譚社から刊行された。『おともだち』刊行前後、高野は綺譚社で電話番として働いており、同社の発行する同人雑誌『綺譚』に2ページの作品「雪国」を掲載したりしている。また秋山は80年代前半、角川書店発行の『バラエティ』に参加しており、その関係で高野もこのころ同誌に短編やイラスト・カットを掲載している(いずれも単行本未収録)。
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