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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/17 03:00 UTC 版)

なお、IETF以外の組織・コミュニティにおいても、同様の目的の文書群をRFCと呼称する事例が存在する。

歴史

RFCというコンセプトは、1969年にARPANETプロジェクトにおいて生まれた[1]。今日では、Internet Engineering Task Force (IETF)やインターネットアーキテクチャ委員会 (IAB)、およびコンピュータネットワーク研究者の世界的なコミュニティの公式発表の場となっている。

初期のRFCはタイプライターで執筆され、DARPAの研究者にそれをコピーした紙が配布された。現在のRFCとは異なり、初期のRFCの多くは文字通り実際にコメントを求めるものであり、宣言のような響きを避け、議論を促すために"Request for comments"という名前が付けられた[2][3]。初期のRFCには、特に決まったフォーマットはなかった。現在では、RFCになる前の段階であるインターネットドラフトの文書がこのような形式になっている。ARPANETが1969年12月に稼働し始めると、RFCの配布はARPANET上で行われるようになった。

RFC 1 は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のスティーブ・クロッカーが執筆し、1969年4月7日に発表された「ホスト・ソフトウェア」である[4]。このRFCは、執筆したのはクロッカーであるが、クロッカーとスティーブ・カー、ジェフ・ルリフソンによる初期のワーキンググループでの議論により生まれたものである。

クロッカーが執筆した RFC 3 で「RFCとは何であるか」が最初に定義され、RFCはDARPAのネットワーク・ワーキンググループに帰属するものとされた。ただし、これは正式な委員会ではなく、ARPANETプロジェクトに関心のある研究者のゆるやかな集まりであり、誰でも参加できた。

UCLAにはARPANETの最初のIMP(Interface Message Processor)の一つが置かれていたため、1970年代のRFCの多くもUCLAから発信された。ダグラス・エンゲルバートが所長を務めたスタンフォード研究所オーグメンテイション研究センター(ARC)は、ARPANETの最初の4つのノードのうちの1つであり、初期のRFCもここから発信された。ARCには最初のInterNICが置かれ、エリザベス・J・ファインラー英語版が管理し、他のネットワーク情報とともにRFCを配布した[5]。1969年から1998年までは、ジョン・ポステルがRFCを管理した。1998年にポステルが亡くなると、彼の訃報が RFC 2468 として発表された。

アメリカ連邦政府とのARPANETの契約が切れた後、IETFを代表してインターネットソサエティ南カリフォルニア大学(USC)情報科学研究所(ISI)のネットワーク部門と契約し、IABの指示の下でRFCの発行を行うことになった[6]

RFCの歴史については RFC 2555 に30 Years of RFCsとしてまとめられている。

位置付け

すべての RFC が標準というわけではない(RFC 1796 "Not All RFCs are Standards")。各 RFC には標準化プロセスにおける位置付け (status) が定められている。位置付けは「情報 (Informational)」、「実験的 (Experimental)」、「現状で最良の慣行 (Best Current Practice, BCP)」、「標準化過程 (Standards Track)」、「歴史的 (Historic)」のいずれかである。

「標準化過程」はさらに「標準への提唱 (Proposed Standard, PS)」、「インターネット標準 (Internet Standard, STD)」に分けられる(詳しくはインターネット標準を参照のこと)。

「情報(Informational, Info)」
エイプリルフールのジョーク、プロプライエタリなプロトコル、RFC 1591DNSの構造と権限の委任)のように広く不可欠なものと認められた RFC など、ほとんどあらゆるものが含まれる。「情報」RFC には「参考 (for your information, FYI)」と呼ばれる一連の文書も含まれる。
「実験的(Experimental, Exp)」
インターネットに関して有用と考えられる研究成果や実験結果を広く公開するためのものである。実験的といっても、実際には具体的な手続きをとろうとする者がいないために標準化過程へ昇格していないだけの文書も含まれる。
「現状で最良の慣行(Best Current Practice, BCP)」
「情報」には留まらないが実際にネットワークで使われるデータには影響しない、公的なルールと見なされている実務上の文書などである。またインターネット標準を実践するための技術的な推奨事項も含まれる。
「歴史的(Historic, Hist)」
標準化過程で破棄された文書や標準化以前に公開されていた廃れた RFC に適用される。

なお、非常に古い RFC には「不明 (unknown)」という位置付けのものがあり、もし同じ文書が現在公開されるとしたらどの位置付けになるかは明らかでない。


注釈

  1. ^ 代表的なものとして鳥類キャリアによるIP

出典

  1. ^ “Stephen D. Crocker, How the Internet Got Its Rules, The New York Times, 6 April 2009”. Nytimes.com. (2009年4月7日). https://www.nytimes.com/2009/04/07/opinion/07crocker.html?_r=1&em 2012年4月3日閲覧。 
  2. ^ Hafner, Katie; Lyon, Matthew (1996). Where Wizards Stay Up Late: The Origins of the Internet.
  3. ^ Metz, Cade (May 18, 2012). “Meet the man who invented the instructions for the Internet”. Wired. https://www.wired.com/2012/05/steve-crocker/ 2018年12月18日閲覧。. 
  4. ^ Crocker, Steve (1969年4月7日). RFC 1 (Report).
  5. ^ Elizabeth J. Feinler (July–September 2010). “The Network Information Center and its Archives”. Annals of the History of Computing 32 (3): 83–89. doi:10.1109/MAHC.2010.54. 
  6. ^ Leslie Daigle (2010年3月). “RFC Editor in Transition: Past, Present, and Future”. The Internet Protocol Journal (Cisco Systems) 13 (1). http://www.cisco.com/web/about/ac123/ac147/archived_issues/ipj_13-1/131_rfc.html 2011年8月17日閲覧。 


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