Mycin Mycinの概要

Mycin

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/26 01:13 UTC 版)

手法

Mycin は、かなり単純な推論エンジンを使い、500程度の規則からなる知識ベースを持つ。医師に対して、単純な「はい/いいえ」で答える質問や何らかの文章で答える質問をいくつもして、最終的に犯人と思われる細菌名のリスト(確率の高い順)とそれぞれの信頼度、なぜそう推論したかという理由、推奨される薬物療法のコースを示す。

Mycin は成功を収めたにもかかわらず、現在では人工知能の講義などで、アドホックな確率的フレームワークを作ってしまうことへの警鐘を示す例とされることがある。Mycin は、確信度係数システムによってノイズが混入するため、推論の深さが制限されてしまった。この問題は、ベイズ推定などの厳密な確率的フレームワークを採用することで防ぐことができる。

結果

スタンフォード医学部での調査によると、Mycin の診断結果は 65% の正しさであり、細菌感染の専門でない医師よりはよい結果だが、専門医の診断結果(80%)よりも悪かった。

実用

実のところ、Mycinは現場では決して使われなかった。これは性能が悪かったせいではない。スタンフォードの医学部で試用されたときには優れた性能を示した。むしろ倫理や法律の面で、コンピュータを医療に使って間違った診断を下した場合、誰が責任を取るのかという問題であった。また、人間の専門家がそのようなものを受け入れることへの抵抗もあった。

この開発の際や後のエキスパートシステムの開発に際しても、専門家の知識を引き出して規則にすることの困難さが明らかになった。後にこれが知識工学を生むこととなる。

関連項目

参考文献

  • The AI Business: The commercial uses of artificial intelligence, ed. Patrick Winston and Karen A. Prendergast. ISBN 0-262-23117-4

外部リンク




「Mycin」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Mycin」の関連用語

Mycinのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Mycinのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのMycin (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS