FIA 世界耐久選手権 競技規定

FIA 世界耐久選手権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/03 05:46 UTC 版)

競技規定

開催されるレースは基本6時間以上の耐久レースとする。

ドライバーの格付け

出場するドライバーはWEC以外も含めたレースでの経験や実績に基づきFIAにより「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」という4段階のステータスに分類される[21]。また、各カテゴリーにはドライバーのステータスに応じて以下の参戦条件が設定される。

  • 最下級であるブロンズのドライバーは、ハイパーカーに出場できない。
  • LMP2のマシンでは、ドライバー編成(2名ないし3名)に最低1名はシルバーもしくはブロンズのドライバーを入れる。
  • LMGT3のマシンでは、ドライバー編成(2名ないし3名)にブロンズとシルバーのドライバーを最低1名ずつ起用する[22]

チャンピオンシップ

WECでは以下のチャンピオンシップが設定される。(2024年時点[23]

  • ドライバーズチャンピオンシップ、またはドライバーズトロフィー
    • 対象 - 各クラスの参戦ドライバー(ハイパーカークラスは世界選手権)
  • マニュファクチャラーズチャンピオンシップ(世界選手権)
    • 「ル・マン」プロトタイプ / LMH / ハイパーカー部門 - LMP、LMH、LMDhを開発する自動車メーカー(2012年 - 2017年、2022年 - )。最大2台の車両をエントリー可能。
  • クラスチャンピオンシップ
    • FIA ワールドカップ・ハイパーカーチーム - ハイパーカークラスで2台を超えてエントリーしたメーカーのカスタマーチーム。2024年現在はハーツ・チーム・ジョタの2台とプロトン・コンペティション(前述の3台はポルシェ)、AFコルセ(フェラーリ)の計4台が対象となる。
    • LMGT3トロフィー - LMGT3クラスに参戦するチーム

以前存在したチャンピオンシップ

  • LMP1、LMH・チームチャンピオンシップ - LMP1、LMHクラスで参戦するチーム(2018年 - 2021年)[24]
  • LMP1・プライベータートロフィー - LMP1クラスのプライベーターチーム(2017年をもって廃止)[25]
  • LMGTE Proトロフィー - LMGTE Proクラスで参戦するチーム(2017年をもって廃止)[25]
  • 2014年シーズンに、LMP1カテゴリーはハイブリッドカーを対象とするLMP1-Hクラスと非ハイブリッドカーのLMP1-Lクラスに分割されたが[26]、2015年シーズンに選手権としてのLMP1カテゴリーは単独のLMP1クラスに統合され、わずか1年でLMP1カテゴリーの分割状態は終了した。ただし、ハイブリッドカーと非ハイブリッドカーに分けて車両規定を別々に規制する制度は残った。旧LMP1-Hクラスは「LMP1 Hybrid」に、旧LMP1-Lクラスは「LMP1 non Hybrid」に改称されて、「LMP1 Hybrid」車両に対してはERSの使用を認める替わりに車両最低車重が「LMP1 non Hybrid」車両より重く設定される等の同一LMP1カテゴリーで別個の規定が課せられる[27]。なお、非ハイブリッドカーのLMP1プライベーターに関しては、本来のLMP1カテゴリーの選手権と別のLMP1プライベーター・トロフィが懸けられていた[28][29]
  • 「ル・マン」耐久グランドツーリングカー部門 - LMGTEを開発する自動車メーカー(2017年から世界選手権に昇格)[30]
  • LMP2 Pro/Amトロフィー - LMP2クラスに参戦するチームで、ブロンズドライバーを起用しているチーム(2022年をもって廃止)
  • LMP2トロフィー - LMP2クラスに参戦するチーム(2023年をもって廃止)
  • LMGTE Amトロフィー - LMGTE Amクラスに参戦するチーム(2023年をもって廃止)

ポイントシステム

マニュファクチャラーズポイントは、各マニュファクチャラーの最上位のマシンに付与される。2012年のみ全8戦中6戦の有効ポイント制を採用した[31]ル・マン24時間レースを必ず含む)。2021年まで各レース1位から10位のマシンにポイントが与えられ、11位以下で完走したマシンには10位の半分のポイントが与えられたが、2022年から10位以内のマシンのみに与えられることとなった[32]。ただし、ル・マン24時間レースは獲得ポイントが2倍(2018年、2019年は1.5倍)、2019年より追加されたセブリング1000マイルレースは獲得ポイントが1.5倍になる。また2019 - 2020年シーズンより追加された8時間レースと2024年シーズンに組み込まれたカタール1812kmレース(10時間レース)においてもセブリング同様の扱いとなる。

イベント 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位 PP
6時間レース 25 18 15 12 10 8 6 4 2 1 1
8時間 / 1000マイル / 10時間レース / 1812km 38 27 23 18 15 12 9 6 3 2 1
ル・マン24時間レース 50 36 30 24 20 16 12 8 4 2 1

  1. ^ FIA/ACO, FIA World Endurance Championship, 2020 Le Mans Prototype Hypercar Technical Regulations, Paris: Fédération Internationale de l'Automobile, 2019-12-04, p. 1
  2. ^ a b WEC:2020/21年の新車両規定は”自由度”高し。さまざまタイプのハイパーカーをBoPで管理へ”. as-web. 2019年6月14日閲覧。
  3. ^ a b IMSA&WEC:“LMDh”規則の詳細発表。ハイブリッドシステム供給メーカーも明らかに - オートスポーツ・2020年9月19日
  4. ^ ル・マン・ハイパーカーとLMDhの“コンバージェンス”詳細が発表。4つの技術エリアで性能均衡を図る”. autosport web. 2021年7月10日閲覧。
  5. ^ LMP2クラスの廃止が正式決定。2024年のWECはハイパーカーとLMGT3の2クラスで構成”. autosport web. 2023年6月9日閲覧。
  6. ^ フォード、IMSA&WECでのGTワークス活動を終了。今後はカスタマーチームのサポートを実施”. auto sport web (2019年4月19日). 2019年8月10日閲覧。
  7. ^ BMW、6月のル・マン24時間を最後にWECでのワークス活動終了を発表。IMSAには継続参戦”. auto sport web (2019年5月22日). 2019年8月10日閲覧。
  8. ^ LMGTEプロは2022年での終了が決定。2024年以降のWEC/ル・マンはGT3プロアマを新設へ | ル・マン/WEC | autosport web”. AUTO SPORT web (2022年6月10日). 2023年9月22日閲覧。
  9. ^ GTE規定は2023年で終了。GT3ベースの新カテゴリーが2024年ル・マン/WECに誕生へ”. autosport web. 2021年8月20日閲覧。
  10. ^ プジョー9X8のフロントバルクヘッド&リヤから覗くプルロッド【WEC富士テクニカルウォッチ2】 - オートスポーツ・2022年9月10日
  11. ^ WEC:ル・マン・ハイパーカーの出力が約115馬力削減。LMDhとの調整図る”. autosport web. 2020年5月12日閲覧。
  12. ^ トヨタGR010ハイブリッドに新たな“足枷”。BoP変更でモーター使用は『190km/h以上』に/WEC第1戦セブリング”. autosport web. 2022年3月9日閲覧。
  13. ^ a b ル・マン・ハイパーカーとのギャップ拡大のため、LMP2に追加のスピード抑制/WEC”. autosport web. 2021年4月2日閲覧。
  14. ^ 17年からのLMP2エンジンはギブソンのワンメイクに”. オートスポーツ (2015年9月15日). 2016年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月22日閲覧。
  15. ^ GK428”. ギブソンテクノロジー. 2021年12月19日閲覧。
  16. ^ 17年からのLMP2マニュファクチャラー4社が決定”. オートスポーツ (2015年7月10日). 2016年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月22日閲覧。
  17. ^ ランボルギーニのLMDh参入発表が保留との噂/新BoP、早速変更の可能性etc.【WECプロローグ・初日Topics】”. autosport web. 2022年3月13日閲覧。
  18. ^ WECからLMP2が消滅か、FIAとACOが2024年廃止の可能性を示唆。新規定は2026年に先送り”. autosport. 2022年12月8日閲覧。
  19. ^ WEC:2021年から予選方式を変更。LMP2ではブロンズ向け「プロ/アマトロフィー」を新設”. autosport web. 2020年12月7日閲覧。
  20. ^ “WEC:さらなる均一化のため“人間性”を排除。LM-GTEプロの新BoPシステム概要発表”. AUTOSPORT web. (2017年4月5日). http://www.as-web.jp/sports-car/105338?all 2017年11月1日閲覧。 
  21. ^ 鈴鹿10時間前に知っておきたい、FIAドライバーカテゴライズシステム | ル・マン/WEC | autosport web”. AUTO SPORT web (2018年8月16日). 2023年12月20日閲覧。
  22. ^ レクサス、WECとル・マン24時間レースに参戦へ! フランスの強豪ASPとタッグ、RC F GT3の2台体制”. jp.motorsport.com (2023年10月24日). 2023年12月20日閲覧。
  23. ^ ABOUT WEC”. toyotagazooracing.com. 2023年5月1日閲覧。
  24. ^ Dagys, John (2017年11月15日). “WEC Set for LMP1 World Teams' Title in 2018/19”. Sportscar365. John Dagys Media. 2021年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月8日閲覧。
  25. ^ a b Goodwin, Graham (2017年12月19日). “Key Changes To The 2018 FIA WEC Regulations Outlined”. DailySportsCar. 2022年7月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月8日閲覧。
  26. ^ Dagys, John (2013年10月7日). “FIA Confirms Changes to LMP1 Rules”. Sportscar365. John Dagys Media. 2021年4月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月9日閲覧。
  27. ^ 2015 Regulations”. FIA 世界耐久選手権. 2015年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月19日閲覧。
  28. ^ Goodwin, Graham (2014年3月1日). “FIA WEC Regulation Changes Confirmed”. DailySportsCar. 2015年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月9日閲覧。
  29. ^ Dagys, John (2014年12月20日). “2015 FIA WEC Sporting Regulations Released”. Sportscar365. John Dagys Media. 2021年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月9日閲覧。
  30. ^ WEC GTE class upgraded to world championship status”. motorsport.com. 2016 年 12 月 1 日閲覧。
  31. ^ WEC、トヨタを考慮し2012年のポイント制を変更 アーカイブ 2016年3月4日 - ウェイバックマシン (2012年2月16日掲載)
  32. ^ 2022 FIA World Endurance Championship: Sporting Regulations”. 国際自動車連盟. pp. 76 (2021年12月15日). 2022年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月7日閲覧。
  33. ^ フェラーリはイタリアを代表する自動車メーカーだが、FIA世界耐久選手権の公式ホームページの記載 アーカイブ 2013年11月22日 - ウェイバックマシン (2013年12月2日閲覧)に則り、国籍をアメリカ合衆国とした。
  34. ^ 【FIA WEC 6 Hours of FUJI】トヨタ、地元の富士スピードウェイで1-2フィニッシュで同レース3連覇を達成”. CAR Watch (2014年10月12日). 2014年10月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月13日閲覧。
  35. ^ WEC 2015 第6戦 富士6時間レース アウディが肉薄するもポルシェが4連勝を達成”. オートプルーブ. Yahoo (2015年10月15日). 2016年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月28日閲覧。





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