米 生産と流通

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/19 09:39 UTC 版)

生産と流通

米の生産

米の生産高 トップ20ヶ国
(2010年、百万トン、FAO統計)[13]
中華人民共和国 197.2
インド 120.6
 インドネシア 66.4
バングラデシュ 49.3
 ベトナム 39.9
 ビルマ 33.2
タイ 31.5
フィリピン 15.7
ブラジル 11.3
アメリカ合衆国 11.0
日本 10.6
カンボジア 8.2
 パキスタン 7.2
韓国 6.1
マダガスカル 4.7
 エジプト 4.3
スリランカ 4.3
ネパール 4.0
ナイジェリア 3.2
ラオス 3.0

年間生産量は6億5000万トンを超える(籾。以下いずれも農林水産省『海外統計情報』より、「FAOSTAT」の2007年統計[14])。米は小麦(年間生産量6億599万トン)、トウモロコシ(年間生産量約7億9179万トン)とともに世界の三大穀物といわれる。1980年代の生産量は4億5000万トン前後であったため大幅に増産されていることが理解される。

生産量は増加基調だが、在庫量は需要の伸びを背景に2000年をピークに減少している。在庫率は2006年には20%を割り込んだ[15]

世界の米の生産量(2000年)

米の9割近くはアジア圏で生産され、消費される。最大の生産国中国で、インドインドネシアが続く。

日本における生産状況

日本の農業において、米は最重要の農産物であり、農産物全体に占める生産額の割合は、単一の作目としては最大であり続けている。しかしながら、近年一貫してその比率を落とし、1960年代は50%前後だったものが、2018年(平成30年)には18.6%に縮小している。生産額は、1984年(昭和59年)の3兆9,300億円(年間生産量約1180万トン)をピークとして、2014年(平成26年)には1兆4,343億円(年間生産量約844万トン)程度まで減少し[16]、米、野菜(米、果物を除く耕種)、畜産物、果物の分類においては、2000年前後には畜産物に、2005年前後には野菜に抜かれ、日本の産業としての農業における地位は年々低下している[17]

太平洋戦争後、米は日本の農業政策の根幹であったため、昭和40年代(1965年-1974年)初頭に米の自給が実現できるようになって以降は原則として輸入がなされなかった。が、ウルグアイ・ラウンドにおいて、関税化を延期する代償としてコメにおいては他品目よりも厳しい輸入枠(ミニマム・アクセス)を受け入れ、1993年(平成5年)以降、年間77万トンの輸入を行っている[18]。なお、年間3万トン程度の輸出も行っている[19]

米の貿易

米の貿易量は、増加傾向で推移している。最大の輸出国はタイで、アメリカ合衆国、インド、パキスタンが続く。上位四か国で、世界の輸出総量の7割を占める。一方、輸入国はフィリピンナイジェリアイランイラクサウジアラビアマレーシアなどで各国100万〜200万トンを輸入している。

米は他の穀物に比べ、生産量に対して貿易量は少ない(生産量の約7%、なお、小麦は約20%、トウモロコシは約12%が生産量に対する貿易量となっている)。これは、米は基礎食料として国内で消費される傾向が強いため、生産量に占める貿易量の割合が低くなっているためである[15]。そのため、小麦やトウモロコシと異なり、国際的な商品先物取引の対象商品となっていない。国際取引指標は、タイ国貿易取引委員会 (BOT) の長粒種輸出価格。

なお日本国内では、2011年8月8日より東京穀物商品取引所関西商品取引所で「コメ先物」として商品先物取引の試験上場が開始。2013年2月12日、名称を関西商品取引所から改名した「大阪堂島商品取引所」が、東京穀物商品取引所閉所に伴い、同所からコメ先物取引(東京コメ)を引き継いだ。なお、現物決済の標準品は、「東京コメ」については茨城県産、栃木県産および千葉県コシヒカリ、「大阪コメ」は石川県産および福井県産のコシヒカリとなっている。

その他

米の生産(稲作)には病害虫の防除や稲の生長のため、殺菌剤、殺虫剤、除草剤など各種の農薬が使用される。農薬については玄米中への残留農薬の基準がある。

  • プロクロラズ(殺菌剤)
  • ヒドロキシィソキサゾール(殺菌剤)[20][21]
  • フィプロニル(殺虫剤)
  • ベンスルフロンメチル(殺菌剤)
  • メフェナセット(除草剤)
  • ベンタゾン(除草剤)
  • ピロキロン(殺菌剤)
  • ジノテフラン(殺虫剤)
  • エトフェンプロックス(殺虫剤)



  1. ^ a b c d e f g 農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』農山漁村文化協会 p.105 2006年
  2. ^ a b c d e 日本作物学会編『作物学用語事典』農山漁村文化協会 p.218 2010年
  3. ^ a b c d e f 『料理食材大事典』主婦の友社 p.307 1996年
  4. ^ a b c 『丸善食品総合辞典』丸善 p.411 1998年
  5. ^ a b c d e f g 杉田浩一編『日本食品大事典』医歯薬出版 p.11 2008年
  6. ^ a b c 杉田浩一編『日本食品大事典』医歯薬出版 p.9 2008年
  7. ^ 玄米及び精米品質表示基準(最終改正 平成23年7月1日消費者庁告示第 6号) (PDF)
  8. ^ 黒田治之、「わが国果樹栽培技術の課題と展望」『日本調理科学会誌』 1999年 32巻 2号 p.151-160, doi:10.11402/cookeryscience1995.32.2_151
  9. ^ 日本作物学会編『作物学用語事典』農山漁村文化協会 p.220 2010年
  10. ^ 平成18年11月 農林水産省総合食料局総務課発行資料より。
  11. ^ 農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』農山漁村文化協会 p.1126 2006年
  12. ^ 農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』農山漁村文化協会 p.1525 2006年
  13. ^ fao.org (FAOSTAT). “Countries by commodity (Rice, paddy)”. 2013年1月30日閲覧。
  14. ^ 農林水産省『海外統計情報』
  15. ^ a b c d 『食料争奪』柴田明夫 日本経済新聞出版社 2007年
  16. ^ その後、価格の安定を受け生産額は、2018年(平成30年)には1兆7,416億円(年間生産量約778万トン)程度まで回復。
  17. ^ 農林水産省『生産農業所得統計』等
  18. ^ 農林水産省『食料・農業・農村政策審議会食糧部会 資料(30年7月27日開催)
  19. ^ 農林水産省『米の輸出について
  20. ^ ヒドロキシ-5-メチルィソキサゾールの作物の生育調節作用に関する研究 (PDF) (2012年1月14日時点のアーカイブ
  21. ^ 小川正巳、太田保夫、3-ヒドロキシ-5-メチルイソキサゾールの作物の生育調節作用に関する研究 第1報 Japanese Journal of Crop Science 42(4), 499-505, 1973-12-30, NAID 110001727446
  22. ^ 原田信男 『和食とはなにか 旨みの文化をさぐる』 角川ソフィア文庫 2014年 p.21
  23. ^ a b 新谷 尚紀 他 『民俗小事典 食』 吉川弘文館、2013年、ISBN 978-4-642-08087-3、26-28頁
  24. ^ a b 増田 昭子 『雑穀の社会史』 吉川弘文館, 2001年, ISBN 4-642-07545-3, 40, 46, 79頁
  25. ^ 江原 絢子 他 『日本食物史』 吉川弘文館, 2009年, ISBN 978-4-642-08023-1, 188-190頁
  26. ^ 有薗正一郎『近世庶民の日常食:百姓は米を食べられなかったか』 海青社、2007年。ISBN 9784860992316、第2章
  27. ^ 香田徹也「昭和15年(1940年)林政・民有林」『日本近代林政年表 1867-2009』p420 日本林業調査会 2011年 全国書誌番号:22018608
  28. ^ a b 江原 絢子 他 『日本食物史』 吉川弘文館, 2009年, ISBN 978-4-642-08023-1, 265-284頁
  29. ^ a b c 原田 信男 『和食と日本文化』 小学館、2005年、ISBN 4-09-387609-6、200,201,204頁
  30. ^ a b 「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活
  31. ^ 渡部忠世 『稲の大地』 小学館、1993年、ISBN 4-09-626178-5、17-18頁
  32. ^ 磯辺俊彦、池上甲一・岩崎正弥・原山浩介・藤原辰史『食の共同体―動員から連帯へ』 村落社会研究ジャーナル 2011年 17巻 2号 p.43-44, doi:[https://doi.org/10.9747%2Fjars.17.2_43 10.9747/jars.17.2_43
  33. ^ 藤岡 幹恭 他 『農業と食料のしくみ』 日本実業出版社、2007年、ISBN 978-4-534-04286-6、126頁
  34. ^ 理由として、この地域の圃場開発が進んだこともあるが、江浙地域が綿花や養蚕用の桑など商品作物の栽培に転換したことも大きい。
  35. ^ 中国のスーパーハイブリッド稲、生産量で世界新記録を樹立人民日報』日本語版2017年10月16日(2018年2月10日閲覧)
  36. ^ 米寿直前の研究者、日本平均の3倍の多収米開発「爆食」中国、主食自給に希望の芽『日経ヴェリタス』2018年2月4日(アジア面)
  37. ^ 【グローバルViews】中国コメ収量 日本の3倍/人口膨大、食料 輸入に頼れず『日経産業新聞』2018年12月4日(グローバル面)。
  38. ^ 「世界的なコメ危機の実態 背後に潜む問題点とは何か」『日経ビジネスオンライン』日経BP社、2008年5月14日付配信
  39. ^ デンプン糖類が結合した巨大分子でそのままでは栄養として吸収できない。水と一緒に加熱することで小さなに分解され、栄養として吸収されやすくなり、食感もよくなる。
  40. ^ 「舂く」の字は「春」とは異なる。
  41. ^ コトバンク『日本大百科全書(ニッポニカ)』 - 「餅」
  42. ^ 五明紀春、胚芽米のすべて 女子栄養大学
  43. ^ 調理再現HP
  44. ^ 石毛直道『世界の食べもの 食の文化地理』p145 講談社学術文庫
  45. ^ 渡辺昭五『日本人の秘境』(産報)115p、1973年
  46. ^ コトバンク『世界大百科事典 第2版』 -「粢」
  47. ^ 『出雲大社教布教師養成講習会』発行出 雲大社教教務本庁 平成元年9月全427頁中167頁


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