米 生産と流通

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/28 07:34 UTC 版)

生産と流通

米の生産

米の生産高 トップ20ヶ国
(2017年、百万トン、FAO統計)[16]
中華人民共和国 212.6
インド 168.5
インドネシア 81.1
バングラデシュ 54.1
 ベトナム 42.8
タイ 32.7
 ビルマ 25.6
フィリピン 19.3
ブラジル 12.5
パキスタン 11.2
カンボジア 10.4
日本 9.8
アメリカ合衆国 8.1
ナイジェリア 6.6
韓国 5.3
ネパール 5.2
 エジプト 5.0
ラオス 4.0
マダガスカル 3.6
スリランカ 2.4

年間生産量は7億6982万トンを超える(籾。以下いずれも農林水産省『海外統計情報』より、「FAOSTAT」の2017年統計[17])。米は小麦(年間生産量7億7347万トン)、トウモロコシ(年間生産量約7億6982万トン)とともに世界の三大穀物といわれる。1980年代の生産量は4億5000万トン前後であったため大幅に増産されていることが理解される。

生産量は増加基調だが、在庫量は需要の伸びを背景に2000年をピークに減少している。在庫率は2006年には20%を割り込んだ[18]。 米の9割近くはアジア圏で生産され、消費される。最大の生産国は中国で、インドインドネシアが続く。

世界の米の生産量(2000年)

日本における生産状況

日本の農業において、米は最重要の農産物であり、農産物全体に占める生産額の割合は、2021年(令和元年)においても農業総産出額8兆8,938億円中1兆7,426億円と19.6%を占め、第2位である肉用牛の7,880億円を大きく引き離す[19]など単一の作目としては最大であり続けている。しかしながら、近年一貫してその比率を落とし、1960年代は50%前後だったものが、現況の割合にまで縮小している。生産額は、1984年(昭和59年)の3兆9,300億円(年間生産量約1180万トン)をピークとして、2014年(平成26年)には1兆4,343億円(年間生産量約844万トン)程度まで減少し[注釈 1]、米、野菜(米、果物を除く耕種)、畜産物、果物の分類においては、2000年前後には畜産物に、2005年前後には野菜に抜かれ、日本の産業としての農業における地位は年々低下している[20]

米の貿易

米の輸出入 トップ10ヶ国
(2017年、百万トン、FAO統計)[21][22]
輸出 輸入
インド 12.0 中華人民共和国 3.9
タイ 11.6 ベナン 1.9
 ベトナム 5.8 バングラデシュ 1.6
アメリカ合衆国 3.2 コートジボワール 1.3
パキスタン 3.9 イラン 1.3
中華人民共和国 1.2 サウジアラビア 1.2
ミャンマー 1.1 南アフリカ共和国 1.1
ウルグアイ 1.0 フィリピン 0.9
イタリア 0.7 メキシコ 0.9
ブラジル 0.6 イラク 0.9

米の貿易量は、増加傾向で推移している。主要な輸出国はインドタイベトナムアメリカ合衆国パキスタンで、この5カ国で世界の輸出総量の8割強を占める。一方、輸入国は中華人民共和国ベナンバングラデシュコートジボワールイランなどで各国100万〜200万トンを輸入しているが、作況により取引量の増減が大きい。

日本に関しては、太平洋戦争後、米は農業政策の根幹であったため、昭和40年代(1965年-1974年)初頭に米の自給が実現できるようになって以降は原則として輸入がなされなかった。が、ウルグアイ・ラウンドにおいて、関税化を延期する代償としてコメにおいては他品目よりも厳しい輸入枠(ミニマム・アクセス)を受け入れ、1993年(平成5年)以降、年間77万トンの輸入を行っている[23]。なお、年間3万トン程度の輸出も行っている[24]

米は他の穀物に比べ、生産量に対して貿易量は少ない(生産量の約7%、なお、小麦は約20%、トウモロコシは約12%が生産量に対する貿易量となっている)。これは、米は基礎食料として国内で消費される傾向が強いため、生産量に占める貿易量の割合が低くなっているためである[18]。そのため、小麦やトウモロコシと異なり、国際的な商品先物取引の対象商品となっていない。国際取引指標は、タイ国貿易取引委員会 (BOT) の長粒種輸出価格。

なお日本国内では、2011年8月8日より東京穀物商品取引所関西商品取引所で「コメ先物」として商品先物取引の試験上場が開始。2013年2月12日、名称を関西商品取引所から改名した「大阪堂島商品取引所」が、東京穀物商品取引所閉所に伴い、同所からコメ先物取引(東京コメ)を引き継いだ。なお、現物決済の標準品は、「東京コメ」については茨城県産、栃木県産および千葉県コシヒカリ、「大阪コメ」は石川県産および福井県産のコシヒカリとなっていた。しかしながら、大阪堂島商品取引所は2021年8月6日、コメ先物取引の本上場への移行が、生産者の参加が大きくは増えておらず生産・流通を円滑にする観点から不十分との理由により農林水産省に認可されなかった旨を発表、すでに成立している取引が終わる2022年6月以降はコメ先物を扱えなくなった[25][26]

その他

米の生産(稲作)には病害虫の防除や稲の生長のため、殺菌剤、殺虫剤、除草剤など各種の農薬が使用される。農薬については玄米中への残留農薬の基準がある。

  • プロクロラズ(殺菌剤)
  • ヒドロキシィソキサゾール(殺菌剤)[27][28]
  • フィプロニル(殺虫剤)
  • ベンスルフロンメチル(殺菌剤)
  • メフェナセット(除草剤)
  • ベンタゾン(除草剤)
  • ピロキロン(殺菌剤)
  • ジノテフラン(殺虫剤)
  • エトフェンプロックス(殺虫剤)

注釈

  1. ^ その後、価格の安定を受け生産額は、2018年(平成30年)には1兆7,416億円(年間生産量約778万トン)程度まで回復。
  2. ^ 理由として、この地域の圃場開発が進んだこともあるが、江浙地域が綿花養蚕用のなど商品作物の栽培に転換したことも大きい。
  3. ^ デンプン糖類が結合した巨大分子でそのままでは栄養として吸収できない。水と一緒に加熱することで小さなに分解され、栄養として吸収されやすくなり、食感もよくなる。
  4. ^ 「舂く」の字は「春」とは異なる。

出典

  1. ^ 日本人はなぜお米を主食としているのですか。 農林水産省(2020年12月20日閲覧)
  2. ^ a b c d e f g 農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』(農山漁村文化協会、2006年)p.105
  3. ^ a b c d e 日本作物学会編『作物学用語事典』(農山漁村文化協会、2010年)p.218
  4. ^ a b c d e f 『料理食材大事典』(主婦の友社、2006年)p.307
  5. ^ a b c 『丸善食品総合辞典』(丸善、1998年)p.411
  6. ^ a b c d e f g 杉田浩一編『日本食品大事典』(医歯薬出版、2008年)p.11
  7. ^ a b c 杉田浩一編『日本食品大事典』(医歯薬出版、2008年)p.9
  8. ^ 銘柄800超 激化する「ブランド米」競争を勝ち抜くためには…産経新聞ニュース(2019年12月19日)2020年12月20日閲覧
  9. ^ 玄米及び精米品質表示基準(最終改正 平成23年7月1日消費者庁告示第 6号) (PDF)
  10. ^ 黒田治之「わが国果樹栽培技術の課題と展望」『日本調理科学会誌』1999年 32巻 2号 p.151-160, doi:10.11402/cookeryscience1995.32.2_151
  11. ^ 日本作物学会編『作物学用語事典』(農山漁村文化協会、2010年)p.220
  12. ^ a b パラパラのコメ あえて開発:福井や秋田で「高アミロース米」洋食に照準/「血糖値抑制」うたう『日経MJ』2020年12月13日(フード面)
  13. ^ 平成18年11月 農林水産省総合食料局総務課発行資料より。
  14. ^ 農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』(農山漁村文化協会、2006年)p.1126
  15. ^ 農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』(農山漁村文化協会、2006年)p.1525年
  16. ^ fao.org (FAOSTAT). “Countries by commodity (Rice, paddy)”. 2021年9月7日閲覧。
  17. ^ 農林水産省『海外統計情報』
  18. ^ a b c d 柴田明夫『食料争奪』日本経済新聞出版社 2007年
  19. ^ 令和元年 農業総産出額及び生産農業所得(全国)”. 農林水産省 (2021年3月12日). 2021年9月4日閲覧。
  20. ^ 農林水産省『生産農業所得統計』等
  21. ^ fao.org (FAOSTAT). “Countries by commodity imports (Rice, paddy)”. 2021年9月5日閲覧。
  22. ^ fao.org (FAOSTAT). “Countries by commodity exports (Rice, paddy)”. 2021年9月5日閲覧。
  23. ^ 農林水産省『食料・農業・農村政策審議会食糧部会 資料(30年7月27日開催) (PDF)
  24. ^ 農林水産省『米の輸出について
  25. ^ コメ先物が廃止へ 農水省、堂島商取の本上場認めず」『日本経済新聞』、2021年8月6日。2021年9月4日閲覧。
  26. ^ “姿消す”コメの先物取引 ~背後に何が?”. NHK (2021年8月6日). 2021年9月4日閲覧。
  27. ^ ヒドロキシ-5-メチルィソキサゾールの作物の生育調節作用に関する研究 (PDF) (2012年1月14日時点のアーカイブ
  28. ^ 小川正巳、太田保夫、3-ヒドロキシ-5-メチルイソキサゾールの作物の生育調節作用に関する研究 第1報 Japanese Journal of Crop Science 42(4), 499-505, 1973-12-30, NAID 110001727446
  29. ^ 関東農政局HP
  30. ^ 原田信男『和食とはなにか 旨みの文化をさぐる』(角川ソフィア文庫、2014年)p.21
  31. ^ a b 新谷 尚紀 他『民俗小事典 食』(吉川弘文館、2013年、ISBN 978-4-642-08087-3)26-28頁
  32. ^ a b 増田 昭子『雑穀の社会史』(吉川弘文館, 2001年, ISBN 4-642-07545-3)40, 46, 79頁
  33. ^ 江原 絢子 他『日本食物史』(吉川弘文館, 2009年, ISBN 978-4-642-08023-1)188-190頁
  34. ^ 有薗正一郎『近世庶民の日常食:百姓は米を食べられなかったか』(海青社、2007年。ISBN 9784860992316)第2章
  35. ^ 香田徹也「昭和15年(1940年)林政・民有林」『日本近代林政年表 1867-2009』(日本林業調査会 2011年)p420 全国書誌番号:22018608
  36. ^ a b 江原 絢子 他『日本食物史』(吉川弘文館, 2009年, ISBN 978-4-642-08023-1)265-284頁
  37. ^ a b c 原田 信男『和食と日本文化』(小学館、2005年、ISBN 4-09-387609-6)200,201,204頁
  38. ^ a b 「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活
  39. ^ 渡部忠世『稲の大地』(小学館、1993年、ISBN 4-09-626178-5)17-18頁
  40. ^ 磯辺俊彦、池上甲一・岩崎正弥・原山浩介・藤原辰史「食の共同体―動員から連帯へ」『村落社会研究ジャーナル』2011年 17巻 2号 p.43-44, doi:[https://doi.org/10.9747%2Fjars.17.2_43 10.9747/jars.17.2_43
  41. ^ 藤岡 幹恭 他『農業と食料のしくみ』(日本実業出版社、2007年、ISBN 978-4-534-04286-6)126頁
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  45. ^ 日本の水稲10a当たり収量は、令和3年度で539kg。 農業生産に関する統計(2) 米の生産量”. 農林水産省. 2022年7月3日閲覧。
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  48. ^ Heirloom Kokuho Rose® Rice is NOT Generic, Commodity-grade Calrose, Koda Farms, https://www.kodafarms.com/heirloom-kokuho-rose/ 
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  50. ^ 「世界的なコメ危機の実態 背後に潜む問題点とは何か」『日経ビジネスオンライン』日経BP、2008年5月14日付配信
  51. ^ コトバンク『日本大百科全書(ニッポニカ)』 - 「餅」
  52. ^ 五明紀春「胚芽米のすべて」女子栄養大学
  53. ^ 調理再現HP
  54. ^ 石毛直道『世界の食べもの 食の文化地理』(講談社学術文庫)p145
  55. ^ 渡辺昭五『日本人の秘境』(産報、1973年)115p
  56. ^ コトバンク『世界大百科事典 第2版』 -「粢」
  57. ^ 出雲大社教布教師養成講習会』(出雲大社教教務本庁 平成元年9月)全427頁中167頁


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