相 (言語学) 日本語

相 (言語学)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/01 03:57 UTC 版)

日本語

日本語では、

  • 雨が降っている・雨が降っていた(非完結相)
  • 雨が降る・雨が降った(完結相)

というように、助動詞「ている」があると出来事の一部を取り出す非完結相を表し、「ている」が無いと出来事を全体としてとらえる完結相を表す。なお、「る」と「た」は時制を表す。

また、「雨が降っている」は、出来事が継続していることを表しているが(進行相)、「椅子に座っている」のように、「ている」が瞬間的に変化する動詞につけられた場合、変化の結果が持続していることを表している(結果相)。さらに「雨が降り始めた」(起動相)、「雨が降り止んだ」(終結相)というように複合動詞を用いることでさまざまな相を表す。

なお、共通語では例えば同じ「買っている」でも、「彼は今帽子を買っている」「彼は昨日この店で帽子を買っている」のように進行形・完了形の両方に用いられる。しかし西日本方言では、前者の進行相を「買いよる」、後者の完了相を「買うとる(買うちょる)」(つまりテの有無)などと区別することがある。

日本語文法では「アスペクト」を「様態」と表すことがあるが、「様態」という術語は(特に学校文法などで)狭義に用いられることがある(「そうだ」には伝聞と様態の二つの意味がある、などと書かれる)ので、注意が必要である。

日本手話

日本手話において相の問題は研究途上にある。知られているところでは次のようなものが挙げられる。なお(かっこ)内の説明部分が相変化の文法的要素。続く部分が日本語訳。

  • 歩く(歩く動作を継続する)    (継続相) 「ずっと歩く」
  • 歩く(歩く動作を断続的にくり返す)(習慣相) 「いつも(定期的に)歩く」
  • 歩く(歩く動作を途中でやめる) (直前相) 「歩く前にやめた」 

英語

  • He began to talk. (起動相)
  • He continued to talk. (継続相)
  • He was talking. (進行相)
  • He stopped talking. (終止相)

ただし、現在進行形を取らない限り通常の動詞は終止相と考えられる。




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