狂四郎2030 用語解説

狂四郎2030

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/17 15:12 UTC 版)

用語解説

バーチャSEX
バーチャマシンによる、実在しない相手の性交。生身の人間との性交はひと握りの特権階級でのみ行われており、一般国民はこのバーチャSEXによって性欲を満たしている。これは子供を生まれなくさせ、普通の日本人を緩やかに絶滅させていく政策の一環であった。
元来は絶滅政策の一環だったものの、実際には現実の性交に不自由していない特権階級もバーチャSEXに耽溺しており、劇中では、バーチャマシンの所有率は軍人が99%、役人が87%、一般国民は32%となっているが、特例として15歳以下の子供に限り100%となっているのは教育プログラムによって都合よく洗脳するためである。本来バーチャマシンは性交に限らず、あらゆる状況を疑似体験できる夢のマシンであったが、ほとんどの男性は性欲を満たすためだけに使っている。
狂四郎が度々行く仮想世界は江戸時代の設定となっているが、一部(富士山)が時代と異なっている。
第三次世界大戦
2019年から2025年までの6年続いた戦争で、日本とアメリカの連合勢力と、ロシア中国ヨーロッパの連合勢力との間で繰り広げられた。核ミサイルが大量使用され、核ミサイルの性能が迎撃システムを上回っていたために後方の都市部も攻撃の目標とされ、結果世界人口の約80%、それも軍人よりも民間人が多く死亡し、アメリカと中国は大打撃を受けて事実上消滅した。世界中で深刻になった人口爆発、環境破壊による食料不足、それに伴う緑地の減少による各国の対立が原因。日本は当初アメリカと組んで参戦したが途中から離脱して防衛に転じ生き残ることができた。
戦後の日本はこの名残として富士山はミサイル攻撃で変形しており、日本国内に取り残されたアメリカ軍の敗残兵は野盗化して治安を脅かしている。反面、劇中の登場人物の会話によるとヨーロッパ各国は存続しており、ドイツでは再軍備が完了した模様。
ゲノム党
愛国主義の少数政党だったが、党首の二条のカリスマ性と謀略によって勢力を拡大し政権を掌握、日本を軍事国家に変えた。大戦後、国民の99%を粛清して代わりの勤勉で従順な“新しい国民(デザイン・ヒューマン)”を導入することによりヒトラーも達成できなかった千年王国を実現させようとしている。一党独裁国家であるため党と国家、軍は一体化しており、軍は日本軍ではなく「ゲノム軍」と称される。ゲノム軍は党の下部組織のゲノム青年隊、ゲノム愛国会を自衛隊に合流させて結成された。現在旧自衛隊出身者は要職から排除されている。なお、八角さくらの過去を見る限り、全権委任法以前から秘密党員が破壊活動を行っていた模様。
旧日本亡命政権(仮)
大戦に前後する形でゲノム政権の粛清から逃亡し、海外にて亡命政権を樹立した旧政権の生き残り。ゲノムによる日本人絶滅政策から国民を救うべく、極秘に日本からの脱出を援助している。
M型遺伝子理論
人間の将来は、心の設計図であるM型遺伝子によって決定するとされる。これにより、M型遺伝子に異常があると将来、犯罪を犯す確率が高くなると解釈された。狂四郎はその中でも、将来国家に対して反旗を翻す可能性が高い「国家反逆病」キャリアとして、幼い頃から差別を受け続けてきた。
しかし、遺伝子の専門家である反政府軍の有島らは、環境要素を18%しか考慮していないM型遺伝子理論を「世界一いい加減な遺伝子理論」と切り捨てている。また、飛鳥は「M型遺伝子異常者とはゲノム党独裁政策のための方便にすぎない」と説明している。
実際のM型遺伝子異常者は、むしろ遺伝的に優れた資質の持ち主であり、この理論は国家に有益な(そして有能ゆえに叛逆の恐れがある)人間を隔離・使役するためのものであった。異常者とされた狂四郎や白鳥は有能な軍人であり、八木少将ら人為的に遺伝的に完璧な人間として生み出された者も実はM型遺伝子異常者であり、さらには二条総統すら異常者であった。むしろM型遺伝子理論的には完璧な遺伝子を持つ光明・無明のほうこそ遺伝子欠陥を持っていた。この理論を利用していた二条自身は、M型遺伝子理論はいかさまであり、大衆を扇動し悪役を作るための方便だと語っている。
オアシス農場
日本国民の99%が男女に分かれて収容されている。建前上、食糧自給率が100%になれば解放するとされている。しかし、ハルが「現在のアウシュヴィッツ」と称したように、実際はゆっくりと日本人を殲滅させるための施設。かつてクメール・ルージュが家族を引き剥がし、知識層などを「新人民」と区別し粛清のために強制労働させた集団農場に酷似する。運用管理の容易さから、女性用施設に警備の重点が置かれる(銃器が大量配備されている)。
国民健康データ法
当時、まだ連立与党内の少数政党でしかなかったゲノム党が2003年に提案し成立された。政府が民間企業に委託して遺伝子情報を収集することができる。
ゲノム優生保護法
M型遺伝子異常のある新生児を関東厚生病院を初めとする国の管理施設に隔離治療するための法律。上述の通り、実際には遺伝的に優れた人間を集める目的であった。
関東厚生病院
M型遺伝子異常の子供たちを隔離治療する施設。病院とは名ばかりで、実態は少年兵養成施設で、有能な軍人の養成機関だった。度々過酷な訓練が行われており、命を落とす者もいる。狂四郎や白鳥が少年時代を過ごした場所。
行政監察庁
他の行政機関から完全に独立した査問機関。公僕による汚職の取り締まりを行い、その処罰は苛烈を極める。
デザイン・ヒューマン[注 1]
単純目的性生物。国民の代わりの労働力として国家に開発された従順な“新しい国民”。農耕用、戦闘用など様々なタイプがある。作中では「マイカ」や「バル」、「S」などが該当し、作戦戦闘における内容が理解できるように知能が高く設定されているものから、会話すらできず単一作業にのみ従事する「ソフォーズ」まで多様に存在する。
シティー
日本の各地に設立されている巨大な施設。オアシス農場での勤労優秀者や老人、病人が中で不自由なく暮らしていると国民は知らされている。狂四郎が仕事中に出会ったオカマ3人組が施設の中からのゴミから「シティー」の存在意義、何が行われているか、中に入った人たちがどのような待遇にあるかを推測していた。施設を警備するロボットは侵入者に対し血液検査による識別を行っているが、非適正者に対してどうするかというプログラミングにバグがあったためそれを利用してオカマ4人組は施設のゴミの残飯をあさって生活していた。
アルカディア
男鹿半島沖約15kmにある小島。元は生物化学兵器の実験場であり、現在でも実験動物・フェンリルが生息しているため、ゲノムのコンピュータ上では人の住めない島とされているが、二条ひかるによってオアシス農場を脱走した2000人以上の人々が生活している。夜警国家制度を採っている。
フェンリル
アルカディアに存在する獣のような生物。ゲノム党により開発されたデザイン・ヒューマンのプロトタイプが野生化したもの。生物化学兵器が効かない、全体の半数が死亡しても種としての存亡は問題ない(これは単為生殖で自分のコピーを生み出すため)など生命力・繁殖力がきわめて高いが、知能は低く、気性も荒いため、軍用犬としての用途すらない。猿や狼のように腕っ節の強いボスがいる。
まほろば
粛清されかかっている少数の自衛隊出身の軍幹部たちが結成した反ゲノム勢力。九州に南方指令本部がある。日本民族救国戦線を名乗っているが、所詮はゲノムに変わって実権を握りたいだけの同じ穴のムジナ。本来の意味は神道における理想郷だが、アクセスページのシンボルは「ロバ」になっている。
闘技場
中央政府電子管理センターによって運営されているインターネットカジノの闘技場。陸軍の斎藤大将と米内元帥の発案で作られた。試合の勝敗は賭けの対象になっており、ネットを使っても賭けが行われている。戦っているのは主に他国の捕虜や犯罪者などが起用されており、格闘技のスペシャリストも多い。出場選手は首錠がかけられており、脱走できないようになっている。ランクはグレード1から4まであり、4が一番下にあたる。日本製の選手でグレード3に上がれたのは狂四郎が初らしい。勝ち上がり続ければ解放されるとのことだが、実際に解放された前例があるかは不明。出場するには囚人20人を1人で倒すことが条件で、試合で負けると再度囚人20人と戦うことになるが、試合で負けた選手は重傷を負っている場合も多く、大抵は囚人に殺される。それ以前に、試合では負けた選手が死亡する場合も少なくない。観客は特権階級の者たちで、前列の席ほど地位の高い者が座っている。下級公務員は観戦を認められておらず、軍曹の西条が闘技場を観戦できるギリギリのラインとのことだが、観戦資格のある者の家族であれば観戦が認められる。観客が特権階級の者たちで構成されていることから闘技場では監視の目が緩く、実際に闘技場まで来ているのは格闘マニアか監視の目を逃れてデートや性交を行う目的で来てる者がほとんどで、大半の観客はネット観戦をしていた。しかし、狂四郎が試合で圧倒的な実力を見せたことでファンが急増し、闘技場まで観戦に来る者が増えたようである。

注釈

  1. ^ 「デザインヒューマン」とも表記される。

出典

  1. ^ 「あとがき」『狂四郎2030 20』集英社〈ジャンプ・コミックス デラックス〉、2004年10月4日、227頁。
  2. ^ 徳弘正也『狂四郎2030 1』集英社〈集英社文庫〉、2010年、324頁。
  3. ^ 徳弘正也『狂四郎2030 1』集英社〈集英社文庫〉、2010年、325頁。
  4. ^ 徳弘正也『狂四郎2030 3』集英社〈集英社文庫〉、2010年、331頁。
  5. ^ s_manga_netのツイート(1648250262686171136)
  6. ^ 狂四郎2030 1』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088590148590143155012023年10月31日閲覧 
  7. ^ 狂四郎2030 2』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088590298590143155012023年10月31日閲覧 
  8. ^ 狂四郎2030 3』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088590468590143155012023年10月31日閲覧 
  9. ^ 狂四郎2030 4』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088590708590143155012023年10月31日閲覧 
  10. ^ 狂四郎2030 5』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088590858590143155012023年10月31日閲覧 
  11. ^ 狂四郎2030 6』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088591008590143155012023年10月31日閲覧 
  12. ^ 狂四郎2030 7』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088591178590143155012023年10月31日閲覧 
  13. ^ 狂四郎2030 8』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088591428590143155012023年10月31日閲覧 
  14. ^ 狂四郎2030 9』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088591678590143155012023年10月31日閲覧 
  15. ^ 狂四郎2030 10』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088591868590143155012023年10月31日閲覧 
  16. ^ 狂四郎2030 11』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088592348590143155012023年10月31日閲覧 
  17. ^ 狂四郎2030 12』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088592698590143155012023年10月31日閲覧 
  18. ^ 狂四郎2030 13』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088593038590143155012023年10月31日閲覧 
  19. ^ 狂四郎2030 14』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088593188590143155012023年10月31日閲覧 
  20. ^ 狂四郎2030 15』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088593398590143155012023年10月31日閲覧 
  21. ^ 狂四郎2030 16』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088593598590143155012023年10月31日閲覧 
  22. ^ 狂四郎2030 17』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088593828590143155012023年10月31日閲覧 
  23. ^ 狂四郎2030 18』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088594008590143155012023年10月31日閲覧 
  24. ^ 狂四郎2030 19』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088594188590143155012023年10月31日閲覧 
  25. ^ 狂四郎2030 20』集英社https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=088594408590143155012023年10月31日閲覧 






固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「狂四郎2030」の関連用語

狂四郎2030のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



狂四郎2030のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの狂四郎2030 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS