流産 種類

流産

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/25 19:50 UTC 版)

種類

切迫流産(Threatened abortion)

  • 概念:流産が生じようとしている状態。流産になる場合と持ちこたえる場合とがある。子宮出血はあるが頸管は開大していない。
  • 症状:軽度の下腹部の痛みと少量の性器出血
  • 治療:安静を第一とし、塩酸リトドリン(子宮収縮抑制剤)、hCGの投与。目安として妊娠16週以降なら塩酸リドトリンを用い、それ以前なら安静臥床が第一である。
  • 原因:絨毛膜下血腫、絨毛羊膜炎など

進行流産(Inevitable abortion)

  • 概念:流産が生じ進行している状態。下腹部痛や出血が強く、頸管は開大しており保存的な治療は不可能なものである。
  • 症状:下腹部の痛み、性器出血、子宮頚部の開大
  • 治療:完全流産か不全流産かで異なる。

完全流産(Complete abortion)

  • 概念:流産が生じ、子宮内容物が完全に娩出された状態。
  • 症状:下腹部痛と性器出血の消失
  • 治療:経過観察のみで済む場合が多い。

不全流産(Incomplete abortion)

  • 概念:流産が生じたが、子宮内に残存物が残っている状態。
  • 症状:下腹部の痛み、性器出血の持続
  • 治療:子宮内容除去術、残存物が少ない場合は子宮収縮剤および抗生物質の投与

稽留流産(Missed abortion)

  • 概念:子宮内で胎児が死亡している状態であるが、妊婦に症状が無いもの。
  • 症状:自覚症状は無い。妊婦検診等で超音波検査によって発見される
  • 治療:確定診断がついた段階で、子宮内容除去術を行うことが多い。

化学的流産(Chemical abortion)

  • 概念:生化学的に妊娠の成立をみた(hCGが検出された。たとえば尿中hCG測定で50IU/l反応陽性)と診断されるが、超音波断層法により胎嚢などの妊娠に特有な所見が確認されず、しかも腹痛や子宮口開大などの流産兆候を伴うことなく月経様の出血をみた場合を呼ぶ。
  • 症状:月経様の出血(人によっては激痛と血の塊が出てくることがある)
  • 治療:経過観察

注釈

  1. ^ 一般的に流産というと自然妊娠中絶のことを指す場合が多いが、日本産科婦人科学会では「妊娠22週未満の妊娠中絶」を「流産」と定義している(妊娠22週以降の場合の妊娠中絶は「死産」と定義)。日本産科婦人科学会の定義ではさらに、妊娠12週未満の「流産」を「早期流産」、妊娠12週以降22週未満の「流産」を「後期流産」という。「後期流産」については法令上、死産の場合と同様の死産届が必要となる。

出典

  1. ^ 流産 - eヘルスネット 厚生労働省人工妊娠中絶と対になる用語であり、胎児が子宮外で生存不可能な状態で意図せずに娩出されることを指す。
  2. ^ a b 日経DUAL. “流産率は35歳で20%、40歳で40%へ高まる | 高齢出産 30代後半から妊娠・出産を考える人へ” (日本語). 日経DUAL. 2019年6月12日閲覧。
  3. ^ a b 5人に1人は流産する恐れが。妊娠は「当たり前」ではなく「奇跡」。男女で知る妊娠のしくみ(たまひよONLINE)” (日本語). Yahoo!ニュース. 2019年6月12日閲覧。
  4. ^ 流産を知ろう:流産について | あしたのママへ”. www.mochida.co.jp. 2019年6月12日閲覧。


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