未来 物理学

未来

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/07 22:37 UTC 版)

物理学

未来光円錐、現在、過去光円錐を平面上に図示したもの。

物理学においては時間は4番目の次元である。時空は重力のような力によって曲がり伸び縮みする一種の構造と理解できると物理学者は主張する。 古典力学では未来は時間軸の片側であり、全ての観察者にとって同じものである。特殊相対性理論では時間の流れは観察者の基準系に応じる相対的なものである。観察者が基準となる物体から離れる速度が大きいほど物体が時間を通じて動く速度が小さく見える。ゆえに、未来はもはや客観的な概念ではない。さらに重要な概念として絶対的未来つまり未来光円錐がある。 人は空間の三つの次元においてはそれぞれ二つの向きに進めるが、時間に関しては一つの向きにしか進めないと多くの物理学者は主張する[7]

特殊相対性理論の帰結の一つとして、光速度に近づくにつれて、観測者の時間を遅延させことが出来るというものがある。このとき、観測者以外の世界では時間が進んでいるため、結果的に未来へ行ける(ただし帰ってくることはできない)というものがある。この効果は通常の条件では無視できる程度のものだが、無限のエネルギーによる光速度へ近似した場合、時間停止に近似した状態となる。

超高速での宇宙旅行においては時間の流れが大きく変わる。多くのサイエンス・フィクション(例えば『デジャヴ』)に描かれているように短時間であっても亜光速で移動するとずっと未来の地球に帰還することになる。

GPSなどの測定ではこの時間誤差を補正しなければ正しく位置観測が行えない。

ワームホールを用いて時空上の二つの場所を結び付けると理論上は時間旅行ができると主張する物理学者もいる。物理学者ミチオ・カクはこの理論上のタイムマシンに力を与えて「時空の構造内に穴をあける」ためには星一個分のエネルギーが必要だと指摘した。また別の理論では宇宙ひもによって時間旅行ができるという。


  1. ^ a b c 大辞泉
  2. ^ Hastings, J., Selbie, J. A., & Gray, L. H. (1908). Encyclopædia of religion and ethics. Edinburgh: T. & T. Clark. Page 335–337.
  3. ^ Moore, C.-L., & Yamamoto, K. (1988). Beyond words: movement observation and analysis. New York: Gordon and Breach. Page 57. (cf., The representation of time as a linear, unidirectional progression is a distinctly Occidental point of view.)
  4. ^ Eddington, A. S. (1921). Space, time and gravitation; an outline of the general relativity theory. Cambridge: University Press. Page 107.
  5. ^ Umbro Apollonio (ed.), Futurist Manifestos, MFA Publications, 2001 ISBN 978-0-87846-627-6
  6. ^ a b The Founding and Manifesto of Futurism”. italianfuturism.org (Originally published on Le Figaro,Paris, February 20, 1909). 2010年7月29日閲覧。
  7. ^ You Can't Travel Back in Time, Scientists Say | LiveScience
  8. ^ Gaddis, John Lewis (2002). The Landscape of History: How Historians Map the Past. New York: Oxford University Press. pp. 56. ISBN 978-0-19-517157-0   
  9. ^ Broad, C.D. (1923). Scientific Thought. New York: Harcourt, Brace and Co.. http://www.ditext.com/broad/st/st-con.html 
  10. ^ Vol.1 of Buddhist Logic, 1962, Dover: New York. 70-71.
  11. ^ agnositic”. Merriam-Webster. 2014年8月2日閲覧。
  12. ^ Martin, Marianne W., p.186
  13. ^ Heinlein, Robert A.; Cyril Kornbluth; Alfred Bester; Robert Bloch (1959). "Science Fiction: Its Nature, Faults and Virtues". The Science Fiction Novel: Imagination and Social Criticism. University of Chicago: Advent Publishers.
  14. ^ Marg Gilks, Paula Fleming and Moira Allen (2003年). “Science Fiction: The Literature of Ideas”. WritingWorld.com. 2008年5月30日閲覧。






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