時空警察ヴェッカー
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概要
本作品は当初、特撮ドラマ『千年王国III銃士ヴァニーナイツ』の製作を手掛けたプロデューサー・畑澤和也により、同作に続く特撮ヒロイン作品として構想された[1]。制作当時はテレビシリーズ化が困難だったため、自主制作ベースでのパッケージ作品として制作され、これをパイロット版としてテレビシリーズ化が企画されていたところ、日本コロムビアの目に留まったことからパッケージ作品自体が商品化され、発売に至った[1]。畑澤にとっては監督としてのデビュー作であり[2]、『ヴァニーナイツ』の製作に関わったレイアップが2001年に立ち上げたDVDドラマ専門ブランド「DVV」の第1作でもある[3]。
特撮ドラマ『宇宙刑事シャリバン』『時空戦士スピルバン』の主演俳優である渡洋史が監督に初挑戦することでも話題となった[3]。渡は企画立案・構想時から参加しており、第1巻・第2巻では自ら出演も果たしており、監督を務めたのは全3巻のうち第3巻のみで、畑澤との共同監督である[2]。
全3巻の各巻は過去編、未来編、現在編に位置づけられ、時間と歴史を守る未来の刑事である3人の時空刑事が各巻の主人公となっている。物語は基本的に1話完結であるものの、要所要所でほかの巻と巧みにリンクしている[4]。作風は、1980年代に代表される変身ヒーロー番組が強く意識されており、主人公である時空刑事がクロノスーツと呼ばれる戦闘服に身を包んで戦う変身アクションが主体となっている[1]。1980年代の特撮俳優として活躍した渡が制作に参加していることも、同年代のオマージュの趣を感じさせる要因の一つとされる[1]。
各巻で各主人公を務めた新人女性アイドル3人は「ヴェッカん娘(こ)」の愛称で呼ばれ、各種イベントで活躍した。特にフランスのSF作品コンベンション「カルニスト」に参加し、試写会と主題歌を披露した際は、当時フランスに「宇宙刑事シリーズ」が輸出されて大ブームを巻き起こしていたこともあってか、スタンディング・オベーションまで起きる大喝采を受けたという[1]。後に、同じく渡が携わっている縁で、テレビ作品『アイドル刑事S』にも「ヴェッカー編」として、本作品から時空刑事ユリー、ミリーがゲスト出演し、地上波出演を果たした[1]。
本作品をパイロット版としてのシリーズ化へのアプローチはDVD発売後も継続されており、2002年に続編『時空警察ヴェッカーD-02』として実現を果たした[1]。本作品との世界観の共有を示唆するため、本作品の主人公を『D-02』の主人公陣に関連させてレギュラー出演させる案もあったが、諸事情で実現には至らず、第3巻主人公のリリーのゲスト出演に留まった[1]。
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h 古城他 2002, pp. 74–76
- ^ a b 畑澤和也『時空警察ヴェッカーシグナ phase 6 Sign 未来へのサイン』(ライナーノーツ)(ブックレット)バップ、2007年(原著2007年)。YL321。
- ^ a b “渡洋史氏が監督!「時空刑事ヴェッカー」製作発表会”. ITmedia (2000年11月7日). 2013年8月31日閲覧。
- ^ “「時空警察ヴェッカー」THAT'S POINT!”. 時空警察ヴェッカー. レイアップ (2001年). 2012年8月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年1月5日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k “スタッフ紹介”. 時空警察ヴェッカー オフィシャルサイト (2001年). 2005年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年2月11日閲覧。
- ^ めぐる時空の街角で/天野めぐみ「時空警察ヴェッカー」主題歌 (Official Music Video) - YouTube
- ^ 「時空警察ヴェッカー ANOTHER EDGE」『キャラ通』第623号、文化産業新聞社、2001年7月15日、65頁、全国書誌番号:00116710。
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