巨影都市
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ジャンル | SFサバイバル・アクションアドベンチャー |
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対応機種 | PlayStation 4 |
開発元 | グランゼーラ |
発売元 | バンダイナムコエンターテインメント |
プロデューサー |
塚中健介 九条一馬 |
メディア | ディスク / ダウンロード |
発売日 | 2017年10月19日[1] |
対象年齢 | CERO:C(15才以上対象) |
エンジン | OROCHI 3 |
売上本数 | 59,789本[2] |
概要
グランゼーラとバンダイナムコエンターテインメントの共同プロデュースによるサバイバルアドベンチャーゲームであり、シリコンスタジオのゲームエンジンのOROCHI 3とポストエフェクトミドルウェアのYEBIS 3を採用している[4]。
開発のグランゼーラはアイレムゲーム部門スタッフが独立した会社であり、九条一馬を始めとした『絶体絶命都市』シリーズのスタッフが数多く参加している通り、同シリーズと共通した作風を持つ。しかし同シリーズが地震や洪水といった自然災害からのサバイバルを描いているのに対し、本作では「巨影」という未知の巨大生物や巨大兵器の襲撃からのサバイバルというSF色の強いものになっている。『絶体絶命都市』を「静」とするなら本作は「動」とされ、自然災害と違って目に見える脅威に襲われるのが特徴とされる。但し、九条の過去の作品同様に物語や世界を表現するために共通の手法を用いているため、ベース部分は似通っている[5]。
巨影として登場するのは、既存の特撮やロボットアニメのキャラクターである[6]。そのほか、主人公の服装や髪型のカスタマイズ、主人公とヒロインの関係性の変化など、絶体絶命都市シリーズだけでなく、九条がかつて手掛けた『ポンコツ浪漫大活劇バンピートロット』や『パチプロ風雲録(パチパラシリーズ収録)』に近い要素も盛り込まれている。
ゲームはステージクリア式で各ステージに登場する巨影の原作は決まっており、異なる原作の巨影がクロスオーバーする要素はない。どのステージも原作のストーリーを結末までは描いておらず、巨影同士の戦いの決着についてもあえて明確にはされない[注 1]が、これは本作があくまで逃げることがテーマの作品であり、巨影の戦いの行方など一般人の主人公が知るはずがないためである[5]。同様に、エヴァンゲリオンやパトレイバーのパイロットも一般人の主人公には知りようも無いため直接は登場しない。また、各ステージのクリア時のリザルト画面はニュースサイトを模した形式となっており、記事内容はプレイに応じて変化する。中にはなかなか出てこないレアな記事も存在するため、それを見つけるのもプレイ目的の1つである。
実在するチェーン店『ゴーゴーカレー』とのコラボレーションも行われ、作中には忠実に再現した架空の店舗が登場する他、条件を満たせば店員服をコスチュームとして購入可能となる。
発売までの経緯
2015年9月4日に発表され、当初は『巨影都市グランゼーラ』というロゴとファンタジー風の一枚絵が表示されたティザーサイトのみが公開された[7]。しかし日を追う毎に絵の周囲に亀裂の入ったフレームが見えたり、絵にノイズが走るなど変化が生じていき、同月17日に実際のゲーム内容と共に『プロジェクト巨影都市』という仮称で発表[8]。2016年2月に正式タイトルが発表された。
当初はPlayStation Vita版の発売も予定されていたが、2017年5月に開発・発売の取り止めが発表。PS4版のみの発売となった。また、予約特典で、『絶体絶命都市』の主人公・ヒロインである須藤真幸と相沢真理の衣装を着用できる特典が付いてくる。2017年7月6日から10月18日までダウンロード版の期間限定特典として「巨影都市にトロ&クロが登場するスペシャルコラボイベント」がプレイ可能となり、開発に行き詰ったゲームソフト『絶対安全都市2』をマスターアップするためにトロとクロに協力することでスペシャルコラボ衣装が着用できる特典が付いてくる。
システム
- 巨影からの逃走
- 本作は巨影が暴れて崩壊していく街での生存を目的とする。崩れる建物、巨影からの攻撃、襲い来る敵を回避し、時には巨影の足元を踏み潰されないように走り抜ける必要もある。
- しかし主人公の命を狙うのは巨影の脅威ばかりではなく、人間の追跡者に襲われるシーンも多い。この場合は追ってくる敵の攻撃を回避しつつ、目的のポイントに到達する必要がある。これは彼らのような敵が存在しなければ「巨影から離れて避難すれば済んでしまう」ためとされる[5]。
- 『絶体絶命都市』のようなジャンプ、ぶら下がり、乗り越え、よじ登り、叫ぶといった細かいアクションは無く、ダッシュとローリングによる回避行動が主要なアクションとなる。
- HP
- ヒットポイント。主人公の体力を示す。ダメージを受けると減少し、ゼロになると死亡してゲームオーバーとなる。食料などの回復アイテムを使用するか、セーブポイントを調べると回復する。高所から転落する、倒壊に巻き込まれる、巨影に踏み潰されるなどにより、HPに関係無く即死する場面もある。
- なお、『絶体絶命都市』と違って同行者にもダメージ判定はあるがHPは無く、それで死亡することは無い。
- ST
- スタミナ。ダッシュ、緊急回避で減少し、時間と共に回復する。無くなると最大値まで回復するまでの間、ダッシュやローリングができなくなってしまう。緊急回避はSTが枯渇していても可能。食料アイテムの中には、一定時間ST減少を抑えるものもある。
- 回避行動
- □ボタンを押すと回避行動を取る。立ち止まった状態だと伏せ、走りながらだとローリングを行う。伏せた状態から移動すると、四つん這いで移動できる。また、主人公に危機が迫ると音と共に□のアイコンが表示されることがあり、このタイミングで□ボタンを押すと緊急回避ができる。特定の敵に押し倒された時にもタイミングよく□ボタンを押さないと、さらにダメージを受けてしまう。また、特定の敵に喰いつかれた際や掴まれた際には、左スティックを激しく動かして(レバガチャ)すぐに振り解かなければ継続して大ダメージを受け、死亡してしまう。
- 衣装
- 主人公の服装は随所で入手可能で、いつでも着替えることができる。本作では衣装に応じてHPとスタミナに補正が付くようになっているが、ダメージを受け続けると衣装がボロボロに破損してしまう。破損した衣装は、買い取り業者から有料で修理してもらうことができる。ローリングをすると服が濡れてしまうが、ゲーム進行上のデメリットは無い。
- 服以外にも帽子、グローブ、眼鏡、マスク、アクセサリーなども装備可能(靴は服とセットなので個別には変えられない)。
- 本作では主人公の性別に応じて手に入る衣装が一部異なるが、入手した衣装は性別に関係無く装備でき、男装も女装も可能となっている。入手した衣装はクリア後へ引き継げず、後述の巨影メダルで購入できるもののみ間接的に引き継げる。
- 鏡を調べると髪型の変更もできる。髪型は巨影メダルとの交換で増えていく。
- 乗り物
- ステージに応じ、自動車、オートバイ、フォークリフト、レイバー(エイブラハム)、馬などの乗り物を操作することがある。
- KYOEI NEWS
- 主人公がアカウント登録している、配信型ニュース。各エピソードごとのリザルトを担当しており、作中でとった行動によって記事が増えたり変化したりする。また、ここで本編では語られない裏の出来事や設定が明かされることもある。ニュース以外にも広告も表示される。
- 一度見たニュースはセーブすることでシステムデータに保存され、すべてのセーブデータで共通して「コレクション」というメニューから閲覧できる。複数ある選択肢で、それぞれ別のNEWSになる場合もある。一覧には作中の映像を使ったサムネイルが表示されるが、最初に取得した際の衣装がすべて反映される。
- 巨影メダル
- フィールドに散らばっているメダル状のアイテム。3種類あり、それぞれ獲得できるメダルの量が異なる。リザルト画面で各種衣装と交換できる。
- 衣装はストーリー進行で増えていくが、一度購入した衣装は2周目からは最初から購入可能(性別限定のものは別)。この方法で入手しないと獲得できないニュースが存在している。
- 当初は周回プレイでもメダルが引き継がれることは無かったが、アップデート後は前周のメダルは使用済みのものを含め、すべて引き継がれるようになった。
- わらしべイベント(仮称)
- 竹辺幸からもらえる巨大エメラルドから始まる、資産を激増させることができるイベント。ただし、トロフィーにはあまり関係しない[注 2]。
- 物々交換ではなく一旦現金を介してより高級な不動産を獲得していくため、一度売り払って現金化させる必要がある。
- 各不動産は入手時の選択肢によって後の資産価値が変化するようになっており、主に売り主の喜ぶ選択肢だった場合は高額で売り払って後のイベントにつなげることができる。また、選択肢ごとに獲得できるKYOEI NEWSが異なっている。
注釈
- ^ 但し、一部のステージではヴィラン側の巨影が倒される瞬間が見える事がある。
- ^ 100億円を稼ぐというトロフィーがあるが、このイベントでは60億までしか増やせない。また、このイベント関連のトロフィーは最後まで進めなくても入手できる。
- ^ ニュース記事によると、この石を投げつけた乗客達は高架の崩壊に巻き込まれて行方不明になったらしい。
- ^ アップデート後は二周目以降限定で「とてもハイテンション」が選択可能。
- ^ 選択肢次第では工事現場のバイトでレイバーの操縦経験がある旨を語る。
- ^ 終盤では銃創をも瞬時に癒す緑の光も発している。
- ^ ごく一部だが男女別の記事はあり、その中では女性として書かれる。
- ^ 服はいずれもジージャンとスカートにロングブーツという格好で、変化するのは主にカラーリング。髪型は基本的にポニーテールだが、「友人」を選んだ時は外ハネになる。
- ^ プレイヤーが選んだ立場以外の服も最初からリストに入っている為、自由に着せ替え可能。ケンを主人公に選んだ場合でも同様。
- ^ 男性用衣装しか持っていなくとも、その衣装に女性用が存在する場合ならそれがリストに追加される。例えば警官の制服の男性用を持っていれば女性用を、学ランを持っていればセーラー服を着せられる、など。
- ^ 最終ステージではユキが連れ去られた先にて、主人公が到着した時点で既に巨影が戦っている。その前のステージにも巨影は出現するが、これはずっと前にユキと同行中に出現したレギオン草体とソルジャーレギオン、そしてそれを倒しにきたガメラである。
- ^ ただし、身体的な特徴まで完全に複製しているわけではなく、山村ユキと違って大食いではない。
- ^ この際の独白はプレイ内容で変化する。
- ^ 兵器としての見込まれていた価値は「送り込んだ街を巨影で壊滅させられる」というものだが、彼女自身は「戦地を巨影に襲わせることで、戦争や紛争を無意味なものにする」ことを目論んでいた。
- ^ プレイヤーの選択次第では、ビルから落下して死亡する。
- ^ 主人公の位置は柏木が貸し与えていたスマートフォンのGPSで特定していた。
- ^ そのゲームの概要はKYOEI NEWSのPR欄で確認できるが、災害が起きず平穏なままの『絶体絶命都市』と言った様相のおよそゲームとして成り立っているか怪しいもので、星が1や2程度と評価は芳しくない。
- ^ 終盤で陰から母の様子を見る形で登場し、台詞からして母に遊ぶ金をせびるような親不孝者であることが判明している。
- ^ ここで踏み潰された花と引き換えに300万円を渡す事が可能。
- ^ パティ250グラムもの巨大ハンバーガー。『マンガ・カ・ケール』にも素材として登場する。
- ^ 複数のフラグを必要とし、そのうち一つは大金を得るチャンスの中で関連アイテムを入手しなければならない。また、気付かずにステージクリアしてしまうとそのアイテムは無駄に終わる。
- ^ a b 『絶体絶命都市2』、『絶体絶命都市4Plus』にも登場する。
- ^ 『絶体絶命都市2』、『絶体絶命都市3』、『絶体絶命都市4Plus』にも登場する。
- ^ 『2』では教育実習生、『3』『4Plus』では高校教師。
- ^ 『絶体絶命都市3』にも登場する。
- ^ 『絶体絶命都市4Plus』にも登場する。
- ^ 一度目はウルトラマンティガが彼女の乗った電車をキリエロイドIIと取り合いをして奪取に成功したが、そのまま地面に降ろしてキリエロイドIIの相手に戻っている。二度目は国立宇宙線研究所のステージで、主人公がユキを残して単独行動をとっているという絶好のチャンスだったにもかかわらず、ダダは主人公や研究員ばかり襲いユキは襲わなかった。
- ^ a b 登場は発売後まで伏せられていた。
- ^ 原作『ウルトラマン』でダダが襲撃したのも宇宙線研究所である。
出典
- ^ “『巨影都市』の発売日が2017年10月19日に決定! パトレイバーも登場!【先出し週刊ファミ通】”. ファミ通.com (2017年7月4日). 2017年7月4日閲覧。
- ^ 『週刊ファミ通』2018年2月1・8日合併号、KADOKAWA、2018年、6頁。
- ^ “『巨影都市』の最新情報が約1年ぶりに公開!【先出し週刊ファミ通】”. ファミ通.com (2017年5月30日). 2017年5月30日閲覧。
- ^ 『プロジェクト巨影都市(仮題)』の開発にシリコンスタジオのゲームエンジン“OROCHI 3”、“YEBIS 3”が採用 ファミ通.com 2016年1月15日
- ^ a b c 「巨影都市」インタビュー。BNE 塚中健介氏とグランゼーラ 九条一馬氏に聞く,“すごく変わったゲーム”はいかにして生まれたのか 4Gamer.net 2017/10/19
- ^ 「スクリーンから抜け出したゴジラ Part2」『「ゴジラ検定」公式テキスト』監修 東宝株式会社/協力 東宝 ゴジラ戦略会議、宝島社、2018年11月3日、119頁。ISBN 978-4-8002-8860-8。
- ^ 謎の新作『巨影都市グランゼーラ』の公式サイトがオープン 電撃オンライン 2015年9月4日
- ^ PS4/PS Vita向けソフト「プロジェクト巨影都市(仮)」が発表。バンダイナムコエンターテインメントとグランゼーラが送り出す“サバイバル・アクションアドベンチャー” 4Gamer.net 2015年9月17日
- ^ a b c d ““にせウルトラマン”や「エヴァンゲリオン初号機」も登場!「巨影都市」”. GAME Watch (2017年6月14日7時0分). 2017年6月24日閲覧。
- ^ a b “『巨影都市』都市に現れた巨影の正体のひとつは、あの“光の巨人”!? 主人公の情報など最新情報が到着”. ファミ通.com (2016年2月25日). 2022年12月17日閲覧。
- ^ 公式サイト CHARACTER
- ^ a b ステージ13で閲覧できるプロフィールより
- ^ a b c d “PS4「巨影都市」がゴーゴーカレーとコラボ!早期購入特典の追加やオープニングムービーも紹介”. Gamer (2017年9月29日0時0分). 2017年10月14日閲覧。
- ^ a b c d e f “『巨影都市』グリフォン、ダダ、3式機龍など、さらなる巨影が登場!【先出し週刊ファミ通】”. ファミ通.com (2017年9月19日18時0分0秒). 2017年9月20日閲覧。
- ^ a b c “『巨影都市』にウルトラマンタロウ、ゼロ、ベリアルなどの詳細情報を公開!【先出し週刊ファミ通】”. ファミ通.com (2017年10月13日18時0分0秒). 2017年10月14日閲覧。
- ^ 公式サイト SPECIAL
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