呪文 (X-ファイルのエピソード) 内容の分析

呪文 (X-ファイルのエピソード)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/30 14:24 UTC 版)

内容の分析

ロバート・シャーマンとラース・パーソンはその著書『Wanting to Believe: A Critical Guide to The X-Files, Millennium & The Lone Gunmen』において、本エピソードが既成宗教、特に上辺だけの信仰者に対するパロディになっているという仮説を提示している。2人は「『呪文』に登場する信仰者はステレオタイプなキリスト教徒ではなく、悪魔崇拝者である。」と指摘しつつも、本エピソードにおける主なジョークが「宗教的信仰が水に流され、口だけの信心に転化し、その儀礼と教義が心地よいものに再解釈されるさまを突いている。」と述べている[12]。また、2人はパドック(不信心者を自ら裁いた)とパウロ(不信心者を非難したが、自ら裁きを下すことはなかった)と対比的に論じている[13]

『A.V.クラブ』のトッド・ヴァンデルワーフは扉のモチーフが本エピソードに頻出していることを指摘し、「ドアを開けるということは別の世界と繋がることであり、古代の悪魔を現代に引き入れることにもなり得る。」と述べている[14]

評価

1995年1月27日、FOXは本エピソードを初めてアメリカで放映し、1770万人の視聴者(1020万世帯)を獲得した[15][16]

エンターテインメント・ウィークリー』は本エピソードにA-評価を下し、「モルダーとスカリーは、身も凍るようなイメージと不気味な台詞に満ちた労作に寄り道した。」「ブロンマートの演技は大いに悪魔がかっていた。」と評している[17]。ヴァンデルワーフは本エピソードにA評価を下し、「『X-ファイル』が違った方向へ進もうとしていることの好例であるが、これまでと同じ番組だという感が残っている。」「面白いし邪悪さを感じる。」と述べており、ラストシーンに関しては「モルダーとスカリーが完全に相手の術中にハマったのは珍しいが、自由意志まで奪われたわけではない。それがこのエピソードを良いジョークたらしめている。」と称賛している[14]。シャーマンとピアソンは本エピソードに5つ星評価で満点となる星5つを与えている[12][13]

クリス・カーターは本エピソードを「炎や悪しきもの、強いもので遊ぶことに対して警告している物語だ。」「PTAに悪魔崇拝者がいたり、空からヒキガエルが降ってきたりと、『呪文』はコミカルな感じで幕を開ける。しかし、物語が進むにつれて、どんどんダークになっていく。」と評している[10]

参考文献

  • Edwards, Ted (1996). X-Files Confidential. Little, Brown and Company. ISBN 9780316218085 
  • Lovece, Frank (1996). The X-Files Declassified. Citadel Press. ISBN 9780806517452 
  • Lowry, Brian (1995). The Truth is Out There: The Official Guide to the X-Files. Harper Prism. ISBN 9780061053306 
  • Rozum, John (1997). “Grey Matters”. Sky Buster (Graphic Novel). 1. 34. Topps 
  • Shearman, Robert; Pearson, Lars (2009). Wanting to Believe: A Critical Guide to The X-Files, Millennium & The Lone Gunmen. Mad Norwegian Press. ISBN 9780975944691 

  1. ^ Cornell (1998) et al, p. 146
  2. ^ Rozum (1997), p. 27.
  3. ^ Lowry (1995), pp. 193–194.
  4. ^ Lovece (1996), pp. 143–145.
  5. ^ a b c Lowry (1995), p. 195.
  6. ^ Vitaris, Paula (October 1997). "Morgan and Wong Return to The X-Files". Cinefantastique.
  7. ^ Vitaris, Paula (October 1996). "Episode Guide". Cinefantastique. 28 (3): 18–40.
  8. ^ MacBeth (I.1. 8)
  9. ^ "Stories Through Pictures"”. 2017年12月4日閲覧。
  10. ^ a b Chris Carter (1994–1995). Chris Carter Talks About Season 2: "Die Hand Die Verletzt" (featurette). The X-Files: The Complete Second Season: Fox.
  11. ^ Behind the Truth: Die Hand Die Verletzt (featurette). The X-Files: The Complete Second Season: Fox. 1994–1995.
  12. ^ a b Shearman and Pearson (2008), p. 43.
  13. ^ a b Shearman and Pearson (2008), p. 44.
  14. ^ a b The X-Files: “Irresistible"/"Die Hand Die Verletzt"/"Fresh Bones"”. 2017年12月4日閲覧。
  15. ^ Lowry (1995), p. 249.
  16. ^ http://anythingkiss.com/pi_feedback_challenge/Ratings/19941205-19950305_TVRatings.pdf[リンク切れ]
  17. ^ The Ultimate Episode Guide, Season II”. 2017年12月4日閲覧。


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