偉大なるアンバーソン家の人々 スタッフ

偉大なるアンバーソン家の人々

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/21 06:41 UTC 版)

スタッフ

製作

オリジナル版は131分だったが、製作会社のRKOが尺を短くしただけでなく、ロバート・ワイズに命じて再編集もし、ラストは助監督が新たに撮り直している[3]。このため、悲劇的な結末だったウェルズの構想とは逆に、原作通りのハッピーエンドとなった。ウェルズは最終的な編集の権利をRKOに任せていたものの、ブラジルへ『It's All True』の撮影のため出張中に、彼の意向を無視して大幅に改変されたことに激怒した。音楽を大幅に削除されて激怒したハーマンの要求により、クレジットからハーマンの名前は外された(スコアは全て現存しており、1990年に録音・発売されている)。

ウェルズの構想のメモは現存するが、カットされた映像は後に廃棄されてしまったため、復元は不可能となってしまった。ウェルズは、晩年に生き残っていたキャストと共にラストシーンを撮り直そうとしたが失敗に終わった[4]:114

制作時の予算は、編集に手間取った事もあり予定をオーバーし、大幅なカットもあって何とか評価は得られたものの赤字に終わった。

作品の評価

オーソン・ウェルズの監督第2作となる本作は、監督デビュー作の『市民ケーン』の饒舌なタッチと相反する長回しを中心とした表現を使っており、フランソワ・トリュフォーは「まるで『市民ケーン』を毛嫌いした別の映画作家が謙虚さの規範を示してみせたような作品」と評している[5]

ウェルズは、ラジオのパーソナリティーとしての経験を生かして、冒頭とラストシーンの直前、そしてエンディングの後のナレーションを担当した。エンディングでは、キャストロールではなく、キャストを自ら読み上げて紹介するという当時としては斬新な方法を用いた(文字が出るのは冒頭のタイトルロールと、RKOのロゴ及び"A Mercury Production by Orson Welles"の表記のみ)。しかし、ウェルズはこのナレーションのせいで世間からは「傲慢に思われ」、「数多くの地獄を見ることになった」と語っている[4]:244–245

その後

上記のように、2002年にテレビ映画としてリメイクされた("The Magnificent Ambersons")。これは、発見された本作の台本とウェルズの構想ノートを元にしたものであるが、厳密には同じでなく、エンディングも原作同様にハッピーエンドとなっている。

RKOによる本作の再編集の際に、ラフプリントがブラジルにいたウェルズの元へ送られていたことが判明しているが、そのプリントは現在も見つかっていない。Joshua Grossbergは、2020年後半にブラジルでの捜索を計画していると明らかにした[6]


  1. ^ RKO Feature Film Ledger, 1929-51, p114
  2. ^ 劇映画 アメリカ映画「偉大なるアンバーソン」”. NHKクロニクル. 2022年1月19日閲覧。
  3. ^ 偉大なるアンバーソン家の人々”. WOWOW. 2016年4月18日閲覧。
  4. ^ a b Welles, Orson; Bogdanovich, Peter (1992). Rosenbaum, Jonathan. ed. This is Orson Welles. New York City: HarperCollins. ISBN 0-06-016616-9. https://archive.org/details/thisisorsonwelle0000well 
  5. ^ 偉大なるアンバーソン家の人々”. allcinema. 2016年4月18日閲覧。
  6. ^ Pandemic delays Brazilian search for lost 'Magnificent Ambersons'” (英語). Wellesnet | Orson Welles Web Resource (2020年6月9日). 2020年10月5日閲覧。






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