ワイドスクリーン・バロック ワイドスクリーン・バロックの概要

ワイドスクリーン・バロック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/15 06:18 UTC 版)

オールディスはチャールズ・L・ハーネスの『パラドックス・メン』を評して、その序文でワイドスクリーン・バロックという言葉を用いた[1]。オールディスによれば、『パラドックス・メン』は

時間と空間を手玉に取り、気の狂ったスズメバチのようにブンブン飛びまわる。機知に富み、深遠であると同時に軽薄 — ブライアン・W・オールディス、『十億年の宴』p.305より 浅倉久志訳

な小説であり、この特徴をワイドスクリーン・バロックとしている。

代表的なワイドスクリーン・バロック作品としてオールディスはE・E・スミスアルフレッド・ベスターA・E・ヴァン・ヴォークトの作品を挙げている[1]。日本ではバリントン・J・ベイリーの作品も当てはまるとされている[2][3][4]

日本ではオールディスのSF史『十億年の宴』が1980年に翻訳された後、上記のカテゴリの作品に対してSFファンの間で使用される言葉になったが、日本以外では一般的ではない[3]。また、1981年に邦訳されたクリス・ボイス『キャッチワールド』の安田均による解説において、ワイドスクリーン・バロックについて論じられている[5]

SF作家の大原まり子田中啓文は、自身の作品の一部はワイドスクリーン・バロックであるとしている。また、草野原々は、自身のデビュー作である「最後にして最初のアイドル」を「実存主義的ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSF」と形容している。

主な作家

主な作品

脚注


注釈

  1. ^ SF作家の草野原々はワイドスクリーン・バロックをアイデアがすごくたくさん出てくるSFと捉えるならば、当てはまるかもしれないとする[9]

出典

  1. ^ a b 『十億年の宴』p.305
  2. ^ 『カエアンの聖衣』(ハヤカワ文庫)解説(大野万紀
  3. ^ a b 『一兆年の宴』p.328 (山岸真による解説のパート)
  4. ^ a b c d 山本弘『トンデモ本?違うSFだ!』洋泉社、2004年、p.145
  5. ^ 『カエアンの聖衣』(ハヤカワ文庫、1983年)解説(大野万紀
  6. ^ a b c 大原まり子「ワイドスクリーン・バロック」『SF入門』日本SF作家クラブ編、早川書房、2001年、pp.94-95
  7. ^ a b 中島かずき [@k_z_ki] (2016年3月15日). "新訳『カエアンの聖衣』 に巻末エッセイを書かせてもらいました。解説というのはおこがましい個人的な思いです。でも、本作は空前絶後の大怪作ですので。『グレンラガン』も『キルラキル』もこの作品に出会っだからこそ着想できたのです。…". X(旧Twitter)より2023年12月15日閲覧
  8. ^ a b バリントン・J・ベイリー『カエアンの聖衣〈新約版〉』(中島かずきによるあとがき) - 実はこの作品(グレンラガン)、僕なりのワイドスクリーン・バロックがやりたかったのだ。バリントン・J・ベイリーの『カエアンの聖衣』が、"服"というガジェットであれだけの法螺話がやれたように、今回"ドリル"というキーワードでどこまで大法螺がふけるか挑戦してみたかった。
  9. ^ 『劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライト』で大流行!最近話題の概念「ワイドスクリーンバロック」ってなに!?”. 水槽脳の栓を抜け SF作家 草野原々のブログ (2021年6月23日). 2023年12月15日閲覧。


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