ヨゼフィーネ・ムッツェンバッヒェル あらすじ

ヨゼフィーネ・ムッツェンバッヒェル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/21 05:34 UTC 版)

あらすじ

※「第1部」「第2部」の名称および区分は下記の日本語版に従う。

第1部

ウィーン郊外の集合住宅に住む革細工職人の娘ヨゼフィーネ・ムッツェンバッヒェル(作品中では愛称「ペピ」で呼ばれており、以下「ペピ」と呼ぶ)は、5歳のとき同居人の若い男からスカートの下に熱い視線を注がれたことを記憶しており、彼を「最初の恋人」と呼んでいる。7歳のとき、1歳半違いの兄のフランツとともに近所に住む友達フェルドル(13歳、顔見知りのラインターレルのおかみさんによってすでに童貞喪失)とアンナ(9歳)の兄妹のところに遊びに行ったペピは、「パパとママごっこ」に誘われ、それまで知っていた遊びと違い、赤ん坊が生まれるすこし手前から始まるという独特の筋書きに多少戸惑いながらも、言われるままにフェルドルとカップリングして演技をすすめているうち、股間にくすぐったいのとは別の、未知の快い感覚を覚える。それからというもの、ペピとフランツは頻繁にフェルドル兄妹を訪ね、その親戚の少年少女たちも交えて「パパとママごっこ」(やがてそれはよりストレートな、大人顔負けの快楽の遊戯にエスカレートする)にふけった。

やがてフェルドル兄妹はよそへ引っ越していくが、彼らによっていったん呼び起こされたペピの快楽への欲求はとどまるところを知らず、兄のフランツを含む同年輩の少年たち、同居人や近所の大人の男性、行きずりの兵士に至るまで、さまざまな男たちから、あるときは誘われ、あるときは自ら誘ってその体をゆだねていった(並行してペピの相手をする少年たちのさまざまな「筆おろし」エピソードが語られる)。こうした生活は彼女が13歳になるまで続き、その肉体が十分発達する一方、兄のフランツがラインターレルのおかみさんとの思いを遂げるとりなしまでしたが、そんな最中、突然に母の死が訪れる。悲しみにくれ、ふしだらな行状を4歳上の長兄のロレンツから叱責された彼女は、それまでの生き方を悔い、「身持ちの正しい女の子」になることを決意する。

第2部

母の死から2ヶ月たち、自分の生き方に区切りをつけようと最寄の教会を訪れたペピは、あろうことか告解を聴いた助任司祭から、「清めの儀式」と称して再び快感を呼び覚まされる。それと同じ頃、ペピの通う学校の公教要理担当の聖職者が、女生徒たちへの淫行の容疑で逮捕され、ペピも警察の取調べを受ける。ペピの父はショックを受けつつ、これを機に自分の娘を一人の"女"としてみるようになり、ついにある晩、男やもめの寂しさを彼女の体で紛らわしてしまう。

ペピ一家の間借り人の1人で、父娘の弱みを握っていたルドルフは、自分の「情婦」と称する15歳のみなしごの娘ツェンツィを2人に引き合わせ、ペピと2人で組んで客を街角で取ることを持ちかけ、ペピの父もそれに同意する。ツェンツィの手引きで街路に出たペピは、紳士、老人、マゾの男、エロ写真家たちと出会って初仕事を果たし、人生でもっとも長い一日を終え、娼婦としての道を歩み始めるのだった。

第1部に比べて、第2部はペピが運命に翻弄されながら娼婦になっていくさまを一気に描いている観があり、ペピ父娘とルドルフ、ツェンツィら少数の人物を軸に展開する。特に、ペピと同年輩の少年たちとのさまざまな形の戯れが見られない(彼女の2人の兄も徒弟奉公に出ていてほとんど登場しない)点が第1部との大きな違いである。


  1. ^ 「ムッツェンバッヒェル」は後述の日本語版(足利光彦訳)で用いられた表記で、他に原音に近い表記として「ムッツェンバッヘル」(舞台ドイツ語による)、「ムッツェンバッハー」等がある。
  2. ^ 日本語版の、訳者足利光彦による解説には、本作品の出版年は1908年とある。
  3. ^ 日本語版の解説では、作者と推定されている人物として、ザルテンの他にアルトゥル・シュニッツラーとする説も紹介されている。
  4. ^ Philipp Charwath『Wen ist anders - Ist Wien anders?』2012





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