ユアンティ 社会

ユアンティ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/14 18:07 UTC 版)

社会

ユアンティは“混沌にして悪”の種族であり、敬虔な悪の信奉者である。

ユアンティはジャングルの奥深くにある古い遺跡に生息し、秘密の寺院を築き信仰を絶やさないでいる。彼らの建造物は全体的に丸みを帯び、階段の代わりに棒や傾斜を設けている。寺院は彼らの生活の根幹であり、彼らはその場所をひた隠しにしている。そこには指導者たる司祭たちがおり、血生臭い儀式が行われている。寺院は人間の都市の地下にある場合もあり、人間の信者も出入りしている[1]

ユアンティは蛇神の元で常に世界征服の謀略を巡らせている。彼らは人間社会に潜入し、信奉者を増やしてその勢力を拡大しようと企てている。

ユアンティは完全な肉食で、特に鳥やヒト型生物の肉を好む[1]

また、ユアンティは全ての爬虫類に敬意を払っており、同じ蛇人間であるナーガメドゥーサとは盟約を結ぶことも多い[4]

蛇舌教団

ユアンティは蛇神を崇める人間たちの邪教団を組織し、二級市民として扱っている。彼ら信徒はユアンティを蛇神の使徒として敬い、彼らのために犠牲になることを厭わない。ユアンティは恩恵として、信徒を蛇人間に改造する儀式を施している[4]

信仰

ユアンティは版や背景世界によって様々な蛇神を崇めているが、そのいずれも邪神である。

第3版および3.5版では“混沌にして悪”の邪神マーショールク(Mhairshaulk)を崇めている。グレイホークフォーゴトン・レルムの両世界はこれに準拠している。

エベロンでは“中立にして悪”の邪神にして「暗黒六帝」の一柱たるディヴァイラーを崇拝している。彼らはディヴァイラーをいつの日か世界を飲み込む蛇に他ならないと考えている[5]

第4版になると、闇と毒、暗殺を司り蛇を創造した悪の神、ゼヒーアを信奉するようになる。ユアンティは殺人を尊ぶゼヒーアへの供物として、蛇で満たされた穴に生贄を放り込む。ゼヒーアはプライモーディアル(神々に敵対する古代神霊)に対抗するために、全次元界の絶対的支配者にならんとする野望を抱いており、常に謀略を企てている。他の神々はゼヒーアが神々の敵対者と戦っている間はその存在を監視しつつも黙認している[4]

第5版では“夜の蛇”デンガー(Dengar)、“巣穴の母”マーショールクとともに、“死の歯擦声”スセス(Seeth)といった神々が列挙されている。翼あるユアンティであるスセスは新しきユアンティ帝国を築くことを誓っており、マーショールクの教団から転向する者が出始めている[6]

『Volo's Guide to Monsters』に登場する3種類のマリズンはいずれも違う神格に仕えており、“心に囁く者”はスセス、“悪夢を囁く者”はデンガー、“穴の長”はマーショールクに仕えている。外見もそれぞれ、“心に囁く者”は下半身、“悪夢を囁く者”は上半身、“穴の長”は両腕が無数の蛇である[7]

D&D世界でのユアンティ

エベロンでのユアンティ

エベロンでのユアンティの故郷はサローナ大陸である。だが、サローナは夢の次元界からの侵略者クォーリと融合した強化人間インスパイアドに支配され、迫害されたユアンティはアルゴネッセン大陸に逃げ延びた。だが、アルゴネッセンでもドラゴンに迫害され、ゼンドリック大陸に流れ着いた。学者たちはこの迫害によってユアンティが邪悪な種族に変貌してしまったと説く。いずれにせよ、エベロンでもユアンティは一、二を争う邪悪な種族であり、自らの眷属を繁殖させようと人間を浚っては忌まわしい儀式の生贄としている。
また、『ゼンドリックの秘密』では太古にコアトルと血縁を結んだ“秩序にして善”のユアンティ、“シュラスサカール(Shulassakar)”が登場する。彼らはコーヴェア大陸に流れ、タレンタ平原の遺跡都市クレゼントに隠棲している。彼らはコアトル及び正義の神シルヴァー・フレイムを信奉している。『City Of Stormreach』(2008、未訳)ではモンスター及びプレイヤー用種族として設定されている[5]

フォーゴトン・レルムでのユアンティ

人類がフェイルーン大陸を支配する遙か前、爬虫類人の始祖たる種族、サッルーフ(Sarrukh)が古代人と蛇を融合させて作ったのがユアンティの始まりである。ユアンティはリザードフォークより知性的でナーガより忠実だったので両者の関係はしばらく良好だったが、ユアンティの社会が成熟するにつれ、サッルーフの影響力も低下した。サッルーフの帝国が持続している最中にユアンティはサッルーフの力を得るために立ち上がり、結局サッルーフは支配者の座から降りた。サッルーフが信奉していた世界蛇の神性は失われ、ユアンティは長らく忘れられていた、より残酷で専制的なマーショールクの神性を崇拝するようになった。

しかしながら、ユアンティはその勢力を拡充するのではなく、人間やデミ・ヒューマンの社会に組織を潜り込ませ、遠大な策謀を練る事にした。マーショールクが信者を無視して、深き眠りについたからである。その後、ネザリル帝国崩壊の最中に、翼の生えたユアンティの1人、ゼッスがマーショールクの化身であると宣言し、新しい帝国を興す事を告げユアンティを統べるようになった。しかし、その後ゼッスもまた深き眠りへと落ちていった。

グレイホークでのユアンティ

グレイホークの世界において、ユアンティは主としてヘプモナランドの荒廃した都市に居住している。彼らはオルメカ人の蛇神、トラロック(マーショールクとの関係は定かではない)によって作られたと伝わっている。ユアンティが初めて登場した『Dwellers of the Forbidden City』はグレイホーク世界に属する。


  1. ^ a b c 『モンスター・コンベンディウムⅠ』新和 (1991)
  2. ^ a b c スキップ・ウィリアムズジョナサン・トゥイートモンテ・クック 『ダンジョンズ&ドラゴンズ基本ルールブック3 モンスターマニュアル第3.5版』ホビージャパン (2005) ISBN 4-89425-378-X
  3. ^ a b ジェームズ・ワイアットロブ・ハインソー『フェイルーンのモンスター』ホビージャパン (2005) ISBN 4-89425-371-2
  4. ^ a b c d e マイク・ミアルズ、スティーヴン・シューバート、ジェームズ・ワイアット『ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版基本ルールブック3 モンスター・マニュアル』ホビージャパン (2009) ISBN 978-4-89425-842-6
  5. ^ a b c キース・ベイカー、゛ジェイソン・バルマン、アンバー・スコット『ダンジョンズ&ドラゴンズ サプリメント ゼンドリックの秘密』ホビージャパン (2007) ISBN 978-4-89425-588-3
  6. ^ Wizards RPG Team 『Monster Manual (D&D Core Rulebook)』Wizards of the Coast (2014) ISBN 978-0786965618
  7. ^ Wizards RPG Team 『ヴォーロのモンスター見聞録』ホビージャパン(2019)
  8. ^ 『フォーゴトン・レルム探訪』のカード”. MTG公式サイト. 2021年11月8日閲覧。
  9. ^ Frequently Asked Questions”. D20srd.org. 2007年2月23日閲覧。





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