ニワトリ 養鶏

ニワトリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/02 23:57 UTC 版)

養鶏

屋内飼育
ケージ飼い

ニワトリは鶏舎のなかで飼育することも、野外で放し飼いすることも可能であるが、国内で放し飼いはほとんど行われていない[54]養鶏産業の場合、卵用種はケージの中に多数のニワトリを入れ集中的に飼育することが一般的である[55]。これに対し、ブロイラーの場合はケージ飼育は行わず、鶏舎の中で平飼いすることが普通である。これはケージでの集中飼育の場合、肉に傷がついたりニワトリの健康が損なわれやすいためである[52]。養鶏業における飼育日数は卵用種と肉用種で大きく異なり、日本においては卵用種で430日前後、肉用種は49日前後が一般的である[56]。これは、経済効率と若鶏の方が肉が柔らかく好まれるため肉用種は若いうちに出荷されること、および卵用種はその必要がなく、卵を経済的に生みつづけられる限り飼育され続けることによる。

ニワトリに与える配合飼料は、トウモロコシソルガムエンバクコムギ、飼料用コメといった穀物を中心に米ぬかふすま、大豆かすや菜種かすといった油糧種子の搾りかす、おから魚粉などを混合したものが一般的である。

初生雛の雌雄鑑別法

養鶏産業において、初生雛の雌雄鑑別により、雄と雌を見分けることは必要不可欠である。

肛門鑑別法 (Ventral sexing)
初生雛のお尻(総排泄口)を観察し、生殖突起の有無によって雄と雌を見分ける手法
初生雛鑑別師の資格が必要であるほど、高度な技術が要求される。
羽色鑑別法 (Color sexing)
初生雛の羽毛の色や模様によって雄と雌を見分ける手法
ニワトリの性染色体であるZ染色体に位置する、横斑遺伝子(Barring gene)または銀遺伝子(Silver gene)を利用した判別法
羽性鑑別法 (Feather sexing)
初生雛の羽毛の長さ(主翼羽と覆主翼羽)によって雄と雌を見分ける手法
ニワトリの性染色体であるZ染色体に位置する、遅羽遺伝子(Late-feathering gene)を利用した判別法

生産量

FAOによる全世界の鶏の飼育数の推移[57], (100万頭)
1964 1969 1974 1979 1984 1989 1994 1999 2004
4,228 4,986 5,801 6,922 8,275 10,285 12,535 13,689 16,365
2004年の家禽の主要生産国[58]
(1000トン)
順位 生産量 順位 生産量
1 アメリカ合衆国 15,536 11 ロシア 1,060
2 中国 9,475 12 南アフリカ共和国 973
3 ブラジル 8,668 13 カナダ 950
4 メキシコ 2,250 14 トルコ 940
5 インド 1,650 15 アルゼンチン 885
6 スペイン 1,268 16 タイ 878
7 イギリス 1,242 17 マレーシア 825
8 日本 1,241 18 イラン 820
9 フランス 1,135 -
10 インドネシア 1,100 -

ニワトリはを食用に、羽を衣服(特に防寒具)や寝具に利用するため世界中で飼育されており、ニワトリの飼育は養鶏という一つの産業として成り立っている。特に食用目的での飼育が盛んであり、伝統的な放し飼いによる低密度な飼育から、大規模養鶏場での高密度な飼育まで、生産者ごとに数々の飼育法が用いられる。

ニワトリの飼育数は世界全体において急増を続けている。これは、ウシやブタに比べ狭い場所で集中的に飼育できるうえ、この2種に比べて個体が小さいため価格が安く頭数を増やしやすいこと、ブロイラーはブタやウシに比べ少ない飼料で大きくなるため効率がいいこと、ヒンドゥー教において禁忌とされるウシやイスラム教において禁忌とされるブタとは違い、ニワトリを禁忌とする宗教が(食肉全般を禁忌とする宗教を除けば)存在しないため世界中のどの場所にも需要が存在することなどがあげられる。ニワトリは食肉用としては長年ブタとウシに次いで第三位の生産量を誇る家畜であったが、1970年から2010年までの40年間で生産量は1520万トンから9790万トンに増加し、増加率は545%にのぼった[59]。このため鶏肉は20世紀にはウシをしのいで2位となり、2018年にはブタをもしのいで世界で最も生産される食肉となると推定されている[60]

さらに上記の数字はあくまでも食肉生産用のニワトリの数字であり、鶏卵生産用のニワトリ飼育も急増を続けている。1970年から2010年までの40年間で鶏卵生産量は1950万トンから6380万トンに増加し、増加率は226.4%にのぼった[61]

日本におけるニワトリ飼育数はほぼ横ばいであり、年度によって微増や微減をくりかえしている。飼育数は卵用種の方が多く、2009年度の日本国内における卵用種飼育数は1億4000万羽、肉用種は1億700万羽となっている。このうち卵用種は1992年以降20年間ほぼ数字に変動がなく、肉用種は減少傾向にあったが2005年から反転して増加傾向となった[62]。飼育数がほぼ変動していないのに対し、飼育農家数は急減を続け、卵用種は1992年の9160戸から2011年には2930戸と3分の1以下となり、肉用種は1992年の4720戸から2011年には2392戸とほぼ半減している。これは、ニワトリ飼育の大規模化が進み、1軒当たりの飼育頭数が大幅に増加していることを示している[62]


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