ニワトリ ニワトリの概要

ニワトリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/16 04:17 UTC 版)

ニワトリ

手前がメス、奥がオス
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: キジ目 Galliformes
: キジ科 Phasianidae
亜科 : キジ亜科 Phasianoidea
: ヤケイ属 Gallus
: セキショクヤケイ G. gallus
亜種 : G. g. domesticus
学名
Gallus gallus domesticus
(Linnaeus1758)
和名
ニワトリ
英名
Chicken
Domestic fowl

起源

ニワトリの起源としては単元説と多元説がある。単元説は東南アジアの密林や竹林に生息しているセキショクヤケイGallus gallus)を祖先とする説である。多元説(交雑説)はセキショクヤケイ、ハイイロヤケイG. sonneratii)、セイロンヤケイ(G. lafayetii)、アオエリヤケイ(G. varius)のいずれか複数の種が交雑してニワトリとなったとする説である。現在では分子系統学的解析によってセキショクヤケイもしくはその亜種に由来する可能性が強く示唆されている[1]。一方で、現在のニワトリからハイイロヤケイ由来の遺伝子が見出されるなど、多元説を支持する報告もある[2]

名称

ニワトリという和名は「に飼う鳥」、つまり家禽という意味から名づけられた[3]。ニワトリは普通「鶏」と書かれるが、「家鶏」で「にわとり」と充てることもある[4]。ニワトリは古くはカケ(鶏)と呼ばれた[4]。代表的な鳥であるため、単に「とり」ともよばれる[5]。雄のニワトリは「雄鶏(牡鶏)」(おんどり)、雌のニワトリは「雌鶏(牝鶏)」(めんどり)と呼ばれる[4][5]

漢字の「(鷄[5]、雞[4][5])」は、上古漢語では *kerで、中古漢語では keiと読む[6]。偏の「奚 (*ɦer)」が日本語の「カケ」と同様に鳴き声を表す擬音語「ケイ」および「爪(下向きの手)+幺(紐)+大(人)」で人を紐で繋ぐ様子を暗示し「ずるずる繋ぐ」という意を表し、紐で繋ぎ飼い馴らした鳥を表す会意形声文字である[6]。鶏の旧字「鷄」は本来「雞」の古字(康煕字典体)である[5]

「鶏」は万葉仮名の「」(甲類)にも使われる[5]。漢字「鶏」は様々な複合語を作り、「軍鶏」(しゃも)[4][5]、「闘鶏」(しゃも)[4]、「鶤鶏」(とうまる)[5]、「矮鶏」(ちゃぼ)[4][5]、「小鶏」(ちゃぼ)[4]、「水鶏/秧鶏」(くいな)[4][5]、「黄鶏」(かしわ[5]、「花鶏」(あとり)[4][5]、「珠鶏」(ほろほろちょう)[4]、「吐綬鶏/白露鶏」(しちめんちょう)[4]、「食火鶏」(ひくいどり)[4]などと読む。

ちなみに、「酉」は本来は酒壺をかたどった象形文字だが、十二支では「とり」と呼びならわされ、ニワトリを指す。

英語

英語では年齢や雌雄、地域によって使い分けがある。"Chicken"はもともと若いニワトリを指す用語であった[7]。この用法としての"chicken"はイギリスのパブや劇場の名、またはHen and Chicken Islandsなどの"Hen and Chickens"というフレーズで残っている。本種全体を指す用語はdomestic fowl[8]barnyard fowl[8]もしくは単にfowl[8]である。fowlはもともと全ての鳥を指していたが、この用法は今では"wild fowl"という複合語のみで用いる[9]。英語fowl中英語fowl, fowel, fugolアングロサクソン語fugel, fugolオランダ語vogel、そしてアイスランド語fugl, fogl同根である[9]

イギリスとアイルランドでは1歳以上の雄鶏をcockと呼ぶのに対し、アメリカ、カナダ、オーストラリアやニュージーランドでは普通同じものを指してroosterと呼ばれる。アメリカでroosterが用いられるのは、cock陰茎という意味があり、この連想を避けるためである[10]。またcockは通例"cock cardinal"や"cock robin"のように複合語で、鳥の雄を表すこともある[10]。1歳未満の雄はcockerelと呼ばれる[10][11]去勢された雄鶏はcaponと呼ばれる[12]

1歳以上の雌鶏はhen、それより若い雌鶏はpulletと呼ばれる[13][14]。ただし採卵養鶏場では、卵を産むようになった16-20週目の雌鶏はpulletではなくhenと呼ばれるようになる。オーストラリアとニュージーランドでは、全ての年齢・性別のニワトリを表すchook [ʊk]という総称が用いられる[15]。また、雛はchickと呼ばれる。"Rooster"が雄鶏、"hen"が雌鶏を指す言葉として広く使われているのにも拘らず、"chicken"という用語はときおり誤って雌鶏のみを指して使われる。

アメリカのディープサウスでは、ニワトリはyardbirdというスラングで呼ばれることもある[16]

生態・形態上の特徴

様々な品種のニワトリのひよこ

頭部に「鶏冠(とさか[4]」とあごの部分には「肉垂英語版(にくすい)、もしくは肉髯(にくぜん)」と呼ばれる皮膚が発達した装飾器官がある。雌よりも雄の方が大きい。目の後ろには耳があり耳たぶのことを「耳朶(じだ)」と呼ぶ。ニワトリが属するキジ科は、丈夫で地上生活に適した足を持っていることが多く、やはりニワトリも地上を主要な生活の場としている。一般的に足の指は4本(ただし烏骨鶏は5本)で雄の足には横向きか後ろ向きに角質が変化した距(けづめ)が生えているが、雌にはこの距はない。まばたきの仕方がヒトとは異なり、下から上に被せるようになっている。眼球運動が出来ないので常に首を前後左右に振っている。翼は比較的小さく飛ぶことは得意ではないが、野生化した個体は数十メートルほど飛ぶことがある。

ニワトリの雛である「ヒヨコ」は、一般に黄色とされているが、これは商用鶏(商用に扱われているニワトリ)の多くが白い羽装ニワトリであり、最も多く目にするヒヨコは黄色いためである。実際は、黄色いヒヨコばかりではなく、上記の写真のように様々な色や模様のヒヨコが存在する。俗説では、「ヒヨコが黄色いのは、卵の中で卵黄に浸っており、色が移っている」などという説があるが、これは間違いであると考えられる。雛の栄養の供給源となる卵黄は、卵殻の中では、雛の腹部に卵黄嚢がくっついているような形になっており、卵黄自体が雛の体と触れ合うことはない。さらに、雛の羽毛の色素を調査した研究報告[17]では、卵黄の中にある色素(カロチノイド)と羽毛の色素は一致しないとされている。(ニワトリの脚色は、カロチノイド由来であるとされる)よって、ヒヨコの羽毛は卵黄の色素とは異なると考えられる。

雄鶏特有の甲高い鳴き声もニワトリの特徴のひとつとして挙げられる。現在日本国内では鳴き声を「コケコッコー」と表現する場合がほとんどだが、江戸時代では「東天紅(トウテンコウ)」と表現していた[18]。英語圏では「Cock-a-doodle-doo」 (クックドゥードゥルドゥー)、フランスでは「ココリコ」、ドイツでは「キケリキー」、イタリアでは「キッキリキー」、中国語圏では「咯咯噠」(クークーダ)や「喔喔喔」等と表現する。

なお、品種を問わずニワトリを観賞用・ペットとして飼育する場合、雄鶏は(日の出の早い夏は)早朝から「コケコッコー」と大声で鳴くため、市街地で飼育する場合は近所迷惑とならないように注意が必要である。雌鶏は雄鶏のように時を告げることはほぼ無いが産卵直後には「コッコ、コーコー」と多少は鳴く。

また、緑っぽい塊に白い部分(尿)が混じる通常の糞と、茶色いドロドロの盲腸便を排泄するが盲腸便の方はかなりの悪臭を放つ。手足や衣服に盲腸便が付着するとしばらく臭いが取れないのでこれも注意が必要である。また、夏場は水を大量に飲むので通常の糞でも軟便となりやすい。


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  101. ^ a b c 桝田隆宏「英米文学鳥類考:鶏について」『松山大学論集』第20巻第6号、松山大学総合研究所、2009年2月、 221-270頁、 ISSN 0916-3298NAID 110007578334
  102. ^ 『何でも読める難読漢字辞典』1995, p.13
  103. ^ 『何でも読める難読漢字辞典』1995, p.21
  104. ^ 『何でも読める難読漢字辞典』1995, p.37
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