ニワトリ 利用

ニワトリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/02 23:57 UTC 版)

利用

食用

ニワトリのもっとも重要な用途は食用であり、肉は鶏肉として、卵は鶏卵としてそれぞれ大量に生産される。食肉としては、淡白な白身で、栄養素としてタンパク質に富む良質な肉質を持つ。また、ウシやブタと並ぶ世界で最も一般的な食肉であり、さまざまな鶏料理が世界中に存在する。ウシやブタと異なり、世界規模で信者が存在する宗教においてニワトリを食す事を禁忌とする宗教がない(ただしジャイナ教などのように動物の種類を問わず肉食自体を禁忌とする宗教は別)ため世界中で手に入り、食用の鳥としては最も一般的なものであるため、通常「鳥肉」と言えばそのままニワトリの肉(鶏肉)のことを指す。卵としてはさらに重要な生産源であり、ウズラアヒルガチョウなどの特殊な卵を除き、世界で流通する卵のほとんどは鶏卵である。このため、通常特に品種を指定せず「卵」と言えば鶏卵のことを指す。

また、ニワトリの骨を鶏ガラと言い、良質の出汁スープの原料となる。特に中華料理においては基本的な食材のひとつであり、ラーメンの最も基本的なスープは鶏がらを原料としたものである。ニワトリの脂肪からは鶏油が取れ、これも良質の調味油となる。鶏油は家庭において、脂肪の多く含まれるニワトリの皮から作ることもできる。さらに、軟骨はそのまま炒めたり揚げたりして食べることができ、焼き鳥屋においては「やげん」や「なんこつ」の名で一般的なメニューとなっている。また、ニワトリは消化管の一部である砂肝や、ハツ心臓)、レバー肝臓)などのもつ内臓)も食用とされる。

鑑賞

ニワトリは世界中で観賞用として、羽毛の色や模様、足や鶏冠などの外観の特徴を楽しんでいる。特に鳥類であるニワトリの羽装色は豊富である。

ニワトリの羽装色の名前(日本名)

  • 赤笹 ⇒ 腹部と尾羽は黒く、背部は褐色である(野生色)
  • 白笹 ⇒ 赤笹の褐色部が白色となる(S)
  • 金笹 ⇒ 赤笹の褐色部が黄色となる
  • 五色 ⇒ 五色の羽毛色をもつ
  • 猩々 ⇒ 全ての羽毛が褐色ないしは、尾羽のみ黒い(Co)
  • 桂 ⇒ 尾羽は黒く、体全体は白い(Co, S)
  • 白 ⇒ すべての羽毛が白い(c)
  • パイル ⇒ 背部は褐色であるが、腹部と尾羽は白色である(I, Co)
  • 黒 ⇒ すべての羽毛が黒い(E)
  • 浅黄 ⇒ すべての羽毛が灰色(E, Bl)
  • カピタン ⇒ 全ての羽毛が暗褐色で尾羽のみ黒い(Co, Mh)
  • チョコレート ⇒ 全ての羽毛が暗褐色(Co, Mh)
  • 金鈴波 ⇒ 全ての羽毛が褐色と白色の縞々(Co, Bar)
  • 銀鈴波 ⇒ 全ての羽毛が黒色と白色の縞々(E, Bar)
  • 碁石 ⇒ 全ての羽毛が黒色であるが、先端部が白い(E,mo)
  • 三色碁石 ⇒ 羽毛が3色あり、先端部が白い(mo)
  • 桜碁石 ⇒ 全ての羽毛が褐色であるが、先端部が白い(Co,mo)

ニワトリの外観に関与する遺伝子

【参考文献:伊藤ら「色素細胞 第2版 -基礎から臨床へ-」、R.D Crawford 編集 「Poultry Breeding and Genetics」、Sigrid Van Dort-David Hancox & Friends「Genetics of chicken colours THE BASICS」、Sigrid Van Dort & Friends「Genetics of the chicken extremes THE BASICS」】

ニワトリの羽装色に関わる遺伝子

以下の各遺伝子の効果説明は一例であり、他の遺伝子との相互作用により、様々な色合いを示すことになる。

  • 白色遺伝子 (I) [Pmel17] 33番染色体 常染色体性優性 ⇒ 黒色羽毛が白色へ変わる[69]
  • 白色遺伝子 (c) [TYR] 1番染色体 常染色体性劣性 ⇒ 全身の羽毛色が白色へ変わる[70]
  • 劣性白色遺伝子 (mo) [EDNRB2] 4番染色体 常染色体性劣性 ⇒ 黒色の差し毛 (黒点)は残るものの、全身の羽毛色が白色になる[71]
  • 褐色抑制遺伝子(S) [Slc45a2] Z染色体 伴性優性 ⇒ 褐色羽毛が白色へ変わる[72]
  • 黒色拡張遺伝子 (E) [MC1R] 11番染色体 常染色体性優性 ⇒ 全身の羽毛色が黒色へ変わる[73][74]
  • 小麦色遺伝子 (e^y, e^wh) [MC1R] 11番染色体 常染色体性優性 ⇒ 雌鶏の全身の羽毛色が薄くなる(雄鶏では褐色部が明るくなる)[75]
  • ラベンダー遺伝子 (LAV) [Melanophilin] 7番染色体 常染色体性優性 ⇒ 黒色羽毛が灰色(ラベンダー)へ変わる[76]
  • ブルー遺伝子 (Bl) [MITF] 7番染色体 常染色体性優性 ⇒ 黒色羽毛が灰色(ブルー)へ変わる[77]
  • 尖斑遺伝子 (mo) [EDNRB2] 4番染色体 常染色体性劣性 ⇒ 羽毛の先端部が白色へ変わる[78]
  • 横斑遺伝子 (Bar) [CDKN2A] Z染色体 伴性優性 ⇒ 羽毛に白色の横班が入る(白黒や白茶などの縞々)[79]
  • 褐色拡張遺伝子 (Co) [unkown] 常染色体性優性 ⇒ 全身の羽毛色が褐色になる(尾羽が黒色であるものでは、尾羽は黒色のまま)[80]
  • 褐色強調遺伝子 (Mh) [unkown] 常染色体性優性 ⇒ 褐色の羽毛が暗褐色へ変わる[81]
  • 黒色拡張遺伝子 (MI) [unkown] 常染色体性優性 ⇒ 雌鶏では頚部から頭部の羽毛色が黒色へ変わる[82]

ニワトリの羽毛の構造に関わる遺伝子

  • 糸毛遺伝子 (h) [PDSS2] 3番染色体 常染色体性劣性 ⇒ 烏骨鶏のようにふさふさした羽毛(糸毛)になる[83]
  • 逆毛遺伝子 (F) [unknown] 常染色体性優性 ⇒ 本来の羽毛は下向きに伸びるが、さかさまとなり、上向きに伸びる[84]
  • ほつれ羽遺伝子 (fr) [unknown] 常染色体性劣性 ⇒ 翼羽および尾羽の小羽枝の欠損がみられる[85]

ニワトリの鶏冠(とさか)や頭部に関わる遺伝子

  • 単冠 (野生型) ⇒ 一般的なニワトリで見られる、もみじや手のひらのような鶏冠
  • 豆冠または三枚冠 (P) [SOX5] 1番染色体 常染色体性優性 ⇒ 小さく丸まった鶏冠になる[86]
  • バラ冠 (R) [MNR2] 7番染色体 常染色体性優性 ⇒ バラのような鶏冠だとされる[87]
  • V字冠 (D) [EOMES] 2番染色体 常染色体性優性 ⇒ 正面から見て左右に分離した鶏冠になる[88]
  • 毛冠 (Cr) [HOXC8] 1番染色体 常染色体性優性 ⇒ 頭部の羽毛が隆起し、冠のように見える[89]
  • 髭 (Mb) [HOXB8] 27番染色体 常染色体性優性 ⇒ 肉垂が小さくなり、顎から嘴周辺の羽毛が立毛し、髭のように見える[90]

ニワトリの肌の色に関わる遺伝子[91]

  • 黒肌遺伝子 (Fm) [EDN3] 20番染色体 常染色体性優性
  • 黒肌遺伝子 (Id) [unknown] Z染色体 伴性優性 ⇒ 左記の双方の遺伝子をもつことで、肌の色が黒色へ変わる

食材・観賞以外の用途

羽毛は軽量で保温性が高く衣服に利用される。アヒルやガチョウといった水鳥の羽毛に比べると質が劣るが安価なため、しばしば低価格のジャケットなどに使用される
釣り具の疑似餌に用いられることもある。
また、かつてはバドミントンシャトルコックに使われていたが、現在はガチョウアヒルの羽を使った製品が殆どである。
「鶏糞」と呼ばれ、肥料として市販されている。乾燥したものではチッソ3パーセント、リン酸5パーセント、カリ5パーセント程度を含み、有機肥料としては即効性がある[92]。しかし、充分に乾燥していない湿った鶏糞はかなり臭う。
バイオマスとして発電用燃料に用いられることもある[93]
頭部
ニワトリの頭部はその外見から人の食用に人気がないが、肉食動物の餌として広く利用されている。特に動物園等の大型動物の餌として人気があり、犬用の缶詰も「鶏頭の水煮缶詰」として市販されている。
闘鶏
ニワトリどうしを戦わせる闘鶏はニワトリを飼育するかなりの地域で広く行われたものであり、現代においてもタイ王国をはじめとする東南アジア全域において非常に人気のあるスポーツである。「鶏合」(とりあわせ)ともよばれ、春の季語ととなっている[94]
鳴き合わせ
各国で、鳴き声を鑑賞・競い合わせる鳴き合わせという競技が行われる。日本では長鳴鶏がいるが、トルコのデニズリ鶏英語版などの鳴き声が長い鶏英語版の品種が作られている。
試験
航空機へのバードストライクを模すため、ニワトリを撃ち出す圧縮空気砲「チキン・ガン」がある。

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