ナガコガネグモ ファーブルの観察について

ナガコガネグモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/26 08:54 UTC 版)

ファーブルの観察について

昆虫記』で知られるファーブルは、その中でクモについてもいくつかの記録を残しているが、その中に本種に関するものがある。しかし、その内容に問題が多いことが以前から知られている。

特に目立つのが卵嚢に関するもので、彼はその作成過程を記録しているのだが、これが実際のものと大きく異なる。彼は雌がまず袋を作り、次にその袋の中に卵を流し込み、最後にその上に蓋をするという風に書いており、これは上記のような実際の作成過程のほぼ逆である。

これについてはフランスのボネーが1925年にすでに指摘しており、日本では千国が上記の観察記録の中で問題にしている。ボネーはさらに卵嚢作成時間、産卵後の行動にも触れた上で、ファーブルは不十分な観察に想像を加えたために間違ったと記している[7]

利害

人里に見られる普通種であり、大柄で目立つので広く知られてはいるが、明確な利害はない。水田によく出現するので、水田の農業害虫に対する天敵としてはそれなりに活躍する。高知県では「稲牛若」の名で親しまれている[8]。それ以外に大きなものは特にない。コガネグモクモ合戦に使われるが、ナガコガネグモは攻撃的でなく、使ってもおもしろくないとのこと。斎藤慎一郎のアンケート調査では、東北地方に少なくとも7例のナガコガネグモ相撲(合戦、昆虫相撲)が確認されている[9]

類似種

日本のコガネグモ属のものは、その多くがより幅広い腹部に幅の広い黒い横帯を持ち、この種だけが見かけでは大きく異なる。ただ、日本では南西諸島にナガマルコガネグモがおり、この種は形はコガネグモなどに似るが、斑紋はナガコガネグモによく似ており、両者の中間を感じさせる外見となっている。


  1. ^ 以上、主として小野編著(2009)。p.425
  2. ^ 小野編著(2009)。p.425
  3. ^ a b 新海(2006)、p.215
  4. ^ 千国(1980)、p.60-61
  5. ^ 八木沼(1986)、p.114
  6. ^ 千国(1980)、p.60-62
  7. ^ 八木沼(1979)
  8. ^ 宇根他(1989),p.47
  9. ^ 斎藤慎一郎 KISHIDAIA, No.93, Feb. 2008 http://kakureobi.sakura.ne.jp/kishi/k93.pdf


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