スープレックス 定義

スープレックス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/29 08:27 UTC 版)

定義

狭義

ジャーマン・スープレックスの略称もしくは、その派生技[1]の総称である。総合格闘技でも狭義の解釈が採用される場合がある。

カール・ゴッチがインタビューで前田日明が使うとされた「12種類のスープレックス」について記者に訊ねられた時に曰く、「日本の皆さんは投げ技を皆、スープレックスと呼んでいるがスープレックスと呼ばれるものは後ろから相手の胴をクラッチして反り投げてブリッジ固めるものだけだ。それ以外の投げ技は「サルト」であって相手の腕を前から掴んで投げるものはスロイダー」と答えている。

また、ゴッチは別のインタビューでも「ブリッジして固める技をスープレックス」とも言っている[2]

あるインタビューでも「ブリッジしながら相手を後方に投げる技を、よく◯◯◯スープレックスという呼び方をしているが、スープレックスと呼べるのはジャーマンスープレックスだけだ。ただそれも正確にはジャーマンスープレックスではなく単にスープレックスだ。それ以外のブリッジしながら後方に投げる技はすべてサルトと呼ばれるものであり、その他の通常の投げ技はスウィングである。またサルトにはその投げ方によってそれぞれに正式な呼び名があるので、まず君たちプロレスマスコミがそこをきちんと正確に伝えていかなければならない」と話していた。

そのカール・ゴッチの提言に従ったものだったのか、当時前田日明がマスターした「12種類のスープレックス」のそれぞれの名称は、ジャーマンやフルネルソン(ドラゴンスープレックス)以外は当時としては初めて耳にする名称の物がほとんどで、かんぬきスープレックスは「サルト」、フロントスープレックスは「ウンターグルフ」とされていたし、イギリスから凱旋帰国して対戦したポール・オーンドーフに決めた「リバースアームサルト」は、ダブルアームスープレックスホールドであった。それ以外の技(ダブルリスト・アームサルト、ハーフハッチ、スロイダー、リバース・サルト、デアポート・スロイダー、クオーター・ネルソン・サルト、ダブルアーム・ロック・サルト)は雑誌に写真付きで紹介されるまで全く未知の技だった。

ビル・ロビンソン宮戸優光はスープレックスを「相手を自分の頭越しに投げるもの」、サルトは「肩越しに、ひねって投げるもの」と説明している[3]

広義

クラッチの方法にかかわらず反り投げて、そのままピンフォールする技のことである。近年のプロレスにおける投げ技は年々新しいクラッチの方法が開発され多様化しているため、ゴッチの定義を、そのまま扱うことが難しくなりだした。そのため、近年は解釈を広げてクラッチの方法にかかわらず反り投げて、そのままピンフォールする技がスープレックスと定義されている。

最広義

通俗的には相手を自身の後ろに投げる技(バックドロップなども含め)をまとめて「スープレックス」と呼ぶ傾向がある。なお、この用法は正確なものではなかったが現在は、この用法も定着している他に前述の狭義の意味での使用時は「スープレックス」、広義または最広義の意味での使用時は「スープレックス系」と言い分ける場合もある。

分類

なお、前述のように元来、スープレックスはピンフォールを狙う技なので「スープレックス・ホールド」と呼ぶ必要はなく、そのまま「スープレックス」と呼ばれるのが正当であるが、日本のメディアではブリッジして固める本来のスープレックスを、しばしば、「スープレックス・ホールド」と表記して「投げっ放し式(ホイップ式)スープレックス」と区別することがある。

こういった混乱の原因は当時のマスコミ関係者が技の開発経緯や出自についての情報に疎く「投げて、そのままフォールする」という技自体が珍しかったため、情報伝達上判り易くするため、「スープレックス・ホールド」としたことにある。


  1. ^ ダルマ式ジャーマン・スープレックスクロスアーム・スープレックスのことである。
  2. ^ 厳密にいえば、スープレックスに分類されたものでもフォールせずに投げ捨ててしまえば、それはスープレックスではないことになる。
  3. ^ 別冊宝島』824号「男を鍛える本【速効編】」109Pより(2003年8月出版)
  4. ^ Gordon Solie”. World Wrestling Entertainment. 2010年1月4日閲覧。





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