ゴンゾ
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歴史
設立
1992年、ガイナックスを退社した制作プロデューサーの村濱章司と演出家の前田真宏、脚本家の山口宏、映像作家の樋口真嗣によってクリエイターの事務所として新宿区百人町に発足[3]。同年9月11日、村濱が有限会社ゴンゾを設立。法人としてのゴンゾは村濱個人の企業であり、前田、山口宏、樋口らは役員ではなくフリーとしてゴンゾに出入りしていたという[4]。社名は樋口の発案でイタリア語で「馬鹿」を意味する「gonzo」から変に賢くなることがないようにと付けられたもの。村濱によると樋口の発案なのは同様だが、ハンター・S・トンプソンの呼称「ゴンゾ・ジャーナリスト」から取られたとしている[5]。イタリア語で「馬鹿」を意味するのは後で知ったことである。
1994年末に発売されたCD-ROMドライブを搭載するPlayStation、セガサターンのいわゆる次世代ゲーム機の登場によりスタジオの方向性をデジタルアニメーションに見定める。1996年に発売されたセガサターンのゲームソフトウェア『LUNAR ザ・シルバースター』のムービーパートを制作。それによりビデオゲームのイベントムービーの発注が舞い込むようになった。その上で、ゴンゾが物語性を持って一本の作品として完結する作品を作れることを証明すべく、1998年に放ったOVA『青の6号』でフルデジタルアニメのスタジオとしてその名を一躍知られるようになる。これにより、デジタルアニメーションの先駆者的存在としてのゴンゾのブランドが定着した。
GDHグループの形成
1999年5月、株式会社に組織変更。2000年2月にボストン・コンサルティング・グループ出身で、株式会社ディジメーション代表取締役の石川真一郎を迎えて持株会社「株式会社ゴンゾ・ディジメーション・ホールディング」を設立。ゴンゾとディジメーションを完全子会社とし、経営の基盤を整える。GDHグループを形成し、ゴンゾ(GONZO)は単独の社名としてだけでなく、グループ全体のブランド名にもなった。
2002年4月、ゴンゾとディジメーションを合併し「株式会社ゴンゾ・ディジメーション」に商号変更。2004年7月に「株式会社ゴンゾ」に再び商号変更。併せて「株式会社ゴンゾ・ディジメーション・ホールディング」を「株式会社GDH」へ商号変更した。同年11月、GDHは東京証券取引所・マザーズ市場に上場を果たした。
2000年からテレビアニメの制作にも乗り出し、2005年に放送されたテレビアニメ『BLACK CAT』はマニア向けの作品の印象が強かったゴンゾにとって初の少年漫画誌『週刊少年ジャンプ』連載の漫画を原作とする作品であった。
2006年には初の劇場作品『銀色の髪のアギト』を公開した。ゴンゾは創立当初から世界進出を目標に掲げ、実写映画を手がけることも視野に入れ活動を行っていた。またこの年は創立15周年にあたり、記念作品『マルドゥック・スクランブル』を制作していたが制作中止となった。同じ15周年記念作品である『アフロサムライ』は米国で2010年4月時点で約40万枚のセールスを達成し、続編やゲームソフトウェアも制作された。
グループの再編
2008年9月、いわかぜキャピタルが管理・運営するいわかぜ1号投資事業有限責任組合(いわかぜファンド)を割当先として第三者割当増資を行い、いわかぜファンドが筆頭株主となる。
2009年4月1日、GDHグループの経営不振による改善の一環として、ゴンゾは持株会社であるGDHに吸収合併され、GDHは「株式会社ゴンゾ」に商号変更した。これにより、1992年に設立された法人としてのゴンゾは消滅した。同年6月3日、会計監査人(ビーエー東京監査法人)が「債務返済資金の確保に困難が生じる可能性があると共に再建計画の達成に不確実性がある」として、2009年3月期決算書類を監査意見不表明とした[6]。6月29日に上場廃止が決定され、7月30日に上場廃止処分となった[7]。相前後してグループの経営難により、デジタル制作部門・グループ企業の整理・売却、制作スタジオの分社独立が行われた。
2009年の『シャングリ・ラ』、『アラド戦記 〜スラップアップパーティー〜』、『咲-Saki-』以降、主にビデオゲームのPVや他社作品のグロス請けなどを行い、2010年はテレビアニメやOVAの元請制作作品がなかった。また上記3作の放送終了後、元請制作作品がないという意味では約1年10か月のブランクが生じたが、2011年には久々の新作として、『にゃんぱいあ The Animation』、『ラストエグザイル-銀翼のファム-』、『こぴはん』の3作品が発表された。
2016年7月14日、アサツー ディ・ケイ(ADK)が連結子会社化を目的としてゴンゾの株式公開買付けの実施を発表[8][9]。その結果197,347株(所有割合84.01%)を取得した[10][11]。同年12月27日、過年度において不適切な会計処理を行っていたことがADKより公表され[12]、2017年1月10日に調査報告書が公表された[13]。これを受け2017年2月6日、第13期から17期までの訂正有価証券報告書を関東財務局に提出した[14]。
2018年3月30日、資本金の額を33億6173万4083円、資本準備金の額を34億784万6377円減少し、それぞれ500万円、0円とする[15]。
2019年6月28日、ゴンゾは自社が保有している一部のアニメ制作事業や知的財産権とその管理・運用に関わる権利義務をスタジオKAIへ譲渡することを発表した[16]。同年10月31日、傘下である沖縄ゴンゾを解散[17]。
2020年3月25日、臨時株主総会の決議により、2020年3月30日を効力発生日として3万8800株を1株とする株式併合を行うことが承認可決され、効力発生日における発行可能株式総数は93万4972株から24株に変更された[18]。株式併合によりゴンゾをADKマーケティング・ソリューションズの完全子会社とした上で、創業メンバーである石川が発行済み株式を全取得することによりADKグループから独立することになる[2][19]。
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j k 株式会社ゴンゾ『第21期(平成31年1月1日 - 令和元年12月31日) 有価証券報告書』(レポート)、2020年3月30日。
- ^ a b ゴンゾ 創業メンバー石川真一郎氏が全株式買取りへ,アニメーションビジネス・ジャーナル,2020年3月13日
- ^ “有限会社ゴンゾ会社概要”. 株式会社ゴンゾ旧ホームページ (1997年12月21日). 2021年9月24日閲覧。
- ^ 『現代視覚研究Vol.3』三才ブックス、2009年、41頁 - もりたけしの発言。
- ^ 村濱章司 『オタクバカ一代』 角川書店、2006年
- ^ “ゴンゾ<3755.T>、会計監査人が09年3月期決算書類に監査意見不表明”. ロイター (2009年6月3日). 2013年7月2日閲覧。
- ^ “ゴンゾの上場廃止が正式決定”. ITmedia (2009年6月29日). 2013年7月2日閲覧。
- ^ “株式会社アサツー ディ・ケイによる当社株式に対する公開買付けに関する賛同意見表明書” (PDF). ゴンゾ (2016年7月15日). 2016年8月24日閲覧。
- ^ “株式会社ゴンゾ株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ” (PDF). アサツー ディ・ケイ (2016年7月14日). 2016年8月24日閲覧。
- ^ “株式会社ゴンゾ株式に対する公開買付けの結果に関するお知らせ” (PDF). アサツー ディ・ケイ (2016年8月23日). 2016年8月24日閲覧。
- ^ “(訂正)「株式会社ゴンゾ株式に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」の一部訂正について” (PDF). アサツー ディ・ケイ (2016年8月25日). 2016年8月25日閲覧。
- ^ “当社連結子会社による過年度における不適切な会計処理に関するお知らせ” (PDF). アサツー ディ・ケイ (2016年12月27日). 2017年4月20日閲覧。
- ^ “当社連結子会社による不適切な会計処理にかかる特別調査委員会による調査報告書の公表に関するお知らせ” (PDF). アサツー ディ・ケイ (2017年1月10日). 2017年4月20日閲覧。
- ^ “過年度の有価証券報告書等にかかる訂正報告書および第18期半期報告書の提出のお知らせ” (PDF). ゴンゾ (2017年2月6日). 2017年4月20日閲覧。
- ^ “資本金及び準備金の額の減少公告” (PDF). 株式会社ゴンゾ (2018年3月30日). 2020年3月25日閲覧。
- ^ “アニメ制作のゴンゾ、一部アニメ作品の制作事業と知的財産権などをスタジオKAIに譲渡”. Social Game Info (2019年6月28日). 2019年6月28日閲覧。
- ^ “ゴンゾ傘下のデジタルアニメスタジオ「沖縄ゴンゾ」が解散”. Social Game Info (2019年11月8日). 2019年11月9日閲覧。
- ^ “臨時株主総会決議ご通知” (PDF). 株式会社ゴンゾ (2020年3月25日). 2020年3月25日閲覧。
- ^ “臨時株主総会招集ご通知” (PDF). 株式会社ゴンゾ (2020年3月9日). 2020年3月25日閲覧。
- ^ “フルメタル・パニック! :作品情報”. アニメハック. 2020年5月31日閲覧。
- ^ “爆裂天使 :作品情報”. アニメハック. 2020年6月7日閲覧。
- ^ “シャングリ・ラ :作品情報”. アニメハック. 2020年7月4日閲覧。
- ^ “ブレイドアンドソウル|アニメ声優・最新情報一覧”. アニメイトタイムズ. 2020年4月15日閲覧。
- ^ “聖闘士星矢 セインティア翔 :作品情報”. アニメハック. 2020年5月22日閲覧。
- ^ “「ジョジョ」「はたらく細胞」のデイヴィッドプロダクション、原作ファン唸らせるアニメづくりの秘訣は?【インタビュー】”. アニメ!アニメ! (イード). (2019年3月26日) 2024年4月16日閲覧。
- ^ “プロダクション探訪:第2回:グラフィニカ / GRAPHINICA”. CGWORLD.jp (2011年6月30日). 2024年4月16日閲覧。
- ^ Studio五組のご紹介について - ウェイバックマシン(2010年7月2日アーカイブ分)
- ^ “「Noovo」を立ちあげた理由――スタジオコロリド ファウンダー宇田氏らが模索するアニメのありかたと未来”. SHOEISHA iD (翔泳社). (2020年4月8日) 2024年4月16日閲覧。
- ^ “Key『planetarian 雪圏球』OVA化にむけて動きが”. 電撃オンライン. 2024年4月16日閲覧。
- ^ 「KADOKAWAグループ新アニメスタジオ設立、役職や職域にとらわれない制作スタイル目指す」『コミックナタリー』ナターシャ、2024年5月7日。2024年5月7日閲覧。
- ^ “COMPANY”. モンスターズエッグ. 2024年4月16日閲覧。
- ^ “当社と子会社ギャザリング株式会社との合併について”. ギャザリングホールディングス. (2022年3月1日) 2024年4月16日閲覧。
- ^ “【デスク、制作進行経験者募集】「聖痕のクェイサー」「ファンタジスタドール」「DRIFTERS」常に新しいテイストの作品に挑戦するアニメ会社から制作デスク、制作進行の募集”. ラクジョブ (ビ・ハイア) 2024年4月16日閲覧。
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