クリスタニア クリスタニアの概要

クリスタニア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/07 23:56 UTC 版)

概要

物語としての『クリスタニア』は、『ロードス島戦記』や『ソード・ワールド』と姉妹作の関係にあり、それぞれが「フォーセリア」における別の地域を舞台としている。

『ロードス島戦記」と同様に、当初はテーブルトークRPG (TRPG) リプレイ(実況記事)として発表され、小説版は当初フォーセリア世界の生みの親の一人である水野良が執筆を担当していたが、途中からグループSNEの若手作家で構成されたクリスタニアチームのシェアード・ワールド小説として展開することとなった。

シリーズ完結編である『秘境伝説クリスタニア』以外は全て小説として発表されたが、水野良が多忙なため彼が担当する予定の小説版秘境伝説の執筆がされないままシリーズ休止状態が続いていた。そして、2012年に水野の公式ブログにおいて現状で新刊を出しても売上げが見込めず、執筆するだけの時間的余裕がないとの作者側判断から「電撃文庫より続刊は出さない」という発表が行われた。未完部分の「あらすじ」「構想」「設定」等はいずれ水野の個人サイトで公開したいとしている[1]

TRPGシステムとしては『クリスタニアコンパニオン』『クリスタニアRPG』などの名で発売されている。

メディアミックス展開として、漫画アニメ映画OVA)があるほか、ラジオ放送も行っていた。

シリーズ一覧

順序は作品内における年代順である。

黒衣の騎士
ロードス島戦記の外伝であるが、暗黒の民のベルディア上陸を描いたエピソードがあり、神王伝説などの前史と見ることができる。
はじまりの冒険者たち 〜レジェンド・オブ・クリスタニア〜
新しき民とクリスタニア原住民たちとの最初の接触を描いた物語。小説版は下記の『神王伝説』へ続く形で終わっているため、単体としては未完ともとれる。
神王伝説クリスタニア
上記『はじまりの冒険者たち』をクリスタニア原住民たちの視点から描いた物語。『はじまりの冒険者たち』では描かれなかった神王との決着までが描かれている。
英雄伝説クリスタニア
レードンが真紅の皇帝となる過程の物語。短編集を除けば、下地となるリプレイやアニメ化などメディアミックス展開のない、唯一のクリスタニア・サーガ。
漂流伝説クリスタニア
はじまりの冒険者たちがクリスタニアに登ってから10年後、再び開かれた道を登りクリスタニアに赴いた若者たちの物語。クライマックスにおいてクリスタニアは周期の束縛から解放され、文字通り歴史の流れに「漂流」することとなる。
漂流伝説続編
構想のみ存在。ダナーンに帰還したレイルズが王になるまでが描かれる、と関連書籍で語られていたが、具体化されていない。
蟻帝伝説クリスタニア
ラブラドル地方を支配する真紅の皇帝と、帝国に侵略されたスループ王国を解放するべく戦う者たちの物語。リプレイ版での真紅の皇帝は邪悪な意思をうかがわせていたが、小説版ではそこに至るまでのレードンの物語(『はじまりの冒険者たち』『神王伝説』『英雄伝説』)が丹念に描かれたためか、描写が大きく異なっている。
黄金伝説クリスタニア
『蟻帝伝説』にて戦死したテューレが蘇生儀式の費用で背負った借金返済のため、幻の黄金郷を目指す物語。小説版では借金返済の設定は無くなり、王命を自分の手で果たせぬまま終わったことで自分の生きる道を見失っていた騎士テューレが新たな目的を見出して再起する物語となっている。
封印伝説クリスタニア
『はじまりの冒険者たち』『漂流伝説』と並んでクリスタニアの歴史に大きな転換期をもたらしたストーリー。『はじまりの冒険者たち』でクリスタニア人にとって未知の魔法(神聖魔法)を使ったために封印されたアデリシアや、同様に混沌ではないのに誤って封印された者達を救うため、すべての封印を解放しようとするかつての冒険者たちと、解放を阻止しようとする神獣の民との間に立たされたリュース達の苦悩と決断を描く。
これまでの物語では(『神王伝説』を除き)新しき民のキャラクターが主人公ポジションとして描かれていたが、本作以降はクリスタニア原住民である鬣の部族の青年リュースが主人公となる。また以降の物語は連続性の強い物語となっており、リュースは最後まで主人公として描かれている。
暗黒伝説クリスタニア
神獣の民との共存へ方針転換した暗黒の民、あくまでもクリスタニア全土の支配を望む猛虎の部族、そして封印から解放された妖魔王を得た妖魔たちがついに決裂をおこす。暗黒の民から救援を求められたリュースは大きな決断を迫られることになる。
傭兵伝説クリスタニア
『暗黒伝説』から1年後。暗黒の民と神獣の民は同盟を結ぶ。ここまでの物語で成長したリュースはついに獣の牙の一団を率いる「ベルディア砦」の幹部[2]にまで昇進する。彼は団長として部下たちに命令を下し、各地の混乱を収めていくが、そのなかである大きな事態が動き出していた。
リプレイ版では、読者から投稿されたキャラクターたちをそれまでのプレイヤーが部下として選出し、演ずるという一風かわった形のリプレイになっている。小説版もそれにともない、短編集に近いかたちでさまざまなキャラクターたちが描かれた。
秘境伝説クリスタニア
クリスタニア・サーガのラストエピソード。それまでまったく謎とされていた南クリスタニア大陸にやってきたリュースたち。そこで未知の神獣の民たちと接触していくが、そのなかでクリスタニアのみならずフォーセリア世界全土を巻き込む最大の事変に直面することとなる。
クライマックスでは複合神獣(魔神獣)が現れ、これにどう対処していくのか……と課題を残したところで終結している。その解決方法は小説版『秘境伝説』で描かれるのか、はたまた別のタイトルを冠した作品で描かれるのか、明らかにされていない。
リプレイ版では、序盤はリュースたちがメインとなっているが、中盤では『傭兵伝説』同様に読者からの募集キャラクターを扱っている。また文庫リプレイには南クリスタニアの神獣たちのTRPG用データも一部収録されている。

世界設定

フォーセリア世界の南部に位置する大陸クリスタニア。外部から完全に隔離されていたその大陸は、かつて神話の時代に光の神々と闇の神々が戦った際にどちらにも属せずに世界創造を継続しようとした中立の神々が作り上げた世界が広がっていた。

クリスタニアの中では、神々の大戦の際に闇の陣営の神々が放った神殺しの竜から身を隠すために、神の肉体を捨てて動物の肉体に魂を移した中立の神々「神獣(しんじゅう)」が君臨し、それに付き従う人々「神獣の民」が生活していた。 神獣たちはクリスタニアを外部から完全に隔離し、周期と呼ばれる歴史を循環するシステムを構築することで完成された世界を創造しようとしていた。しかしクリスタニアの完全性は絶対ではなく、神獣同士の対立や離反によって外界の住民の進入を許しており、クリスタニアの秩序は乱れていた。

クリスタニアシリーズの各ストーリーでは、「隔離されていた世界(クリスタニア)」と「外の世界の住人(暗黒の民、新しき民)」の接触を発端とする、クリスタニアの外界への開放と、異なる価値観を持つ人々同士の対立と和解の物語が描かれている。


  1. ^ 水野良 (2012年3月27日). “水野良のYeah!&Boo!「ご報告とお詫び」”. 水野良公式ウェブサイト. 2016年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月27日閲覧。
  2. ^ 『電撃王 通巻50号』主婦の友社、1996年6月1日、60頁。 






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