ガイア・ギアの登場人物 マハ

ガイア・ギアの登場人物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/12 02:02 UTC 版)

マハ

ウル・ウリアン

声:森川智之

マハのマン・マシーンパイロット。階級は少尉。見た目は屈託のない金持ちのお坊ちゃんで、物腰が柔らかで人あたりがよく、黒い髪色がやや重い感じだが、さわやかな瞳といいスッキリとした長身といい、まわりに良い印象を与える好青年[4][6]。表面を上手く温厚に取り繕いながら小狡く立ち回る[28]。しかしその素顔は残忍で狡猾、たとえ同僚でも自分に歯向かう相手には容赦ない暴力をふるう凶暴な男である[29]。何かを思い込めば激発するタイプで、己のその欠点を知っているがゆえに、普段は普通の人でありたいと願い、趣味をよくしていようと努めている。それが「普通」を演じることの訓練に繋がり、任務にも役立っている[30]。若くしてマハに登用される能力を持ちながら、マハのやり方を正義だととらえて順応してしまう感性の狭さがある[28]

良くない生まれながらも努力を積み重ねてマハに入隊し、ダーゴル大佐に目をかけられる。また、自身も大佐の「改革は優れたものが内部から行うべき」との考えに賛同しており、彼の尖兵として働くが、彼の意のままに動かざるを得ないということについて不満を覚えるようになる。エリートパイロットの道を歩む彼であったが、生まれながらに優れた出自と能力を持つアフランシに出会い、彼に対して強いライバル心を抱くことになる。またクリシュナと出会ってからは心の奥に潜む闇が明らかとなってくる。

メタトロンについては、「『シャア・コンティニュー・オペレーション』のうさん臭さは白人至上主義が感じられる。(ダーゴル大佐の好きな)ワーグナーはたかが音楽という形而上的な象徴としてあるものだが、『シャア・コンティニュー・オペレーション』はあからさまだ」「スペースコロニーという人工的な環境で生きていくためにはコロニーのキャパシティを超えないよう人口や住民の体重までチェックしないといけないため、すべてコンピューターに管理されている。つまり昔とは違い、現代の管理は人類が生きていく上での必然であり、それからはみ出た人間はアウトロー、法律で守られる必要がない人々、言い換えればコロニーで生きていく権利を持っていない人々である。しかしそれがエゴだということも理解せずにアウトロー的な生き方をする自由人というのはいつの時代にも存在する。それがメタトロンだ」と語っている[17][31]

ヘラス入港直後のアフランシの乗るスパシアス号にハングライダーの遭難を装って潜入する。「悪意を消す」能力を持っていると言われ、疑われながらもマハのメンバーという事については最後まで確信を持たせなかった。クリシュナに接近すると本性を現して彼女を拉致。その奪還にメタトロンが動くとダーゴル大佐から受領した新型機ブロン・テクスターで出撃。彼女を人質にしてガイア・ギアと交戦するが、劣勢と見るや彼女を宇宙空間に放置して戦線を離脱した。地球帰還作戦の時にメタトロンのエア・フォース1と交戦し、その最中に偶然クリシュナを保護する。ガイア・ギアαと何度も交戦しながらも勝ちきれないことでビューシング・ナッグ部隊の責任者へと降格させられていたが、マン・マシーンのパイロットは続けられることから本人は気にしていなかった。その後、クリシュナに対して真摯な態度で接し、催眠尋問の事も隠さず話したことで親密となり、男女の関係を持った。しかしクリシュナにアフランシへの対抗心を見透かされ、また彼女に対してそっけない態度しかとることが出来なかったために去られてしまった。ガイア・ギアαの撃破を命じられるが、逆にメッサーの乗るガイア・ギアαに鹵獲されてしまう。復帰後、ダーゴルから「懲罰は戦果を上げること」と冷笑されながら出撃。ジョーのゾーリン・ソールを撃破し、指名手配中のアフランシの恋人エヴァリー・キーの身柄を拘束するという成果を上げた。次第にダーゴルに反感を感じるようになったウルは、ダーゴルの愛するノイシュヴァンシュタイン城へとエヴァリーを連れ出し、エヴァリーを救い出したいアフランシと城を守りたいダーゴルを争わせようとする。

ガミアン・ヘーゲリック

ウルの指揮するビューシング・ナッグ部隊のマン・マシーンのパイロット。「ルーバン亭」へ偵察に行ったメンバーの一人。クリシュナを連れて帰った。ガゥッサでウルと共にレエ機を撃墜するも、続くガイア・ギアαとの戦闘において待ち伏せを悟られ、逆に大破させられた。

ギュラーム

ウルの指揮するビューシング・ナッグ部隊のマン・マシーンのパイロット。「ルーバン亭」へ偵察に行ったメンバーの一人。銃撃戦で負傷するが、そのままガゥッサで出撃。レエのドハディのバルカンにより撃破された。

コンスタン・ペルケーネ

ウルの指揮するビューシング・ナッグのデッキクルーの一人。ケランのドハディとの戦闘で損傷したブロン・テクスターの装甲を取り替えた。

ジェラン・アルサ

ウルの指揮するビューシング・ナッグのメイン・パイロット。リエージュでの戦闘でクリシュナとの会話をわざと無線で流して傍受させ、クリシュナの寝返りを知らせる事でメタトロン側の動揺を狙った。ヌーボ・パリにいる恋人に会える事で喜んでいたが、ミュンヘンへのコース変更により叶わなくなった。

シムナウ・アーバン

地球連邦軍の通信士官で、階級は中尉。人懐っこい人物で、ウル・ウリアンは彼の人柄を慕い、自身の所属するマハ直轄の情報室より軍・警察・マハで共用する彼の職場のインフォメーションセンターで過ごすことが多かった[32]。しかし、彼の方はウルについてパイロットや戦闘者として血気にはやる青年にすぎないとどこか冷めた目で見ていた[32]。地球連邦軍の改革は内部から行うべきだと熱弁するウルに対し、「自分たちは連邦軍から給料をもらっているし、改革や世直しならメタトロンにやらせればいい。もし負ければ彼らのコントロールに従ってもいい」と冗談めかして言うと、彼に日和見主義だと言われた[32]。温厚な彼だが、捕虜の尋問に当たっていたスタッフが自白剤の増量を提案してきた際は強い言葉で非難した[32]

マハが地球連邦軍を傘下に置く組織替えでマハに編入されることになり、地球降下後は作戦参謀を務めた。忠心から独自の美学に基づいて作戦を立てるダーゴル大佐に再三諫言するものの、それらが聞き入れられることはなかった。最終決戦において大佐を諌めている最中、マハ・ゲイジスの撃沈と共に戦死した。

ハリー・スェームズ

声:谷口節

マハ・ゲイジスの艦長。ウルを可愛がっている上官[33]。ブリッジ・クルーが間違いを犯さない限りは鷹揚[34]。ダーゴルに対して、果たして彼は有能であるのかと軽い疑いを持っていた[34]

最終決戦においてマハ・ゲイジスの撃沈と共に戦死した。

ビジャン・ダーゴル

声:中田譲治

地球連邦政府警察機構特捜第十三課、俗称『人狩り局』マハ所属の大佐[35]。サイド2のヘラス政庁のマハの組織を管轄する司令官だったが、現状に満足せず、マハ組織全体のトップに立って全てを掌握しようとしている。いかにもやり手という感じの男。頬はこけ、落ち込んだ眼窩の奥にある瞳は透明に見えるブルー[22]

ダーゴルは地球連邦政府改革の必要性を認めているが、それは組織内部から行うべきと考えており、その実現のために地球連邦政府の実権を握るべく暗躍する。彼はその手段として「地球逆移民計画」を発案する。これはスペースコロニーで暮らす宇宙移民者が再び地球へ帰還する計画だが、サイド1の移民第一世代やマハに協力した者の中から優先的に逆移民権を与えることで大衆にマハの活動に参加すれば地球に逆移民できると信じ込ませ、マハへの支持を集めようというダーゴルの策略であった[5]。ダーゴルはこの逆移民計画を連邦政府に認めさせることでマハのトップの立場を手に入れ、ホンコン・マハに代表される警察機構まで統括することに成功した[5]。メタトロンのヘラスへの侵攻では、形骸化した地球連邦軍がそれに対応できないのを知っていて、連邦政府がすべてをマハに任せるという言質を取るのに利用した[27]。連邦軍からマハへ軍の統率権を移行させることに成功したダーゴルは地球連邦政府の認証を受け、計画を実行に移すためマハ・ゲイジスを旗艦とする連邦軍の宇宙艦隊を率いて地球に降下した。しかし、ダーゴルの真の目的は、マハを地球連邦政府から組織として独立させ、スペースコロニー連合に対して独自の独立国家・ガイア帝国を作ることだった[14]。ダーゴルの考える地球独立国家は、極度に選別されたエリートの国家で、ウル・ウリアン曰く「ワーグナーを愛せるような人の集団」[17]。過去の人類の過ちを繰り返さないようクリーンに管理し、スペースコロニーから地球に降りてこようとする人々に対しては地球鎖国政策をとり、無能者と抵抗分子は排除し、能力のある協力者だけを受け入れるシステムにするつもりだった[14]。メタトロン制圧の口実で徴兵制度を実施したが、目的は適正な人口を維持するための人減らしで、兵士たちに地球に帰れるという希望を抱かせて使い切ることだった[5]。また政治犯などの口実で地球に送り込まれて強制労働させられている人々は、仕事が終わればガス室送りにされる予定だった[17]

ワーグナーの美学に心酔しており、特にその象徴であるノイシュヴァンシュタイン城には異常なまでの執着を見せた。また「地球逆移民計画」がまず白人発祥の地・ヨーロッパ地域への白人の逆移民から始まった[注 5]こともあり、白人至上主義者と見なされているが、本人は「マハに人種差別はない」「己を鍛え、生き残る資格を持った者であれば人種はとわない」と言っている[5]

ダーゴルは野望実現のためにマハ・ゲイジスで地球に降下すると、まず手始めにヌーボ・パリに布陣するが、マザー・メタトロンによる衛星軌道上からの予想外のミサイル攻撃により大打撃を受ける。するとヨーロッパでは4番目の評価だが、愛するノイシュヴァンシュタイン城のある旧ミュンヘンを中心としたバイエルン一帯へと拠点を移し、そこを中心にマハの国家建設を目指すことにした。

しかし、それまで地球連邦軍を私軍のように扱ってきたことやあまりに急激に計画を進めたことにより、彼らは軍から獅子身中の虫と見なされるようになっていた。最終的に地球連邦政府はメタトロンと手を組んで彼らを排除することを決めた。

地球への回帰を目指しておきながら、スペース・コロニーでの生活に慣れ切っていた彼自身は、地球の生の自然に対して不快感や違和感を感じていた。

歪んだ性的嗜好の持ち主で、ウルによれば彼の度重なる失敗に寛容な姿勢を見せたのは、ウルが無様な失敗を繰り返すさまをサディスティックに楽しんでいたからだという。またエヴァリー・キーを尋問する際にもそのサディスティックな嗜好を見せた。

マリーサ・ナジス

声:山田栄子

ダーゴル大佐の副官を務める女性。階級は大尉。有能な士官であると同時に、大佐の愛人的存在でもある。最後まで彼に付き従っていたが、最終決戦においてマハ・ゲイジスの撃沈と共に戦死した。

レイラ・セイバー

声:勝生真沙子

ラジオドラマ版のオリジナル・キャラクター。マン・マシーンのパイロット。


注釈

  1. ^ アフランシシャアの演説や会見のビデオを何度も見返していたので知っていた。
  2. ^ トルースの白人至上主義的な言葉はマハの秘密の教義とも一致しており、信ぴょう性はある[13]
  3. ^ フランク人とはつまり白人の総称である。
  4. ^ 常にシャアの写真を持ち歩いているほど[7]
  5. ^ その後の逆移民は白人以外がそれ以外の地域を選ぶという建前だった[5]

出典

  1. ^ a b c d e f g h 小説『ガイア・ギア2』, p. 248-271.
  2. ^ a b c d e f g h i 小説『ガイア・ギア1』, p. 10-29.
  3. ^ a b c d e f g 小説『ガイア・ギア1』, p. 4-7.
  4. ^ a b c 小説『ガイア・ギア1』, p. 262-284.
  5. ^ a b c d e f g h 小説『ガイア・ギア3』, p. 122-139.
  6. ^ a b c d e 小説『ガイア・ギア2』, p. 18-40.
  7. ^ a b c d e f g 小説『ガイア・ギア1』, p. 220-240.
  8. ^ a b 小説『ガイア・ギア1』, p. 32-51.
  9. ^ a b 小説『ガイア・ギア1』, p. 174-196.
  10. ^ 小説『ガイア・ギア4』, p. 234-252.
  11. ^ 小説『ガイア・ギア3』, p. 186-204.
  12. ^ a b c d e f 小説『ガイア・ギア3』, p. 102-120.
  13. ^ a b c d e f 小説『ガイア・ギア3』, p. 80-99.
  14. ^ a b c 小説『ガイア・ギア4』, p. 60-80.
  15. ^ a b c d 小説『ガイア・ギア1』, p. 242-260.
  16. ^ a b c d e f 小説『ガイア・ギア2』, p. 110-130.
  17. ^ a b c d e 小説『ガイア・ギア4』, p. 199-231.
  18. ^ a b 小説『ガイア・ギア3』, p. 40-78.
  19. ^ a b c 小説『ガイア・ギア2』, p. 180-202.
  20. ^ 小説『ガイア・ギア1』, p. 281.
  21. ^ 小説『ガイア・ギア5』, p. 199.
  22. ^ a b 小説『ガイア・ギア2』, p. 88-108.
  23. ^ a b c 小説『ガイア・ギア3』, p. 226-245.
  24. ^ 小説『ガイア・ギア4』 & p40-57.
  25. ^ a b c 小説『ガイア・ギア1』, p. 54-74.
  26. ^ a b c d e 小説『ガイア・ギア1』, p. 122-146.
  27. ^ a b 小説『ガイア・ギア2』, p. 274-298.
  28. ^ a b 小説『ガイア・ギア3』, p. 164-183.
  29. ^ 小説『ガイア・ギア2』, p. 66-86.
  30. ^ 小説『ガイア・ギア2』, p. 156-177.
  31. ^ 小説『ガイア・ギア2』, p. 132-153.
  32. ^ a b c d 小説『ガイア・ギア2』, p. 204-226.
  33. ^ 小説『ガイア・ギア3』, p. 18-38.
  34. ^ a b 小説『ガイア・ギア3』, p. 142-161.
  35. ^ 小説『ガイア・ギア1』, p. 148-172.
  36. ^ 小説『ガイア・ギア3』, p. 248-266.
  37. ^ 小説『ガイア・ギア2』, p. 42-64.






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