ウイルス性急性脳症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/25 13:30 UTC 版)
治療
ウイルス感染症に特異的な治療法がある場合、それを行うが、特に重症なウイルス性急性脳症では、ウイルス感染だけを治療しても予後の改善は期待できない。
しかし、急性脳症に対する標準的治療というものは確立されていない。これは、疾病自体が多いものではないこと(このためデータが少ない)に加え、重篤な疾病であるためにある治療法と他の治療法を比較して検討する、ということが困難なためである。
このような状況の中で、以下のような治療が試みられる。
- 脳圧降下薬…濃グリセリン、マンニトールなど。脳浮腫を改善し、脳の血流の改善を図る。
- ガンマグロブリン大量投与、メチルプレドニソロンパルス療法、サイクロスポリンA…いずれも、過剰な免疫反応を抑制し、血管炎を改善することを目的としている。
- 血漿交換…血液浄化法の一つ。血液のうち、液体成分(赤血球や白血球などの細胞以外の部分)を献血から得られた新鮮凍結血漿 (FFP) と置換することにより、血漿に含まれる抗体や免疫複合体、炎症性サイトカインなど、過剰な免疫応答と炎症に関与する物質を除去することを目的としている。
- 脳低体温療法…あえて低体温とすることにより、脳組織の保護を図る。この治療を行うことのできる施設は、きわめて限られている。有効性の実証がされていないこともあり、広くは行われていない。
予後
一口に急性脳症といっても、重症度にはかなりの幅があり、一概に予後を述べることはできない。
しかし、コントロール困難な痙攣重積、持続する意識障害、他の合併症の出現などを呈した重症例では、3割程度が死亡、3割程度が後遺症を残すとされ、予後不良な疾患ということができる。
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