greek dark agesとは? わかりやすく解説

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暗黒時代 (古代ギリシア)

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/10 04:18 UTC 版)

暗黒時代(あんこくじだい、古希: Γεωμετρική εποχή)とは、古代ギリシアにおける紀元前1200年から紀元前700年頃までの間における文字資料に乏しい時代のこと。ミケーネ文化前古典期(アーカイック期)の間にあたる[# 1]。また、この時代のうち前1059年から前700年頃は土器に幾何学文様の描かれたことから幾何学文様期と呼ばれることがある。


注釈

  1. ^ ただし、ノーマン・デイヴィスによればアーカイック期に含まれるとしている[1]
  2. ^ この亜ミケーネ文化は土器についてはミケーネ文化へ系統をたどることができるが、文様が簡素化されている。また、それまで岩室墓への複葬が主体であったのが石槨墓、土坑墓への単葬が行なわれるようになっており、副葬品も貧弱化している。しかし、副葬品としてそれまで見られなかった鉄製品が含まれることがある[11]
  3. ^ ただし、この説に対してティリンス遺跡の発掘を行なったK・キリアンは宮殿崩壊後に城壁の外部で集落が発達したことにより、宮殿焼失後に周辺の人々がティリンス城壁外部に集落を立ていたと推測、さらにミケーネ、アテナイテーバイイオルコスでもその傾向があることからギリシャの人々がキプロスなどへ移住したことを疑問視している[14]
  4. ^ ブローデルによればドーリア人の侵入以前にインド・ヨーロッパ語族の人々が侵入したとして以下の説を紹介している。「ヴィンセント・デスバラによれば侵入者らは定住した形跡を示さず、そのまま立ち去ったと考えられるとしており、さらにリース・カーペンターはこれらの証拠から侵入者は存在しなかったとしている。ブローデルはこれについて妥当な意見であるとしている[24]。また、モアコットによれば、過去にはインド・ヨーロッパ語族の祖先が中央アジアの「アーリア人」を組んでおり、最後に侵入したドーリア人らがミケーネ人を支配したとしているが、これらは過去のいかがわしい人種理論が元になっており、近年では疑われているとしている[25]
  5. ^ 伝説ではアテナイのみが住民が生活し続けたとされており、アクロポリスの考古学的調査でもアクロポリスが破壊された形跡は見つかっていない[44]
  6. ^ ブローデルによればメソポタミアでは前10世紀、エジプト、ヨーロッパは前6世紀まで[49]、デイヴィズによればエジプトが前12世紀、エーゲ海には前12世紀、ドナウ盆地には前750年ごろとなっている[50]
  7. ^ レベックによれば『イリアス』『オデュッセイア』はミケーネ時代末期を題材としているが、ホメロスはミケーネ時代を知らなかったため、叙事詩成立直前の時代である暗黒時代を題材にした可能性を指摘している[60]。周藤によれば一人の人物が作成したものではなく、後期青銅器時代(ミケーネ時代後期)から口述伝承されたものが実を結んだものとしているが、ミケーネ時代を反映したものか作者が活動していた前8世紀を描写しているかは議論が続いているとしている[61]。また、モアコットは青銅器時代や暗黒時代を反映していると考えるのは短絡的であり、文学としては偉大であるが歴史史料としては信じるべきではないとしている[62]
  8. ^ これにはギリシャ語アルファベットだけではなく、エトルリア人が使用していたカルキス・アルファベットも含まれる[67]

出典

  1. ^ デイヴィス(2000)、p.162.
  2. ^ 周藤 (1997-a)、p.174.
  3. ^ 周藤 (1997-a)、pp.174-175.
  4. ^ キャンプ、フィッシャー(2004)、p.88.
  5. ^ 周藤(2006)、p.84.
  6. ^ a b 周藤 (1997-a)、p.189.
  7. ^ a b モアコット (1998)、p.31.
  8. ^ 周藤 (1997-a)、p.175.
  9. ^ キャンプ、フィッシャー(2004)、p.85.
  10. ^ キャンプ、フィッシャー(2004)、p.79.
  11. ^ 周藤(2006)、p.86.
  12. ^ 周藤(2006)、pp.85-86.
  13. ^ a b モアコット (1998)、p.36.
  14. ^ 周藤(2006)、p.85.
  15. ^ 周藤 (1997-b)、pp.47-48.
  16. ^ 自由国民社(1991)、p.21.
  17. ^ モアコット (1998)、pp.28-29.
  18. ^ 村川 (1934)、pp.40-41.
  19. ^ トゥキュディデス(2000)、p.15.
  20. ^ キャンプ、フィッシャー(2004)、p.80.
  21. ^ モアコット (1998)、pp.29-31.
  22. ^ キャンプ、フィッシャー(2004)、p.89.
  23. ^ a b ブローデル(2008)、p.217.
  24. ^ ブローデル(2008)、pp.215-218.
  25. ^ モアコット (1998)、p.20.
  26. ^ ブローデル(2008)、pp.216-218.
  27. ^ 伊藤・木村(1997)、pp.17-18.
  28. ^ 周藤(2006)、pp.84-85.
  29. ^ キャンプ、フィッシャー(2004)、pp.80-81.
  30. ^ キャンプ、フィッシャー(2004)、p.81.
  31. ^ 周藤 (1997-a)、pp.186-187.
  32. ^ a b c 周藤 (1997-a)、p.188.
  33. ^ : Centuries of Darkness: A Challenge to the Conventional Chronology of Old World Archaeology
  34. ^ a b c d e モアコット (1998)、p.44.
  35. ^ 周藤 (1997-a)、pp.189-190.
  36. ^ 周藤 (1997-a)、p.191.
  37. ^ キャンプ、フィッシャー(2004)、pp.84-86.
  38. ^ キャンプ、フィッシャー(2004)、pp.85-87.
  39. ^ キャンプ、フィッシャー(2004)、p.48.
  40. ^ レベック(2006)、pp.52-53.
  41. ^ a b キャンプ、フィッシャー(2004)、pp.90-91.
  42. ^ レベック(2006)、p.53.
  43. ^ モアコット (1998)、pp.36-37.
  44. ^ 伊藤・木村(1997)、p.17.
  45. ^ 周藤、村田(2000)、pp.26-27.
  46. ^ a b 周藤、村田(2000)、p.27.
  47. ^ 伊藤・木村(1997)、p.18.
  48. ^ ブローデル(2008)、pp.242-243.
  49. ^ a b ブローデル(2008)、p.244.
  50. ^ a b デイヴィス(2000)、p.163.
  51. ^ ブローデル(2008)、pp.244-245.
  52. ^ 周藤 (1997-a)、pp.182-183.
  53. ^ : J. N. Coldstream
  54. ^ 周藤 (1997-a)、pp.183-184.
  55. ^ レベック(2006)、p.56.
  56. ^ 周藤(2006)、pp.89-92.
  57. ^ 周藤 (1997-a)、p.184.
  58. ^ 周藤(2006)、pp.93-94.
  59. ^ 周藤 (1997-a)、pp.18-186.
  60. ^ レベック(2006)、p.48.
  61. ^ 周藤 (1997-b)、p.56.
  62. ^ モアコット (1998)、p.33.
  63. ^ 周藤(2006)、pp.83-84.
  64. ^ 周藤 (1997-b)、pp.52-53.
  65. ^ 周藤 (1997-b)、pp.53-54.
  66. ^ a b 周藤 (1997-b)、p.54.
  67. ^ a b ブローデル(2008)、p.246.
  68. ^ 桜井(2005)、p.49.
  69. ^ a b 桜井(2005)、p.55.
  70. ^ 桜井(2005)、p.50.
  71. ^ キャンプ、フィッシャー(2004)、pp.92-93.
  72. ^ a b 周藤 (1997-b)、p.55.
  73. ^ 古山他(2002)、p.7.



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