Unified_Video_Decoderとは? わかりやすく解説

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Unified Video Decoder

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/31 07:51 UTC 版)

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Unified Video Decoder (UVD)(以前はUniversal Video Decoderと呼ばれていた)はATI Technologiesの作成した動画のハードウェアデコーダーである。H.264VC-1の2つのビデオコーデックをサポートしており、AVIVOテクノロジーの一部である。

サポートしているOS

  • Windows - この技術の発表時からサポートしている。UVDは現在のところハードウェアアクセラレーションのためにWindowsXbox 360プラットフォームにおけるDXVAというAPIのみをサポートしており、したがってメディアプレーヤーはUVDを用いるためにはDXVAをサポートする必要がある。
  • Linux - 2008年10月からである。[1] RadeonのためにAMDによってデザインされたXvBAというAPIはLinuxUNIXX Window SystemにおけるX video extension (Xv)向けの拡張であり、これはUVDによるハードウェアアクセラレーションを利用できるようにする。[2]
  • Linux - 2013年4月からである。[3] NVIDIAによるVDPAU (Video Decode and Presentation API for Unix)経由でのオープンソースなUVDサポートが提供された。これは既存のMesa上のVDPAUステートトラッカーをベースにしている。

機能

UVD/UVD+

UVDはATIのXilleon動画プロセッサーに由来するもので、GPUと同じダイに組み込まれており、Advanced Video Processor (AVP)も同様に組み込まれている。AMDによれば、UVDはH.264/AVCとVC-1のデコードを完全にハードウェア上で行える。しかし、動画のポスト・プロセッシングはピクセルシェーダーとOpenCLカーネルに送られる。また、MPEG-2のデコードはサポートされているものの、UVDではなくシェーダーで行われる。このデコーダーはBlu-rayHD DVDの再生要件を満たしており、H.264/AVCならば40 Mbpsのビットレートまでデコード可能である。H.264/AVCにおけるCABACもサポートしている。

前世代のGPUにおけるアクセラレーションはかなりCPUの補助が必要であったが、UVDはほとんどの処理をオフロードできる。前時代のGPU(たとえばATI Radeon R520シリーズのAVIVOやNVidia GeForce 7シリーズのPureVideoはH.264やVC-1におけるビットストリーム/エントロピーの伸展ができなかったため、これらはCPUで行われた。[4] UVDはVLC/CAVLC/CABAC/フーリエ変換/動き予測/デブロッキングフィルタなどを処理できるが、ポスト・プロセッシングはシェーダーに任せる。[5] ポスト・プロセッシングとはノイズ除去/インターレース解除/拡大・縮小などである。AMDは65 nmプロセスにおいては、UVDはわずか4.7 mm²のダイ面積しか使用していないと主張している。

UVD+と呼ばれるUVDの変種は、Radeon HD 3000シリーズから搭載された。UVD+は高解像度の動画のためにHDCPをサポートした。[6] しかし、UVD+は単にUVDとしてマーケティングされている。

UVD 2

Radeon HD 4000シリーズの発表に伴い、UVDは大幅に更新された。UVD 2はH.264/MPEG-4 AVCやVC-1のビットストリームの完全なデコード、さらにMPEG-2のiDCT(離散コサイン変換)レベルのアクセラレーションも可能になった。性能の向上により二つのストリームを同時にデコードできるようになり、ピクチャー・イン・ピクチャーが可能になった。この結果、Blu-rayにおけるBD-Liveと完全に互換になった。

UVD 2.2

UVD 2.2はローカルのメモリインターフェースを再デザインし、H.264/VC-1/MPEG-2の動画との互換性を向上させた。しかし、マーケティング上は"UVD 2 Enhanced"として「特別なコアを用い、RV770/RV730シリーズで採用されたH.264/VC-1/MPEG-2を二つ同時にデコードできるもの」という扱いだった。UVD 2に対する追加アップデートとしてのUVD 2.2の立ち位置はこの様に表される。

UVD 3

UVD 3はMPEG-2ビットストリームのデコード、DivX/XvidのMPEG-4 Part 2によるデコード、Blu-ray 3DのMultiview Video Codingによるデコードをサポートした。[7] 更に120 Hzのステレオ3Dのサポート、CPUの補助の必要を減らす最適化などが行われた。

UVD 4/VCE 1

Radeon HD 7000シリーズ、Radeon Rx 200シリーズ、Rx 370(X)、APUのKaveri、Kabini等のAPUに搭載。H.264/AVCHDデコード時におけるエラー回復の改善がなされた[8]。AMD Fluid Motionに対応。

UVD 4.2/VCE 2

Radeon R7 260(X)、R9 290シリーズ、R7 360(E)、R9 390(X)、Socket AM1ののKabini、Socket FM2のKaveriに搭載[9]

UVD 5/VCE 3

Radeon R9 285、R9 380(X)、R9 Fury(X)、R9 Nanoに搭載。H.264のHigh Profile Level 5.2サポートと4K解像度のデコードに対応[10]

UVD 6/VCE 3.1

Socket FM2とSocket AM4のCarrizo、Socket AM4のBristol Ridgeに搭載。H.265およびJPEGのデコードに対応。

UVD 6.3/VCE 3.4

Radeon RX 400シリーズ、RX 500シリーズに搭載。H.265のエンコードに対応。

UVD 7/VCE 4

Radeon RX Vegaシリーズに搭載。

UVDが有効なGPU

コードネーム モデル UVDのバージョン
Tonga R9 285 UVD 5
Vesuvius R9 295 UVD 4.2
Hawaii R9 290 Series UVD 4.2
Curacao Radeon R7 270 Series
R7 265
UVD 4
Oland R7 240
R7 250
UVD 4
Tahiti Radeon HD 7900 Series
R9 280 Series
UVD 4
Pitcairn Radeon HD 7800 Series UVD 4
Bonaire Radeon HD 7790
R7 260 Series
UVD 4.2
Cape Verde Radeon HD 7700 Series
R7 250X Series
UVD 4
Cayman Radeon HD 6900 Series UVD 3
Barts Radeon HD 6800 Series UVD 3
Turks Radeon HD 6600 Series
Radeon HD 6500 Series
UVD 3
Caicos Radeon HD 6400 Series UVD 3
Hemlock注1
Cypress
Radeon HD 5900 Series
Radeon HD 5800 Series
UVD 2.2
Juniper Radeon HD 5700/6700 Series UVD 2.2
Redwood Radeon HD 5600/5500 Series UVD 2.2
Cedar Radeon HD 5400 Series UVD 2.2
RV790 Radeon HD 4890 Series UVD 2
R700注1
RV770
Radeon HD 4800 X2 Series
Radeon HD 4800 Series
UVD 2
RV740 Radeon HD 4700 Series UVD 2.2
RV730 Radeon HD 4600 Series UVD 2.2
RV710 Radeon HD 4300/4500 Series UVD 2.2
RV670 Radeon HD 3800 Series UVD+
RV635 Radeon HD 3600 Series UVD+
RV620 Radeon HD 3400 Series UVD+
RV630 Radeon HD 2600 Series UVD
RV610 Radeon HD 2400 Series UVD
RS880 Radeon HD 4200/AMD 785G Chipset UVD 2
RS780
RS780D
Radeon HD 3200/AMD 780G Chipset
Radeon HD 3300 IGP/AMD 790GX Chipset
UVD [11]
M98 Mobility Radeon HD 4800 Series UVD 2
M96 Mobility Radeon HD 4600 Series UVD 2
M92 Mobility Radeon HD 4300/4500 Series UVD 2.2
M88 Mobility Radeon HD 3800 Series UVD+
M86 Mobility Radeon HD 3600 Series UVD+
M82 Mobility Radeon HD 3400 Series UVD+
M76 Mobility Radeon HD 2600 Series UVD
M72 Mobility Radeon HD 2400 Series UVD
M71注2 Mobility Radeon HD 2300 Series UVD

付記:

  • 注1: デュアルGPUである。
  • 注2: バージョン 8.371もしくはそれ以降を用いないと、UVDをH.264向けに有効化した際にシステムがクラッシュすることがある。

脚注

  1. ^ Phoronix
  2. ^ AMD's X-Video Bitstream Acceleration
  3. ^ AMD Releases Open-Source UVD Video Support
  4. ^ (中国語)HardSpell review
  5. ^ Smith, Ryan (2010年2月24日). “AMD’s Radeon HD 5450: The Next Step In HTPC Video Cards”. AnandTech. AnandTech, Inc. p. 4. 2010年4月7日閲覧。 “Since deinterlacing and other AVIVO post-processing actions are done by the shader hardware, the limited shading capabilities of these cards meant that AMD couldn’t offer the full suite of AVIVO abilities at once.”
  6. ^ (中国語) PC-DVD discussion thread, retrieved August 23, 2008
  7. ^ Radeon 6800 Series Launches, Targets GeForce GTX 460 by Jansen Ng, 10/21/2010 DailyTech
  8. ^ 「A10-7850K」レビュー前編 - 4Gamer.net
  9. ^ AMD AM1 Athlon 5350 Reviewed pcper.com
  10. ^ 「Radeon R9 285」レビュー - 4Gamer.net
  11. ^ http://www.tomshardware.com/reviews/amd-785g-chipset,2381-3.html

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