テクニクス SL-QL1
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Technics SL-QL1 (テクニクス SL-QL1)は、かつて松下電器産業(現・パナソニック)が製造販売していたテクニクスブランドのレコードプレーヤーである。
製品の概略
1980 年頃、 SL-10 に始まるコンパクト・リニアトラッキングプレイヤーのバリエーションとして発売された、レコードサイズ自動検出のフルオートマチックプレーヤー。
SL-10 の「LP レコードジャケットサイズ」という枠を外し、フットプリント(設置寸法)は当時のアンプ類の標準サイズに合わせた幅 43 cm ×奥行 35 cm 。本体色にシルバーとブラックの2種類がある。
上下キャビネットはアルミ合金ダイキャスト製で、開閉する上部キャビネットに T4P 規格のリニアトラッキングアームが内蔵されている。ターンテーブルはクォーツ PLL 制御ダイレクトドライブ。カートリッジとして EPC-P202CB が付属する。
ボディ構造
直線と平面基調のモダーン・デザインで構成されたキャビネット。下部キャビネット・上部キャビネットは共にアルミ合金ダイキャスト製で、高品質な雰囲気を醸し出す要素の1つとなっている。底ベースは TNRC (Technics Non-Resonance Compound) という、振動減衰性に優れた複合樹脂製。
後部にあるヒンジを軸として開閉する上部キャビネットの内部に T4P 規格リニアトラッキングアームが内蔵されている。上部キャビネットの前方には透明ダストカバーが続き、上部キャビネットと一体として開閉される。ダストカバーの前縁は下部キャビネットより短く、下部キャビネットに配置された操作スイッチはダストカバーを閉めたまま操作できる。
モーター
ブラシレス DC サーボモーターをクォーツ PLL 制御している。スロットレスで平面対向形という、テクニクスのレコードプレーヤーとしては珍しいモーターである。ローターはテクニクスの伝統に従い、プラッターにビス止めされ一体化されている。
プラッター
アルミダイキャスト製。レコードサイズを検知するための光が通る孔が6つ開けられている。周囲にストロボが1列のみ刻まれている。
トーンアーム
T4P 規格リニアトラッキングアーム。
スプリングにより針圧を印加するダイナミックバランス方式で軸受はジンバル構造。アームの中程にあるフォトインタラプタで水平トラッキングエラーを検出し、一定の大きさを超えるとアームベースを中心側に移動する。 T4P 規格でヘッドシェルがないため実効質量が小さく、共振周波数は 12 Hz と高い。針圧は T4P 規格の標準値 1.25 g にセットされているが、 1.5 g まで増やすことができる。
カートリッジ
T4P 規格 MM 型カートリッジ EPC-P202CB が付属する。
T4P 規格カートリッジ相互間は重量バランスや針圧を調整することなく交換することができる。ただし SL-10 のように MC 型カートリッジ用ヘッドアンプを内蔵してはいないので、 MC 型の T4P 規格カートリッジを使用する場合は接続するフォノイコライザアンプが MC 型に対応している必要がある。
コード類
電源コード、出力コード、アース(グラウンド)コードは脱着式ではない。
仕様
- 総合
- 電源: AC 100V 50/60Hz
- 消費電力
- AC電源時 16W
- 外形寸法: 巾 43.0 x 奥行き 35.0 x 高さ 8.8 cm
- 重さ: 7.4kg
- 駆動機構
- 駆動方式: ダイレクトドライブ
- モーター: クォーツPLL制御による、ブラシレスDCモータ
- 回転数: 33 1/3、45 rpm
- 回転数偏差: ± 0.002%以内
- ワウ・フラッター
- 0.012% WRMS
- 0.025% WRMS (JIS C5521)
- S/N比
- 56dB(IEC 98A Unweighted)
- 78dB(IEC 98A Weighted)
- ターンテーブル(プラッター)
- アルミダイキャスト製法
- 直径:31.2cm
- 重さ:0.0kg
- トーンアーム
- 形式: ダイナミックバランス型、リニアトラッキングアーム。ジンバルサスペンション軸受
- アーム有効長: 105mm
- トラッキングエラー角度: ± 0.1度以内
- アーム共振周波数: 12Hz
- カートリッジ
- 品番: EPC-P202CB
- 規格: T4P規格によるプラグイン方式
- 形式: MM型フォノカートリッジ、ワイヤーによる一点支持
- カンチレバー: ボロン製パイプ
- 周波数特性
- 10〜50,000Hz
- 20〜10,000Hz ±1.5db
- 出力電圧
- 2.5mV 1kHz、5cm/s、zero to peak、水平速度
- 3.5mV 1kHz、5cm/sec、zero to peak、45゜速度
- チャンネルセパレーション
- 22dB以上(1kHz)
- 推奨負荷抵抗: 47kΩ-100kΩ
- コンプライアンス: 12×10-6cm/dyne 100Hz
- 針圧範囲: 1.25±0.25g
- 振動子実効質量: 0.23mg
- 針先: 0.3×0.7ミル楕円ダイアモンド
- 自重:6g
- 交換針品番:EPS-202ED
参考文献
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出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2014年12月) |
- 取扱説明書 Technics SL-QL1、松下電器産業株式会社、SFNUQ11N01
外部リンク
- SL-QL1のページへのリンク